住民動員し「防空演習」 長崎 ミサイル着弾を想定

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週刊『前進』04頁(2899号02面05)(2017/12/04)


住民動員し「防空演習」
 長崎 ミサイル着弾を想定


 11月22日、長崎県雲仙市でミサイル発射想定訓練が自治体、警察、消防、自衛隊など22機関・200人と住民を動員して、政府と長崎県の主催で行われました。他国(実際に想定されているのは北朝鮮)からの弾道ミサイルが県内に着弾したことを想定した訓練で、国民保護法の武力攻撃事態を想定した全国初の訓練とされています。ミサイル2発が着弾し、住民が重軽傷を負ったと想定して、着弾地点周辺の有害物質の点検・除染や負傷者の救護・搬送などを含めた総合訓練として行われました。従来の訓練とはレベルを異にしています。
 この訓練は、北朝鮮への排外主義をあおり、戦争への道を開く訓練であり徹底弾劾します。
 この訓練は、まさに戦時中に行われた「防空演習」とまったく同じです。「防空演習」は、1930年代前半、いわゆる「非常時」が叫ばれた時から全国各地で行われるようになりました。1930年代前半は、日本が中国侵略に本格的に乗り出していった時ですが、この時はまだ日本が空襲を受けることはありませんでした。日本が本格的に空襲にあうのは、日米開戦、太平洋戦争以降、それも末期の過程です。しかしそのはるか以前から、当時の日本政府は「防空演習」を行い、住民を動員して空襲に対する訓練をしていたのです。
 それは、その目的が「住民の保護」などにはなく、救護活動などを軍民一体で総合訓練として行うことで、一般の民間人の非常時意識を駆り立て、その後の戦時体制をつくりあげていくことにあったからです。こうした「防空演習」などを通じて、その後日本では国家総動員体制がつくられ、侵略戦争を拡大していったのです。
 今回の雲仙で行われたミサイル発射想定訓練は、行政、警察、消防、そして自衛隊と住民が一体の総合訓練として行われており、まさに戦争への道を敷いた「防空演習」と同じ訓練が繰り返されたのです。
 「防空演習」は、戦争に向けた国家総動員体制をつくるために行われましたが、太平洋戦争末期の米軍の空襲に対しても、広島・長崎への原爆投下に対しても、こんな訓練は何の意味も持ちませんでした。
 今回の訓練も、安倍政権が進める改憲と戦争の攻撃の一環であり、国家総動員体制をつくっていくための訓練にほかなりません。現代の戦争は、核戦争になろうとしています。必要なことは、労働者民衆の団結した力で絶対に戦争・核戦争を止めるということです。戦争を必然化する資本主義の社会を転覆し、労働者民衆が主人公となる社会をつくりあげることです。
 安倍政権が進める排外主義の政治、戦争と改憲の政治を許さず、それと一体で行われた国家総動員体制づくりのための今回のミサイル発射想定訓練の強行を徹底弾劾します。労働者の団結と国際連帯で、改憲を阻止し、朝鮮侵略戦争を阻止しよう!
(長崎 M)
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