エルサレム「首都」宣言 世界戦争に火放つトランプ 背景にサウジと米帝の危機
週刊『前進』02頁(2904号02面01)(2017/12/21)
エルサレム「首都」宣言
世界戦争に火放つトランプ
背景にサウジと米帝の危機
(写真 ガザ地区で抗議の声を上げるパレスチナ人民【12月8日】)
朝鮮・中東・世界戦争情勢の切迫
米大統領トランプは12月6日、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、米大使館を移転する方針を正式に表明した。従来、エルサレムの法的地位はイスラエルとパレスチナ間の交渉における最終合意によって決定するとされていた。それをトランプの独断で変更したことは、米帝がペテン的中東「和平」政策から一層暴力的なパレスチナ解放運動解体政策に反革命的に大転換したことを意味する。それは米帝が朝鮮侵略戦争に加えて新たな中東侵略戦争に突進することを宣言するものである。米帝・トランプは最末期帝国主義の絶望的延命形態である新自由主義政策の全面的破産と戦後世界体制の総崩壊の現実に追い詰められ、その乗り切りをかけて世界戦争情勢を激化させている。東アジアで朝鮮侵略戦争への突進を開始したトランプは、いまや中東でも米帝の中東支配体制の総崩壊情勢を前にして、新たな中東侵略戦争へと突進し始めた。
中東では米帝はイラク、アフガニスタン、シリアなどに対する戦争で敗退し、急速に軍事的制圧力を失いながら、現在でもこれらの諸国における侵略戦争を継続している。
中東支配の拠点サウジが危機に
それに加え、中東最大の産油国であり米帝の同盟国であるサウジアラビアの王政の崩壊の危機が激化していることは、米帝の中東支配の最後的崩壊に直結しかねない深刻な危機をもたらしている。サウジでは近年の石油価格の暴落で石油収入が激減し、財政危機が急速に深刻化している。さらに王族や政府閣僚の浪費や汚職が財政危機を悪化させたため、11人の王子や閣僚数十人が拘束されるという異常事態が生じている。また緊縮財政下での各種補助金の削減や賃金の引き下げで労働者階級の怒りも爆発寸前だ。さらにその上にイランの中東諸国に対する影響力の拡大をめぐってイランとの対立が激化し、サウジとイランの戦争的激突情勢が切迫している。イランが支援するイエメンのシーア派武装組織フーシ派が11月初旬にイラン製弾道ミサイルでサウジのリヤド空港を爆撃した。これに対し、サウジ軍が反撃としてイエメンの首都サヌアを空爆した。このように対立はますますエスカレートしている。
トランプがイランとの核合意を破棄し、イランを追い詰めようとしていることも、イランの核武装とイスラエルとイランの核戦争の危機を引き起こす。
こうした緊迫情勢下でトランプがエルサレムをイスラエルの首都と認定したことは、これまでとは次元の異なる形でパレスチナ侵略戦争に火をつけるものである。それは米帝がイスラエルを全面的に支援して中東侵略戦争に突進する決意を示したことを意味する。トランプはパレスチナ解放闘争の圧殺を突破口として、中東支配の全面的崩壊の危機を戦争によって乗り切ろうと決断したのだ。
国際連帯闘争の発展で反撃を!
だがこれに対してパレスチナ人民をはじめとして全世界のムスリム労働者人民が一斉に反撃を開始している。パレスチナではインティファーダ(民衆蜂起)が開始され、6日以降連日街頭でイスラエル軍と衝突し、ガザではロケット弾がイスラエルに撃ち込まれている。さらにトランプの暴挙は米帝が全世界のムスリム労働者人民への戦争宣言を行ったものとして受け取られ、全世界の数百カ所で新たなパレスチナ・中東侵略戦争反対のデモや集会が行われている。米帝の朝鮮半島と中東における侵略戦争に対決できるのは、唯一世界の労働者階級の反戦・反核の国際連帯の闘いであり、ゼネストである。プロレタリア革命以外にこの世界史的危機を突破する道はない。このことを圧倒的に確信し、トランプの戦争激化政策を支持する安倍とトランプを串刺しにして打倒しよう。