リニア工事で不正入札 JR東海 巨額の公費投入こそ犯罪

週刊『前進』02頁(2904号02面02)(2017/12/21)


リニア工事で不正入札
 JR東海 巨額の公費投入こそ犯罪


 JR東海が建設するリニア中央新幹線工事で、不正入札があったとして東京地検特捜部が大林組、鹿島建設、清水建設に家宅捜索に入った。大成建設を含む大手ゼネコン幹部への事情聴取も続いている。
 JR東海は不正入札で被害をこうむったかのように振舞っている。だが、問題の根幹は、名誉会長・葛西敬之の号令のもとにJR東海が強行している無謀なリニア中央新幹線建設そのものにある。
 リニア工事の担当区間は、大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設の大手ゼネコンがほぼ均等に分け合っている。談合ないしそれに類する行為があったことは、その事実からも間違いない。リニア中央新幹線は、品川から名古屋までの全区間の86%をトンネルでぶち抜く。そうした巨大な工事は、大手ゼネコンにとっても容易ではない。ゼネコン間で担当工区を調整しなければ工事は実現できない。談合はJR東海の意向に沿って行われたのだ。

疑獄の主犯は葛西

 安倍政権がリニア新幹線建設のためにJR東海に3兆円もの財政投融資資金を貸し与えたこと自身が、巨大な国家犯罪・一大疑獄だ。JR東海を率いる葛西は安倍の盟友であり、戦争・改憲や原発再稼働の攻撃の最先兵になってきた。何よりも葛西は、国鉄分割・民営化で1047名の国鉄労働者の首を切った張本人である。葛西の支配するJR東海への巨額の融資は公金の私物化だ。そこにゼネコンが群がったのだ。
 他方で安倍政権は、住民の生活に必要な線路の大半が奪われつつある北海道の現実を前にしても、「民営化されたJR北海道に財政投入はできない」と言い張っている。そこに現れた「選択と集中」の名による地方破壊は、リニア新幹線建設にも貫かれている。
 12月15日には、長野県上伊那郡中川村の県道で、道路沿いの斜面が崩落した。その近くでは、トンネルを掘削してリニア工事用車両のための道路を新設する作業が行われていて、発破をかけた後に、土砂崩落が起きた。だがJR東海は、「工事自体に問題はなかった」と居直っている。

ダイヤ改定阻止へ

 リニアのために住民を踏みにじるJRは、大事故を続発させて国鉄分割・民営化の破産をあらわにした。
 リニア建設を最優先するJR東海で12月13日、架線をつるす鋼材と接触して東海道線の列車4本・計9個のパンタグラフが損傷し、約9時間半、運行が停止した。11日に発生した新幹線「のぞみ」の台車枠に亀裂が入った大事故も、車両を保有しているのはJR西日本だが、車両を開発したのはJR東海だ。JR東日本でも16日、京浜東北線で架線が断線し、東海道線、横須賀線も含めて6時間45分、運転がストップする事故が起きた。
 JRは3月ダイヤ改定で、外注化攻撃とともにローカル線の切り捨てをさらに激しく進めようとしている。これと対決する18春闘に立とう。国鉄1047名解雇撤回闘争を不屈に貫きJR体制を打倒しよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加