知る・考える 用語解説 被曝と帰還の強制―原発事故を「なかった」ことにする攻撃

週刊『前進』02頁(2882号02面02)(2017/10/05)


知る・考える 用語解説
 被曝と帰還の強制―原発事故を「なかった」ことにする攻撃


 鉄道をはじめインフラ整備や自治体、学校などで働く労働者に被曝労働をさせ、福島第一原発事故を原因とする高放射能汚染地帯に住民を帰還させる攻撃。原発事故をなかったことにし、福島の人びとの命・健康と引き換えに国家と資本の延命を図るものだ。
 原発事故は今も収束していない。原発労働者が被曝しながら爆発を食い止めているのが現状であり、汚染水は垂れ流され、溶けた核燃料には近づくことすらできない。小児甲状腺がんをはじめ、さまざまな疾病が拡大している。
 政府・福島県は、除染に効果がないことを開き直り、県民は「空間線量が年間20㍉シーベルト以下になれば帰還させる」としている。年間20㍉シーベルトとは一般人の公衆被曝限度の20倍。そして原発労働者の白血病の労災認定基準が5㍉シーベルトだ。このようなところに子どもを含む住民を帰還させることは、国家による殺人だ。
 17年3月末、政府・福島県は帰還困難区域を除く避難指示を一斉に解除した。「自主避難者」への住宅提供を打ち切り、「避難をやめて被曝するか、困窮に陥るか」の選択を「自主避難者」に迫っている。国とJR東日本は20年東京オリンピックまでに常磐線を全線開通させるとして、原発に向け延伸させている。帰還困難区域を2年前倒しで解除する計画すら打ち出した。
 常磐線開通阻止を闘う動労水戸に続き、職場から被曝労働拒否を闘う労働組合をつくることが求められている。
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