外注化で労働者が殺された 新江東清掃工場で労災死 命守りぬく労働組合の団結を
週刊『前進』04頁(2891号02面01)(2017/11/06)
外注化で労働者が殺された
新江東清掃工場で労災死
命守りぬく労働組合の団結を
(写真 東京都江東区夢の島にある新江東清掃工場。ごみ焼却能力は1日1800㌧と23区内で最大で、建物も大きく見上げるように高い。下請け労働者の転落死亡事故はこの工場内のクレーンの補修工事中に起きた)
8月27日、東京の新江東清掃工場で補修工事中の労働者が転落死した。2次下請け企業の労働者である。同様の事故が同じ工場、同じ元請けのもとで2002年1月、13年1月と続き、今回で3度目だ。外注化による非正規職化・団結破壊で労働者が殺されている。安倍政権が進める戦争・改憲と一体の労働大改悪は安全をさらに破壊する。現場の怒りを結集し、団結の力で命を守り闘いぬこう。
補修工事の下請け労働者が転落死
8月27日の事故は、監督にあたるべき整備係が日曜で不在のまま工事が進められた夕方に起きた。作業員3人でごみクレーンの補修工事中、近くの溶接作業でごみが燃え上がったため、工事を中止して移動する際に63歳の男性が約8㍍下のコンクリート床に転落し死亡した。事故の後、元請けは火災防止対策と「墜落の恐れのある場所では安全ベルトを外さないよう再教育を実施」するという再発防止計画を労働基準監督署に提出した。事故を労働者の責任にし、火事が起きて移動しようとする労働者に「安全ベルトを外すな」というものでしかない。この企業は新江東で別に1件、葛飾工場で3件の事故隠しが明らかになっている。今回もこれで済まそうというのだ。
工事を委託した当局は、元請けの選定理由を「工事に伴うクレーンの停止期間を最小にするために設備に精通する製造業者に施工させるため」とした。しかし現実にはその企業は「精通する」ことなどありえない2次下請けに任せた上に、工期を急がせて監督員のいない休日にまで働かせて死亡事故を起こしたのである。事故後も当局は元請けを2カ月間の指名停止にして、「安全意識および対策を徹底するよう指示していく」としただけだ。
13年の事故の際も、労働組合の追及に対し当局も元請けも「安全教育を含め労働災害等の防止に万全を期す」と回答するのみであった。過労死・過労自殺を起こしたNHKや電通、新国立競技場建設の大成建設の社長の答弁と変わらない。
委託による効率化うたって安全破壊
2000年、東京23区の清掃事業(ごみ収集など)の都から各区への移管後、21ある清掃工場(焼却業務)などの管理運営は東京23区清掃一部事務組合(管理者は23区の区長の互選)に移された。それ以降、清掃工場は次々と民間委託された(新江東は直営)。15年2月に出された経営計画は、21工場中14工場で民間委託を導入することで人件費を減らし8年間で累計17億円の効果を得たとし、委託による効率化の推進で05年度と比較して3割の人員削減をめざすとしている。しかしその結果は労災死亡事故の多発だ。09年9月、直営の品川工場でも下請けの21歳の派遣労働者が灰を運ぶコンベヤーに引き込まれて死亡した。効率化・人件費削減で何度も同じことが繰り返されている。「カネがすべて」の資本の論理で労働者が殺されている。委託・外注化、非正規職化はそこで働く労働者を分断し連携を断つ団結破壊・労働組合破壊である。それは一握りの大資本家・権力者の利益のために労働者を殺し合わせる戦争と同じだ。安倍と小池が「生産性向上」「生産性革命」と称して進める戦争・改憲と一体の労働法制大改悪への怒りを爆発させよう。
安倍「働き方改革」と闘う労働組合を
同じ工場内で起こった下請け労働者の労災死亡事故に対して、清掃工場の労働組合が「二度と繰り返してはならない」と怒りの声を上げた。職場の労働組合の団結した闘いだけが、安倍や資本の戦争・改憲、民営化・外注化、労組破壊攻撃を打ち破って、労働者の命を守り、生きる誇りを取り戻すことができる。動労千葉は国鉄当局の労働組合破壊、安全破壊の攻撃に対し、反合理化・運転保安闘争を武器に「鉄路に生きる」誇りと団結を固めて闘い続けた。国鉄分割・民営化による改憲と労組破壊の大攻撃に対し、処分を恐れぬストで立ち向かい、国鉄闘争の巨大な地平を切り開いてきた。動労東京八潮支部は10月13日、敢然と24時間ストに立ち、全労働者にともに闘うことを呼びかけて資本を追いつめ、3カ月雇用の組合員の正社員化と全労働者の賃上げをかちとった。
社会を回している労働者の団結の力、ストライキで闘う労働組合の力を爆発させる時がきた。国鉄分割・民営化で総評を解散に追い込み改憲・戦争のために結成されたはずの連合は、朝鮮侵略戦争が切迫する中で噴出する労働者の怒りで分裂・崩壊、打倒される歴史的情勢に入った。斎藤いくま全学連委員長を先頭に「この国に革命を」の沸き立つ興奮と支持を得た衆院選と11・5労働者集会―1万人大行進、国際連帯闘争の新たな地平は、時代の転換を告げ知らせた。安倍と手を組む連合本部に取って代わり、ゼネストをめざし闘う階級的労働運動が主流派となって躍り出よう。民営化・外注化阻止、非正規職撤廃で闘いぬこう。