焦点 極右テロあおるトランプに怒り 分断打破し労働者が決起

週刊『前進』02頁(2872号02面03)(2017/08/31)


焦点
 極右テロあおるトランプに怒り
 分断打破し労働者が決起


●トランプ、極右を美化
 8月11〜12日、バージニア州シャーロッツビル市にクー・クラックス・クラン(KKK=人種差別主義襲撃集団)、ネオナチ(ナチスを信奉する集団)などが全米から集まった。さまざまな勢力が結集する「右翼統一集会」を開催するためだ。トランプ政権登場を機に極右を再編し、大勢力として登場しようという動きの一環だ。集会の直接の焦点は、同市が南軍のリー将軍の像の撤去を決定したことへの反対だ。
 それに危機感をもった労働者人民は極右を圧倒する規模で同市に結集した。12日朝、労働者人民が密集している所に白人至上主義者が車で突っ込み、1人を殺害、19人を負傷させた。
 これに対してトランプは、「双方に非がある」として極右テロを免罪したばかりか、「双方にすばらしい人がいる」として極右を美化した。怒った労働者人民は、全米で決起している。ボストン市での極右集会に対しては5万人以上の労働者人民が結集し、500人の極右を圧倒した。
 民主党・共和党の既成勢力や大マスコミも「トランプはKKK・白人至上主義者・ネオナチを名指しで非難しなかった」として批判している。だが、トランプを登場させたのは、彼ら自身ではないか。トランプがKKKと公然と結合し、黒人への暴行も「裁判費用は私が持つ」と公言して、もっとやれとけしかけたにもかかわらず、マスコミは選挙運動中、他の候補の何倍もの紙面と時間を使ってトランプの報道を続けた。
 圧倒的多数である被支配階級を少数の支配階級が支配するためには差別=分断が不可欠だ。だから、彼らは最大限、トランプを支援し、利用してきたのだ。支配階級とそれを代表する共和・民主の2大政党こそが差別=分断をあおり極右を増長させたのだ。
●民主党が極右を育てた
 90年代、民主党クリントン大統領は「黒人のシングルマザー」を標的にし「福祉依存を許すな」のキャンペーンをし、ヒラリー・クリントンは黒人青年を「肉食獣」と呼んで差別=分断をあおった。60年代の労働運動・ベトナム反戦運動を土台にした黒人解放運動の獲得物を破壊することが、民主党クリントン政権の仕事だった。
 オバマ政権は「初の黒人大統領」と宣伝して登場したが、警察の弾圧は強化され、オバマ在任中、平均して1日に3人もの黒人が警官に殺された。14年8月にミズーリ州ファーガソンで黒人少年を殺した警官は、明白なビデオ証拠の存在と大規模な怒りの決起----暴動闘争や全米での巨大なデモ----にもかかわらず、連邦司法省の「調査」によって「銃の使用は正当防衛」とされた。
 ILWUローカル10(国際港湾倉庫労組第10支部)は組合員大会で決議し、警察による相次ぐ黒人・労働者人民への暴行・虐殺を止めるために港湾封鎖した。人種・民族・出身地の違いをこえて労働者は団結できることを示し、全米の闘いを牽引(けんいん)した。
 15年のサウスカロライナ州の教会で射殺事件を起こした極右青年が南軍旗とともに写真をとっていることが明らかになってから、南軍の旗や像への怒りはさらに拡大した。それが、シャーロッツビルの市会も動かしたのだ。
 1世紀半前の南北戦争で奴隷制の維持をかけて闘った南軍を正当化するイデオロギーが、現在もアメリカの右翼の軸になっている。
 安倍政権もまったく同じだ。戦争・植民地支配の犯罪を正当化し、帝国憲法の復活を狙う日本会議が軸になっている。最末期の危機にある支配階級にはそれしか支えがない。トランプも安倍も監獄にたたき込め!

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