闘いは進む 青年の職場から 社長と交渉して勝利、一人でも闘えると実感 民間 四国 日下部 剛
週刊『前進』04頁(2881号02面05)(2017/10/02)
闘いは進む 青年の職場から
社長と交渉して勝利、一人でも闘えると実感
民間 四国 日下部 剛
私は、20歳から15年間、グラビア印刷のオペレーターの仕事をしています。転職はしましたが、職種は変わっていません。「グラビア」というと、週刊誌などのページを思い浮かべるかもしれませんが、まったく違います。ゴミ袋、レジ袋、スナック菓子の袋など、プラスチックフィルムに印刷することを「グラビア印刷」と言います。
私の会社は、5年前に大手メーカーの倒産に伴い、別会社に吸収合併、合理化されました。合併と同時に給与体制は一変し、各種手当とボーナス全額カット、残業も印刷ノルマに応じて支給される評価賃金制になり、年収も150万円近く下がり、多くの社員が辞めていきました。
2年前、そんな会社に嫌気がさして辞めることを決断しました。しかし、本意ではありません。悩んだ上、ユニオンに相談すると、社長とタイマンで交渉してみろということになりました。
早速翌日、単独で社長室に乗り込み交渉。その場でカットされ続けていた職務手当2万円を毎月支給させることで、妥結しました。私も、退職は撤回し会社に残る決断をしました。一人でも闘えることを実感し、人生を見つめ直すきっかけとなりました。
私は15年近く、職人としてこの仕事一本でやってきました。合理化だ、賃下げだ、とあきらめていたら今まで生きてきた自分の人生を否定することになると思いました。お金も大事だけれど、もっと大事なものがある。それは、やはり自分の仕事に対する責任と誇りです。
ブラック企業に残るというのは、人間性を問われます。それは、JRで働く国鉄労働者と考えは一緒です。民営化で人生を左右され、仲間の命も奪われ、仕事も追い出される。しかし、失ってはいけないものがあります。それは国鉄労働者としての誇りであり、団結です。おかしいことは、おかしいと筋を通さなければなりません。それが、私たちの生きる道です。
私は輪転機を、いつもピカピカにしています。それを運転保安闘争の一貫と位置づけています。自分の職場は自分で守る。それが心意気です。
職場の矛盾に対しては、実力をもって行動する。もちろん仲間を組織することが重要ですが、難しいときは、労働者の武器であるマルクス主義を頭のどこかに入れておくと良いでしょう。
今年に入り、会社はとなり町に新工場を建設し、5月には全業務を移管しました。新工場では夜間勤務も始まっています。ゆくゆくは、私が働く工場も業績不振を理由に閉鎖、合理化する計画です。最後まで、職人として筋を通したいと思います。