東京オリンピックやめさせよう 労働者・学生を食い物にしたゼネコン・政治家の金権腐敗

週刊『前進』04頁(2877号03面03)(2017/09/18)


東京オリンピックやめさせよう
 労働者・学生を食い物にしたゼネコン・政治家の金権腐敗


 2020年東京オリンピックは、招致活動にからむ裏金、金権腐敗を見ても明らかなように「スポーツの祭典」などというきれいごとではまったく済まない。それどころか、「2020年新憲法施行」をはじめ戦争、民営化、治安弾圧強化など安倍や小池都知事のあらゆる攻撃の口実となっている。共謀罪は「オリンピックの成功のため」として強行された。小池知事は築地市場を更地化しオリンピック用の駐車場にする計画を打ち出し、臨時都議会で豊洲移転予算を採決した。
 オリンピックの本質は「1%」の資本家どもが「99%」の人民を犠牲にして利益をむさぼる腐りきった装置だ。またオリンピックの歴史は戦争と結びついている。かつてナチスは1936年ベルリンオリンピックを独裁権力強化と国威発揚のてことし、大会後、ドイツの領土拡大とユダヤ人迫害を一気に激化させた。大恐慌と戦後世界体制の崩壊の中で、日帝にこの歴史を再び繰り返させてはならない。労働組合を先頭にオリンピック攻撃と全面的に闘おう。

無償労働に動員

 8月28日付読売新聞夕刊は驚くべき記事を掲載した。「五輪ボランティア学生集まれ!」という見出しで「東京五輪・パラリンピックの主戦力として、大会組織委員会は、全国の大学と連携して大学生数万人を集める仕組みづくりに乗り出した」という。大学に単位として認定するよう要請するほか、就職活動向けに組織委が「参加証明書」を発行するとしている。
 オリンピックという国家的イベントを使って9万人を無償労働に駆り出そうとしている。主なターゲットは学生だ。就職難につけこみ、「国のために若者は滅私奉公せよ」というのだ。しかも労働者に払うべき人件費が「節約」される分だけ、組織委会長の森喜朗や安倍のような腐敗政治家や資本家はもうける。それは戦争の構図とも同じだ。

資本による殺人

 新国立競技場の23歳の労働者の「過労自殺」はオリンピックの本性を示した。起きたことは資本による殺人だ。月の残業時間は16年12月には94時間、17年1月には143時間、2月には212時間だった。過労死ラインとされる月80時間をはるかに超える残業をずっと強いられていた。
 そもそもオリンピックは巨額の税金をゼネコンなど資本に投げ与える格好の口実となっている。資本家と癒着する政治家にはキックバックが入る。現場では労働者が過酷な労働を強いられている。その上、新国立競技場をめぐっては当初の計画が白紙撤回され着工が1年2カ月も遅れた。再度の入札では工期短縮が要求され、矛盾は労働者に強制されている。
 こうした犠牲の上で行われるオリンピックは一体、誰のためか。東京大会の費用は現在のところ総額1兆3850億円で、負担の内訳は組織委が6千億円、国が1500億円、都が6千億円。18年3月を前に450万人有期雇用労働者の首を切り、あるいは一生非正規にし、若者も高齢者も生きられない、子育てもまともにできない社会をつくり出している連中が、これだけの税金を懐にしまいこもうとしている。
 大会後に残るのは何か。16年リオ五輪の競技施設は今、どんどん廃墟化している。900億円かけて建設されたメイン会場は施設の運営、管理、維持を請け負っていた会社が16年限りで営業停止し、現在は国の管理下にあるが、月に約9千万円の維持費を捻出できずに打ち捨てられている。ほかの施設も荒廃の一途をたどっている。大会組織委の負債のつけはリオ州とリオ市が肩代わりさせられた。その結果は、公共部門労働者の雇用・賃金の破壊と民営化、公教育・社会保障破壊、大増税だ。今、ブラジル労働者の怒りが大爆発している。
 大恐慌のさらなる激化の中で迎える東京オリンピックが、リオ以上の最悪の未来をわれわれにもたらすことは不可避だろう。

被曝強制許すな

 絶対に看過してはならないことは被曝の問題だ。福島第一原発事故の収束がまったく進んでいない現実、作業員の被曝、海洋への汚染水垂れ流し、甲状腺がんの激増、こうした現実をお祭り騒ぎで隠すために、競技やキャンプを福島県に誘致する。その大前提として20年3月までに原発直近を通るJR常磐線の全線開通を狙っている。JR労働者、自治体・教育労働者をはじめ労働者が被曝を強いられ、帰還を強制する先兵の役割を担わされる。
 しかも競技会場自体が放射性物質まみれの場所に建設される。放射性廃棄物埋立地である中央防波堤にカヌー・ボート競技用の「海の森水上競技場」が造られ、競技者、観客はみな被曝する。労働組合が被曝労働を許さない闘いに立ち上がることが決定的だ。
 このようにオリンピックは一握りの資本のためでしかなく、日本帝国主義の延命をかけた攻撃だ。こんな大会のために労働者が殺され、人民の未来が破壊されることをどうして許せるだろうか。オリンピックを直ちにやめさせよう。
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