入管体制うち破る外国人労働者 民族・国籍・国境を越えて団結すれば世界は変わる

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週刊『前進』04頁(2901号04面01)(2017/12/11)


入管体制うち破る外国人労働者
 民族・国籍・国境を越えて団結すれば世界は変わる

(写真 早朝から扉が開く午前8時半まで連日、東京入国管理局前には難民申請者らの長蛇の列ができる。難民申請の受付が先着数十人ほどしか行われないからだ【12月1日 東京・港区港南】)

難民を拒絶する入管行政

 10月31日付読売新聞は「難民申請 就労を大幅制限/法務省 偽装防止へ新対策」の見出しで「法務省は、申請6カ月後から一律に日本での就労を許可する現在の運用を撤廃し、就労を大幅に制限する新たな運用を始める方針を決めた」と報じた。難民申請者の大半が就労目的の「偽装難民」だというのだ。
 昨年、日本で難民申請をした外国人は1万901人に達した。しかし、難民認定者はわずか28人、難民認定率0・3%という驚くべき現状だ。今年も申請者は2万人に届く勢いだ。
 法務省が言う「新たな運用」とは、難民申請者を「簡易審査」で選別し、「難民に該当しない申請者」は、申請時の在留資格(留学、外国人技能実習、短期滞在など)が期限切れになった段階で強制収容し、日本から追い出すというものだ。
 最近、東京入管(東京入国管理局)で難民申請に行った外国人が、難民となった事情を詳細に別紙に書いて出そうとしたが、「短く書けばいい」と受け取らないということが起きている。形式的な審査のみで処理するということだ。
 また、東京入管の難民審査参与員が今年3月、コンゴ民主共和国で政府側兵士に性的暴行を受けたと主張する難民申請者に対し「美人だから狙われたのか」などの暴言を浴びせた。参与員のみならず入管職員による差別的な扱いや発言が難民申請者を傷つけている。
 さらに、茨城県牛久市にある東日本入管センター(牛久入管収容所)では3月、ベトナム人男性(47)が激しい痛みを訴えたにもかかわらず緊急医療を受けることができず、放置され亡くなった。だが、12月4日、法務省は、対応に誤りはなかったとする調査結果を発表した。
 「期限なき収容」を強いられる被収容者の多くが、長期の収容生活によって心身を病み、日常的に命の危険にさらされている。週末に骨折した被収容者が週明けまで治療を受けられなかった。その痛み、苦しみ、怒りは想像を絶する。
 帰国できないさまざまな事情を抱えた被収容者たちは、仮放免申請を繰り返し、保証人を立て、保証金を払って仮放免をかちとる。その場合、入管に定期的に出頭すること、他の都道府県に移動する時は旅行許可を得ること、働かないことなどの条件が課される。これに「違反した」として仮放免が取り消され、再収容される人が増えている。さらに「罰金」として保証金の何割かが入管に没収される。
 難民であろうとなかろうと人は働き、学び、移動する権利がある。日本で生きるために粘り強く闘う仮放免者とその家族を物心ともに追い詰める、このようなやり方を絶対に許すわけにはいかない。

低賃金労働力確保が狙い

 今、安倍政権は再び朝鮮半島に銃を向けようとしている。麻生太郎(副総理兼財務相)が9月23日、朝鮮半島で戦争が起きた時に大量の難民が日本に逃げて来るとして、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」「10万人単位でどこに収容するのか」と憎悪をむきだしにした。麻生は衆院選の街頭演説でも「武装難民」発言を繰り返した。
 自ら大量の難民を生み出す侵略戦争に出ようと躍起となっている安倍政権にとって、新たな外国人管理制度として発足した在留カード制度からはみ出した存在である難民申請者・仮放免者を一掃することなしに「外への戦争」に踏み込むことができないのだ。
 同時に安倍政権は、深刻な労働力不足を外国人労働力に頼らざるをえないという矛盾を抱えている。
 昨年10月末現在、届け出られた外国人雇用状況によると外国人労働者(特別永住者などを除く)が、108万3769人と、ついに100万人を突破した。うち外国人技能実習生は、今年6月末現在25万1721人となっている。
 安倍政権は、東京五輪のインフラ整備で不足する建設業従事者を外国人技能実習生の拡充と、技能実習終了者の再入国でしのごうと21年3月までの時限緊急措置を決め、15年4月にスタートさせた。これを造船業界にも広げた。
 外国人技能実習制度が「現代の奴隷制度」だとの内外からの批判をかわそうと、受け入れ企業や管理団体を監督する「外国人技能実習機構」を新設し、優良企業・団体は実習期間を5年まで延長できるとした外国人技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)を作った(16年11月28日成立・公布)。この技能実習法が11月1日に施行された。
 しかし、直後の11月16日には日本商工会議所が「かつてないほどの危機に直面している」労働力不足に対応し、「専門的・技術的分野の外国人」としてきた現行制度の「抜本的な検証・見直しを行う必要がある」と提言した。
 また、日本フランチャイズチェーン協会が、外国人技能実習制度の対象職種にコンビニの店舗運営を加えるよう厚生労働省に申請することが明らかになった。
 今回、新たに対象職種に「介護」が追加され、来春以降、介護現場で外国人実習生が働くことになった。すでに経済連携協定(EPA)に基づき08年から介護現場に外国人労働者が働いているが、その数は2千人ほどにとどまっている。
 狙われているのは、「技術移転による国際貢献」の建て前とはほど遠い「低賃金労働者の確保」だ。
 この社会を動かしているのは労働者だ。11月労働者集会―改憲阻止1万人大行進をともに闘った在日・滞日外国人労働者たちとの団結を拡大して闘えば、戦争を阻止し、新たな未来を切り開くことができる。世界革命への展望がここにある。
〔革共同入管闘争組織委員会〕
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