完全民営化で都労連破壊狙う小池 都営交通・学校・水道・市場を標的に

週刊『前進』04頁(2903号02面02)(2017/12/18)


完全民営化で都労連破壊狙う小池
 都営交通・学校・水道・市場を標的に

(写真 11月21日、職場の怒りとストライキの機運をみなぎらせ都庁包囲の2千人デモに決起した東交・都労連の大隊列)

 小池都知事は11月28日、都政改革本部会議で、都営交通、水道、学校を標的に外郭団体への委託にとどまらず完全民営化に踏み出す意図をむき出しにした。築地市場更地化・豊洲移転も中央卸売市場民営化が柱だ。民営化はそこで働く労働者の大量解雇・非正規職化、団結破壊であり、安全と社会の崩壊をもたらす。戦争・改憲と一体の民営化を許さず、絶対反対のストライキで闘おう。

「都がやる必然性はない」と上山が強弁

 11月28日の会議では、交通局、水道局、教育庁などが「経営戦略」としての「改革」案を示した。①都が出資する監理団体(外郭団体)への業務委託、②民間企業への運営権の売却、そして③民間への譲渡か事業廃止という完全民営化に至る方針案だ。これに小池と特別顧問・上山信一らは「民間企業との競争にさらすべきだ」として民営化の徹底を求めた。彼らの言う「効率」とは人員削減・非正規職化が柱であり、赤字なら無慈悲に廃止だ。事業の公的性格は破壊される。
 交通局は、多摩川上流の水力発電の運営権売却や譲渡の検討に入り、都職員と下請けの監理団体「東京交通サービス」の人員削減に着手していると報告。これに対し上山は、「民間にもエネルギー事業者は多数存在する」「都庁が手掛ける必然性は高くない」と強弁した。水力発電は交通局最大の黒字部門であり、9月6日付日経夕刊が都営バスとともに名指しして攻撃した事業だ。これを売り払って赤字を浮かび上がらせ、大阪市営交通のように地下鉄・バスなど都営交通の全面民営化・東交破壊に踏み込むことを狙っている。
 水道局は、工業用水道の廃止を検討すると報告した。上山は「水道局は施設の統廃合や職員の削減など様々な経営努力に取り組んできた」とした上で「早急に廃止の結論を出すべき」と促した。次は上下水道の検討に入る。上山は都政新報のインタビューで、監理団体の「東京水道サービス」や「東京都下水道サービス」などをやり玉に挙げて、〝増収増益を目指す株式会社であるにもかかわらず、成長戦略がない。他自治体からの受注などで収益を還元すべきだろう〟とののしり、下請け労働者の一層の搾取と金もうけに駆り立てようとしている。
 教育庁は、部活動や補習授業のための「外部人材の確保」「学校事務・施設管理業務のセンター化」などを報告した。人員削減と評価制度による競争、レポート漬けなどによって生み出された「教員の多忙化」を逆手にとって、正規教員の数を増やすのではなく、外注化・非正規職化、労組破壊のテコとしようとする攻撃だ。これに対しても上山は「直営では限界がある」として、民間委託や公益財団法人への移行を求めた。
 今後、都政改革本部はバスや地下鉄、中央卸売市場、病院など都の主要事業73のすべてについて、年度内に分析に着手し「2020改革」としてまとめ上げるという。結論はあらかじめ出されている。都の全業務の、廃止も含む抜本的全面的な民営化だ。

団結破壊・安全崩壊への怒り噴き出す

 しかし小池のもくろみは最初から破綻している。現場を回している都労連労働者が団結を固めて絶対反対のストで闘うなら、攻撃を打ち破ることができる。
 東京で全国で、外郭団体への委託を含む外注化によって、職場の労働者が連携することで成り立つ業務ががたがたにされている。若手への技術の継承も断ち切られ、深刻な事態となっている。「民営化でコスト削減」どころかむしろ割高となり、偽装請負なしに業務が回らない。本紙2891号で報じた新江東清掃工場での下請け労働者の労災死亡事故以後も、民間委託の進む清掃工場などで重大な労災事故が続いている。民営化・外注化で労働者が殺されているのだ。国鉄分割・民営化の大破綻として示された安全崩壊が、社会全体に広がっている。「さらに民営化しようというのか!」、あらゆる職場から怒りが噴出している。

小池打倒へストで闘う都労連再生を

 韓国パククネ政権を倒した民主労総のゼネストと民衆総決起は、13年末の鉄道労組の民営化阻止23日間ストが突破口を開いた。「民営化は悪」が全社会的世論となり、16年9月からの鉄道労組74日間ストがパククネの息の根を止めた。水道民営化は公務員労組の絶対反対の闘いで粉砕された。
 民営化への怒りとストの機運は日本でもみなぎっている。都労連秋闘が示したのは、ストは倒れたとはいえ都庁包囲デモに大挙決起した東交青年部の賃金10%カットへの怒りをはじめ、職場から噴き上がる怒りと闘いを求める声だ。動労東京八潮支部の職場は都の監理団体「東京臨海高速鉄道」だ。都庁レストラン解雇撤回、築地市場移転阻止の闘いとともに、東京都丸ごと民営化・労組破壊との激突が始まった。都労連の団結とストライキで、安倍・小池打倒の18年決戦を闘いぬこう。
このエントリーをはてなブックマークに追加