天皇退位・即位・改元粉砕を 戦争・改憲への「挙国一致」狙う攻撃

週刊『前進』04頁(2901号01面02)(2017/12/11)


天皇退位・即位・改元粉砕を
 戦争・改憲への「挙国一致」狙う攻撃


 12月1日、政府は宮内庁内で「皇室会議」を開き、現天皇アキヒトの退位日を2019年4月30日とし、翌5月1日に皇太子ナルヒトの新天皇への即位と新元号の施行を実施するとの意見をまとめた。近く政府が閣議で正式決定する。
 安倍は会議後の記者会見で「天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位が、国民の皆さまの祝福の中でつつがなく行われるよう、全力を尽くす」と表明。衆院議長・大島理森も「国民が祝意と敬意を持つ中で(退位を)行える環境を考えてほしいという思いで会議に臨んだ」と明かした。
 ここに表れているのは、安倍政権の危機と改憲攻撃の行き詰まりである。すなわち安倍は、現天皇退位―新天皇即位という天皇制の存続のための儀式を最大限に活用して労働者民衆の闘いを必死に抑え込み、「総翼賛」状況をつくり出すことで突破しようと狙っているのである。
 実際にこの日程は、安倍の改憲に向けた政治スケジュールと完全に一体だ。19年4月に向け、共謀罪や破壊活動防止法を使った治安弾圧で闘う労働組合や革命党を弾圧し、一切の階級闘争を鎮圧する。そして天皇代替わりを「静かな環境」で行い、そのまま7月参院選・改憲国民投票を一気に強行しようというのだ。
 だが、これはまさに18〜19年の階級決戦において、労働者階級が団結して治安弾圧を敢然と打ち破り、安倍の戦争・改憲に絶対反対の大闘争を巻き起こしていくならば、逆に天皇制そのものの存立条件が総崩壊していく情勢を切り開くことができるということだ。
 とりわけ全世界の労働者の闘いの日である5月1日メーデーを「新天皇即位」で塗りつぶそうとしていることに、怒りを爆発させなければならない。メーデーは1886年5月1日、アメリカ・シカゴの労働者の8時間労働制を掲げたストライキに始まり、世界の労働者階級が幾多の犠牲を払いながら連綿たる闘いでかちとってきた。今、安倍は8時間労働制の解体と一体で天皇代替わりをも利用したメーデー潰しを狙い、連合幹部や天皇礼賛主義に転落した日本共産党はその先兵と化している。絶対に許せない。労働者階級の誇りにかけ、闘う労働組合の赤旗を林立させて天皇代替わりの攻撃を迎え撃とう!

反革命のシンボル=天皇制打倒を!

 そもそも天皇制とは、人間の本来的な平等性・普遍性を否定する徹底した差別主義、民族排外主義、選民思想に貫かれたものだ。それは今日的には、「社会の主人公は労働者だ」「労働者の団結した闘いこそ社会を変革し、歴史をつくる力だ」ということを有無を言わさず否定しようとするものだ。ゆえに革命の現実性に恐怖する資本家階級は、天皇制を反革命的結集のシンボルとするのである。
 かつての日帝の戦争は、「この世に天皇ほど尊いものはない。天皇のために死ぬことにこそ至高の価値がある。天皇に逆らった者が厳罰に処されるのは当然であり、生かしておいてはならない」というイデオロギーを全社会に暴力的に押し付け、そうして労働組合を解体して産業報国会化することで初めて可能となった。これに対し、プロレタリア革命を放棄した戦前の日本共産党は、労働運動を軸とした階級的反撃を組織できずに敗北し、最後は党最高幹部が獄中で天皇制に屈服する転向声明を出すという裏切りへと至った。
 今日、「戦争か革命か」をめぐる世界史的分岐点において、再び天皇制が政治の前面に押し上げられた。だが天皇制は、労働者があらかじめ闘うことを放棄して屈服しない限り、何の力も権威もないものだ。戦後の「象徴天皇制」はその最後の破産形態である。
 「労働者階級はプロレタリア革命の一環として、天皇制の一切の形態を粉砕し、根こそぎに一掃する」(革共同綱領草案)。この闘いを今こそ実行しよう!
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