スパコン開発で助成金詐欺 安倍の腐敗がまたも発覚
週刊『前進』04頁(2907号02面05)(2018/01/15)
スパコン開発で助成金詐欺
安倍の腐敗がまたも発覚
安倍政権のもとでの一大疑獄がまた発覚した。
昨年12月、経済産業省が管轄する「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」から助成金約4億3100万円をだまし取ったとして、ベンチャー企業「ペジー・コンピューティング」社長の斉藤元章らが逮捕され、詐欺罪で起訴された。今年に入り、斉藤らは別の助成金も不正に受け取ったとして再逮捕されている。
だが、ことの本質は「国が金をだまし取られた」ことにあるのではない。安倍が自分を取り巻く人物に無制限に公金をばらまいていたという事実に、この事件の核心がある。スパコン疑獄は、森友・加計疑獄、リニア中央新幹線談合事件と並ぶ一大国家犯罪だ。安倍こそこの疑獄の主犯だ。
御用記者の山口を通じて安倍と結託
ペジー・コンピューティング社の顧問には、安倍の御用記者として悪名高い元TBSの山口敬之が収まっている。山口が住む高級ホテルの一室も、斉藤によって提供されている。山口は、15年4月に女性ジャーナリストをレイプして逮捕されそうになったが、その直前に警視庁刑事部長の中村格(当時)が逮捕状の執行をやめさせたといういわくを持つ。まさに腐敗の極致にある人物だ。安倍は、親密な関係にある山口を救うために、おぞましい性犯罪をもみ消したのだ。ペジー・コンピューティング社長の斉藤は山口を通じて安倍と結びつき、内閣府が設置した「2030年展望と改革タスクフォース」の委員にも任命された。その会議で斉藤は、「スパコンやAI(人工知能)が人間の労働に取って代わる」などという、でたらめきわまる主張を繰り返し、安倍「働き方改革」の旗振り役になってきた。
斉藤自身、中国との対抗に異様に執着する極右だ。斉藤は右翼雑誌「正論」や産経新聞で、スパコン開発で中国に立ち遅れている現状にいらだちをあらわにし、国家総がかりで中国に対抗することを唱えた。これは安倍の盟友であるJR東海の名誉会長・葛西敬之の言い分とまったく同じだ。こういう斉藤だから、安倍によってとことん優遇されてきたのだ。
100億円こえる公費が供与された
同社が国から受け取っていた助成金は、逮捕の理由となった4億3100万円だけではない。同社が2010~17年度に受け取った新エネルギー・産業技術総合開発機構からの助成金は約35億2400万円に上る。斉藤が会長となった別のスパコン開発会社「エクサスケーラー」は、文部科学省所管の科学技術振興機構から52億円の無利子融資を受けていた。斉藤が関連する会社につぎ込まれた公的資金は、合わせて100億円を超えると見られている。
さらに、ぺジー社が開発したコンピューターは、複数の政府機関に納入されている。同社は巨額の補助金を受け取るだけでなく、売り上げも国家によって保証されていたのだ。
財務相・麻生太郎と斉藤との関係も取りざたされている。安倍政権は丸ごと腐りきっている。
「国を守れ」と叫び国家資金を私物化
今回の疑獄の舞台になった「技術革新に取り組むベンチャー企業への助成金」という制度自体が、安倍の取り巻きに公金を流すための仕組みだったのだ。それは、国家戦略特区が、加計学園に国有財産をただ同然で譲り渡すためにしつらえられたことと同じだ。安倍は「北朝鮮の脅威」をあおり、「国を守れ」と叫んで戦争と改憲に突き進んでいる。だが、安倍が守ろうとしているのは、一握りのブルジョアジーが国家資金を食い物にして肥え太る一方、労働者人民には生きることもままならない低賃金を強いている今の社会そのものだ。安倍のたくらむ「働き方改革」や大増税、社会保障の解体で、労働者が直面している現実はさらに過酷なものになる。
18春闘を総反撃の時としよう。階級的労働運動をよみがえらせ、腐敗を極める安倍を倒そう。