Jアラートに怒りが沸騰 ミサイル口実の「戦争動員」大破産
週刊『前進』04頁(2873号01面02)(2017/09/04)
Jアラートに怒りが沸騰
ミサイル口実の「戦争動員」大破産
朝鮮半島での米韓合同軍事演習、北海道での日米共同訓練が展開される中、追い詰められた北朝鮮キムジョンウン政権は8月29日早朝、中距離弾道ミサイル1発を太平洋に向けて発射した。支持率低下にあえぐ安倍政権はこれを格好の口実として、Jアラートを使って大々的に危機を演出し、「ミサイルの脅威」を異様なトーンであおり立て、社会全体を戦時モードで塗りつぶそうとした。森友・加計疑獄で暴かれた安倍らの国家犯罪から人びとの耳目をそらし、戦争・改憲への世論誘導と戦争動員態勢の構築を狙ったのが今回のミサイル騒ぎの本質である。
こうした政治目的のために、政府はミサイルの軌道とはおよそ無関係の地域を含む12道県にJアラートを発信し、戦時下の空襲警報を思わせる「国民保護サイレン」を鳴り響かせた。安倍は発射直後の会見で、「わが国に北朝鮮がミサイルを発射した」などと、実際に日本を標的にミサイルが撃たれたかのように公然とうそをついた。JR東日本とJR北海道は新幹線・在来線の全線で運行を停止し、各テレビ局は災害発生時のように番組を変更して「北朝鮮がミサイル発射。落ち着いて行動して下さい」などと、ミサイルがとっくに通過した後も延々と流し続けた。
だが実際には、今回のミサイルは日本の領空でもない上空550㌔の宇宙空間を通過し、日本から1180㌔も離れた公海上に落下した(地図)。発射角度と飛行高度からして日本を狙ったものではないことは明白な上、日本に何らかの被害(破片の落下など)が及ぶ可能性すら皆無であることは発射直後の時点で把握されていた。その後の記者会見で、安倍が「発射直後からミサイルの動きは完全に把握」などとうそぶいていることからも明らかだ。
そもそも安倍らは「国民の生命と安全」を本当に守るつもりなど毛頭ない。奇しくも同じ日、岩国基地から普天間基地へ向かう米軍輸送機オスプレイが原因不明のエンジントラブルで大分空港に不時着した。墜落事故が頻発するオスプレイを住宅街の真上に飛ばすことを許可しているのは安倍政権だ。
うそまでついて排外主義をあおり、戦時下のように警報を鳴らし避難しろと命令する安倍に全国で怒りが沸騰している。
北朝鮮の今回のミサイルは米韓軍事演習すなわち米トランプ政権の戦争挑発へのキムジョンウン政権の軍事的対抗である。こうしたスターリン主義の反労働者的な対応は戦争の危機を高めるだけである。また日本共産党は政府の異常な対応については一言も問題にせず、安倍と異口同音に北朝鮮を非難し、臨時国会を早く開いて北朝鮮弾劾決議を上げろと叫んで排外主義の大合唱に加わっている。絶対に許せない。
今、労働者階級に求められていることは、軍事演習やサード配備に反対して不屈に闘う韓国・民主労総と連帯し、戦争・改憲を狙う安倍を労働運動の力で打倒することだ。11・5労働者集会—改憲阻止1万人大行進の大成功をかちとり、切迫する朝鮮戦争を始まる前に止めよう。