帰還拒む「自主避難者」の住宅追い出し提訴許すな 公的支援うち切り福島圧殺狙う
週刊『前進』04頁(2895号04面02)(2017/11/20)
帰還拒む「自主避難者」の住宅追い出し提訴許すな
公的支援うち切り福島圧殺狙う
2011年3・11福島第一原発事故で避難区域外から「自主避難」している人たちを住宅から強制的に追い出す攻撃が一挙に激化している。絶対に許せない。
福島県内に住む「自主避難」の5世帯に対し、県が住宅の明け渡しなどを求めて福島地裁に提訴する方針であることが11月10日、明らかになった。9月下旬には、山形県米沢市に「自主避難」した8世帯に対し、立ち退きと家賃の支払いを求める訴訟を、住宅を管理する独立行政法人が山形地裁米沢支部に起こした。
いずれも今年3月末、福島県が非情にも「自主避難者」に対する住宅の無償提供を打ち切ったことによるものだ。打ち切り対象は昨年10月末段階で1万524世帯・2万6601人にのぼる。しかも許しがたいことに、福島県はこの4月から「自主避難者」を避難者数として数えてもいない。
避難は生きる権利
福島第一原発事故後の4月22日、国は「年間20㍉シーベルト」を超える地域だけの避難を決めた。だが「年間20㍉シーベルト」とは、原発推進のために、政府が「一般の人が1年間に浴びても良い限度」と定めている「年間1㍉シーベルト」さえ20倍も上回る、とてつもない放射線量だ。これを下回る地域は避難させないなど「殺人」に等しい暴挙であり、断じて許されない。区域外の多くの福島県民が自力で避難せざるをえなかった。それは、子どもや家族の命と健康を守るための、悩みに悩んだ末の決断だった。当時妊娠中だったお連れ合いと5歳の長男とともに、郡山市から静岡県に「自主避難」した男性は語っている。「6年前、たくさんの親が悩みながら行動をとったことは尊重されるべきだ」「私たちの避難行動は誰からも非難されることではない。私たちには生きる権利があります」
反対署名の強化を
しかし「避難区域外」として、東電は卑劣にも賠償金を一銭も出さない。「自主避難者」にとって、福島県全域が災害救助法の適用を受けたための措置である「住宅の無償提供」だけが公的支援のほぼすべてだった。そのため困窮に陥っている人がほとんどだ。政府は今年3月31日と4月1日、帰還困難区域以外の避難指示も解除した。10月21日にはJR常磐線の富岡駅までの運転再開を強行し、全線開通までもくろんでいる。すべて、福島原発事故を終わったことにし、朝鮮侵略戦争と改憲、原発再稼働と核武装に突き進むための攻撃だ。
避難者の「帰らない」闘いが、これに立ち向かっている。「被曝と帰還の強制反対署名運動」をさらに強め、「絶対反対」の福島の怒りと団結し、ともに安倍政権を打倒しよう。