戦争あおるトランプと安倍 40年ぶりの大軍事展開 北朝鮮への核攻撃許すな

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週刊『前進』02頁(2894号02面01)(2017/11/16)


戦争あおるトランプと安倍
 40年ぶりの大軍事展開
 北朝鮮への核攻撃許すな

(写真 韓国 戦争反対!トランプ帰れ 民主労総など200団体で構成するNOトランプ共同行動は、「戦争をあおるトランプは帰れ!朝鮮半島問題は平和を願う韓国民衆が直接解決する」と声を上げた【11月7日 ソウル】)


 11月5〜13日にかけての米大統領トランプのアジア5カ国歴訪(日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピン)と並行して、11日から日本海で米核空母3隻を投入した軍事演習が始まった。この巨大軍事力を背景に、トランプは「自由で開かれたインド太平洋戦略」と称する対アジア戦略を打ち出した。だが、北朝鮮包囲網の構築と米帝のアジア支配の巻き返しを狙った今回の歴訪は、むしろ米帝の没落・衰退とトランプ政権の底なしの危機を露呈させた。トランプとの結託を深める日帝・安倍の危機はさらに深刻である。

安倍が「百%」支持を表明

 横須賀港を拠点とする米海軍第7艦隊は11日、原子力空母ロナルド・レーガン、同セオドア・ルーズベルト、同ニミッツがそれぞれ率いる空母打撃群を日本海に投入し、韓国海軍との軍事演習を開始した。12日には日本の海上自衛隊とも共同訓練を行った。
 米空母3隻が朝鮮半島近海に同時投入されるのは、朝鮮半島の南北軍事境界線で偶発的な衝突事件が起きた1976年以来、41年ぶり。76年を除けば53年の朝鮮戦争休戦以来となる。
 このような米トランプ政権の戦争挑発を全面的に支持し、「百%ともにある」とまで声明した唯一の政府が日本の安倍政権だ。
 6日の日米首脳会談は、日本が米国製の兵器を大量に購入することをその場で合意するという、前代未聞の戦争会談となった。日本政府が米政府との直接契約で兵器を購入する有償軍事援助(FMS)予算額はすでに3596億円に達しており、安倍政権発足から5年間で実に2・6倍に膨張した。だがトランプはさらに大量の兵器購入を迫り、安倍はこれを好機とばかりに巨額の米国製兵器を買い込み、自衛隊を本格的な侵略戦争部隊につくり変えようとしているのだ。
 だがその一方で、政府・マスコミをあげて演出される白々しい「蜜月関係」とは裏腹に、日米間の激しい経済対立も表面化した。トランプは「日本との貿易は公平ではない」と増大する対日貿易赤字への不満を表明し、日米2国間のFTA(自由貿易協定)に踏み込む構えを強調。いまだにTPP(環太平洋経済連携協定)に固執する安倍への不快感をあらわにした。他方で、日本が強引に「大筋合意」に持ち込もうとしたTPP交渉は11日、カナダの反対で首脳会合が急遽(きゅうきょ)中止される事態となり、今後の協定発効の見通しも立たない状態だ。
 帝国主義・大国同士の利害が激しくぶつかり合う中で、没落・衰退にあえぐ米日帝国主義は、いよいよ戦争に訴える以外に延命の道がなくなっている。

韓国民衆の闘いに続こう

 韓国では7〜8日、民主労総など200以上の団体でつくる「NOトランプ共同行動」が、トランプとそれを迎えるムンジェイン政権への抗議行動を展開する中、米韓首脳会談とトランプの国会演説が行われた。トランプは演説で、北朝鮮を「監獄国家」「地獄」などとののしり、核・ミサイル問題での批判にとどまらず北朝鮮の存在そのものを〝絶対悪〟とみなして激しく攻撃した。
 トランプがここまで踏み込んだ背景には、ムンジェイン政権を自らの意思のもとにねじ伏せる狙いがあった。この間、ムンジェインは「日米韓が3国軍事同盟に発展するのは望ましくない」と発言し、米政府が提案した日本海での3カ国合同軍事演習も拒否した。結果、日本と韓国が別個に米軍と演習する形となった。
 ムンジェインがこうした態度をとらざるを得ないのは、パククネ前政権を完全打倒した民主労総を先頭とする韓国民衆の不屈の闘争が、今もムン政権を揺るがし続けているからだ。トランプと安倍はこの状況に焦りといら立ちを募らせつつ、韓国で始まった革命がアメリカや日本に波及することを心底恐れている。
 続いてトランプは中国、ベトナム、フィリピンを訪問。中国・習近平との首脳会談では「米中協力」を演出したが、ベトナムでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)では米中対立が表面化した。中国の「一帯一路」戦略に対抗し、トランプは2国間FTAを主体とする「自由で開かれたインド太平洋」構想をぶち上げたが、「米国第一」のトランプに各国が反発。むしろ米帝のアジアに対する支配力・求心力の低下が浮き彫りになった。
 こうした中、トランプ政権の商務長官ロスがタックスヘイブン(租税回避地)を利用し、ロシアのプーチンと近い企業との取引で利益を得ていたことが発覚。一連の「ロシア・ゲート」疑惑で現職閣僚が直接関与していたことが判明した。「『既得権層による富の独占』を批判して大統領選に勝利したトランプ氏だが、政権はタックスヘイブンと深く結びついている」(11月6日付朝日新聞)という事実が暴かれ、トランプは窮地に立たされている。

改憲絶対阻止の大闘争を

 トランプは、米帝の没落・衰退と政権崩壊の危機からの活路を朝鮮侵略戦争に見出そうとしている。そしてトランプ以上に突出して戦争をあおっているのが安倍政権だ。
 自民党は8日、憲法改正推進本部の幹部会合を開き、来年1月召集の通常国会に改憲案を提出する方針を固めた。憲法9条に新たに(第3項ではなく)「9条の2」を新設して自衛隊を明記することが最大の焦点となっている。この改憲案は、2012年発表の自民党改憲草案と本質的に同じものだ。12年改憲草案では、「9条の2」として「国防軍」の保持が明記され、軍法会議に相当する「審判所」の設置が規定された。安倍は現行憲法9条の1項、2項はそのまま残すとしているが、「9条の2」で自衛隊の保持を明記すれば2項は無効化する。そしてそれは軍法会議の設置や本格的な「国防軍」化に直結するのだ。
 いよいよ改憲阻止の歴史的決戦が到来した。だが、既成の野党や自称「リベラル」派の主導する運動は、安倍と同じ札付きの改憲論者である枝野幸男らの立憲民主党を中心に「野党共闘」を推進するものでしかない。その旗振り役の日本共産党はトランプ・安倍の戦争会談に抗議もせず、安倍とともに北朝鮮への圧力強化を叫んでいる。
 こうした既成野党の屈服・腐敗とは対照的に、11月国際共同行動は、動労千葉と民主労総の国際連帯を軸に東京とソウルで大成功した。この団結の力を一層発展させ、全国の職場、地域、学園で改憲阻止の大闘争を今こそ巻き起こそう!

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