動労千葉の職場闘争に学ぶ 絶対反対の団結は職場の全員が闘う中で作られる

週刊『前進』04頁(2895号03面03)(2017/11/20)


動労千葉の職場闘争に学ぶ
 絶対反対の団結は職場の全員が闘う中で作られる


 JRは外注会社への転籍攻撃を柱とした第3の分割・民営化攻撃に踏み込んでいます。これはまた「働き方改革」としての全労働者への攻撃です。反合・運転保安闘争で職場生産点から反撃を組織し、労働法制改悪を粉砕しよう。

組合の方針で一斉に動くことが力に

 動労千葉は幕張支部を中心に、外注化攻撃を10年以上も阻止し続けています。それは職場の労働過程を支配する闘いであり、職場の労働者全体を闘いに引き入れ、団結を組織していく過程でした。
 動労千葉の中野洋前委員長は「俺はたえず全組合員、全職場労働者がやれる闘いを設定してやってきた。要は、全職場労働者を巻き込んだ闘いをつくり出すことが鍵だ」と言っていました。それを典型的に示したものに、幕張支部のワッペン闘争があります。
 安全週間に当局から支給される「安全ワッペン」について、組合員には「こんなもの着けられるか」と言う人もいるし、逆に「これを外したからといって何になるのか」と言う人もいます。しかし一人ひとりが勝手に着けたり外したりしていたら、会社は処分すればいいだけです。だから「今日は着ける」「今日は着けない」と、一斉に着けたり外したりして闘いを組織しました。引くも押すも、組合の方針で職場全体が動くことが力になります。
 よく「一人の百歩より百人の一歩」と言いますが、動労千葉は「一人の百歩は団結破壊になりかねない」と言います。「俺は50歩」「俺は10歩」と各々が言い始めたら、闘いも団結も成り立たないからです。たった一歩の前進を、あるいは一歩の後退を、どれだけ足並みをそろえて行えるのかが問題なのです。団結とは知識やイデオロギーを押し出せばつくれるものではなく、みんなで前進や後退を繰り返す中から形成される、労働者階級の社会的能力です。
 ワッペン闘争は、それによって何かを獲得したわけでも、JRに大打撃を与えたわけでもありません。だからこそ逆に、反合・運転保安闘争の考え方が、純粋に示された典型的な闘いと言うことができます。

職場闘争が組合の団結と共同性築く


 中野前委員長はよく「職場全体の闘いがうまくいった直後の三里塚集会には、普段は動員に来ないような組合員が来る。当局もよく見ていて、それは当局にはすごい打撃になる。そうやって力関係を変えていった」と言っていました。
 支部全体の闘いで大勝利したものに、館山運転区廃止反対闘争があります。06年7月、会社は翌年4月に館山運転区を廃止し木更津運輸区を新設すると提案してきました。勝浦運転区廃止攻撃に続く、動労千葉の拠点廃止攻撃でした。これに対して館山支部は、「館山運転区廃止絶対反対」を掲げ闘いに立ち上がります。地域オルグという、支部全員が参加できる闘いを設定し、それを通して支部の団結を固めました。
 最終的には希望配転先調査に対して「第2、第3は書かない。第1希望一本で行く」方針を確立し、支部の全員が「第1希望一本書き」を貫徹します。館山運転区は廃止されましたが、館山支部全組合員が丸ごと木更津運輸区へ異動となりました。支部破壊攻撃を完全にはね返したのです。
 組合員の中にも、管理者とケンカできる人、できない人は当然います。それが、反対闘争の過程でケンカできるようになった。「絶対反対を貫く」ことは、職場全体の闘いがあって初めて可能になります。
 戦後労働運動の中で既成の「マルクス主義」政党・諸党派は、左派だけの団結、身内だけの団結、闘う者だけの団結しかつくれず、闘わない部分は簡単に切り崩され、分裂組合をつくられて敗北しました。
 館山運転区廃止反対闘争について『俺たちは鉄路に生きる3』で、組合員はこう言っています。「当局や他労組を相手にしているより、自分の組合員を相手にする方がしんどいね」「そこが一番大事なところだよ。他の労働組合はそこで負けるから、腐っちゃう。組合員をまとめられないから、当局にも負ける」「立派な方針だけつくっても、支部全体の闘いにならなければ逆に足下を見透かされてしまう。組合の団結とはそういうものだから」
 職場闘争の核心は、資本との闘いを通して労働者同士の信頼関係、人間関係を形成していくことにあります。それが「団結を軸に総括する」ということです。
 国鉄分割・民営化攻撃で資本は、職場闘争の根絶に全力を挙げました。動労千葉は、2波のストライキを頂点に徹底的に職場闘争を闘いぬいて、分裂を許さず団結を守りぬきました。
 労働組合は、労働者階級の共同体です。労働過程をめぐる職場闘争は、労働組合の団結と共同性の物質的土台です。反合・運転保安闘争で職場闘争を復権し、職場生産点から革命を起こしましょう。
(菅沼光弘)
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