全学連大会への結集を訴える(下) 「戦争と貧困」と闘おう 学費・奨学金・軍事研究の粉砕を

週刊『前進』04頁(2871号04面01)(2017/08/28)


全学連大会への結集を訴える(下)
 「戦争と貧困」と闘おう
 学費・奨学金・軍事研究の粉砕を


 全学連大会まであと数日に迫った。「学費・奨学金・軍事研究」を粉砕する学生運動の復権が決定的になっている。2017〜18年、大学キャンパスは「戦争と貧困」と闘う最前線だ。全力での結集を訴える。

戦争協力が行き着いた人体実験

 「私は部隊長の命令に従って研究したのであって、決して良心を失った悪魔になったわけではない」。これは、日本帝国主義のアジア侵略戦争時、細菌兵器研究機関「731部隊(関東軍防疫給水部)」の凍傷研究班長だった吉村寿人(京都大学講師から731部隊に送り込まれ、戦後に京大教授、京都府立医科大学長)の晩年の言葉だ。
 この言葉を紹介したNHK番組「731部隊の真実----エリート医学者と人体実験」(8月13日放映)が反響を呼んでいる。「731部隊」(京大医学部卒の石井四郎中将が隊長)では、3千人と言われる朝鮮・中国人民が人体実験の犠牲となった。凍傷実験をはじめ、コレラ菌・ペスト菌・チフス菌実験、ガス壊疽(えそ)実験、銃弾実験、性病実験などが生きた人間を実験材料として行われた。言語に絶する許しがたい戦争犯罪だ。
 年300億円(現在の金額に換算)もの予算がつけられた731部隊に、日本中の大学から合計40人の医学者が送り込まれた。最多が京大の11人、次いで東大の6人だ。陣頭指揮をとったのが京大医学部長の戸田正三。教え子を731部隊に送ることで2億5千万円(同)もの研究費を「見返り」にもらっていた。
 「教授からの派遣命令には抗(あらが)えず、『軍に入らなかったら破門する』と言われた」と自己弁護する吉村だが、現地では「良心を失った悪魔」の所業に手を染めていた。戦後もそれを反省せず、「命令に従っただけ」と居直りを決め込んだ。
 これが「大学の戦争協力」の行き着く先だ。「予算獲得のため仕方ない」と防衛省のカネに飛びつく教授たち。「上からの命令だから仕方ない」と学生弾圧を行う教職員たち。この連中は吉村と何が違うのか。戦前と戦後の大学は本質は何も変わらない。現在の新自由主義大学の腐敗まで一本道でつながっている。
 一昨年度から、防衛省が大学に直接資金を支給する「安全保障技術研究推進制度」が始まった。改憲・戦争にのめり込む日帝・安倍政権と、そのお先棒を担ぐ大学資本を一体で打倒するときだ。その力は唯一、学生運動の中にある。

東大で8千人の非常勤雇い止め

 8月17日、「東京大学が約8千人の非常勤教職員の大半を18年4月以降に雇い止めにすること」がインターネットニュースで報道された。8月7日に労組との団交で判明したという。
 13年4月に施行された改悪労働契約法の「5年以上同じ非正規職労働者を同じ職場で雇う場合、本人が希望すれば無期労働契約にする」という内容を逆手にとり、5年働いた非正規教職員を問答無用で解雇するというのだ。東北大の3243人雇い止めに続く、日本の大学では最大規模の首切り攻撃だ。
 これは東大だけにとどまらない。現在86の国立大学法人で約10万人の非常勤教職員が働いているが、5年働いた非常勤教職員を「原則無期転換する」としているのはわずか6大学だけ。他大学は様子見を決め込んでいる。「東京大学の対応が正当化されると、多くの大学が追随し、数万単位の雇用に影響が及ぶ可能性がある」(同ニュース)
 安倍政権の「働き方改革」という名の総非正規職化攻撃を、大学が率先して担っている。その根拠は、国立大学への予算削減攻撃であり、狙いは教職員組合の団結破壊にある。
 大学が「教育機関」の名で、労働者・家族を貧困に突き落とすことが許されるのか。これこそ、高い学費、学生・保護者への「奨学金地獄」、戦争協力(軍事研究)と並ぶ、新自由主義大学の腐敗の極みである。
 6月30日、韓国・民主労総は「非正規職撤廃!」の社会的ゼネストをうち抜いた。その先頭に非正規職労働者が立った。この力が、米日帝の朝鮮侵略戦争発動を阻止している。戦争は革命を生み出し、新自由主義大学も革命を生み出す。「軍事研究と非正規職化」を粉砕する学生・教職員のゼネストをキャンパスから実現しよう。

「大学・教育は誰の物か」に回答を

 「大学のあり方」が問い直されなければならない。「大学・教育は誰のものか?」への回答を、現実の運動で示さなければならない。
 新自由主義大学の本質は何か。第一に、「改憲・戦争翼賛」だ。「大学改革」と「教育の民営化(私物化)」の出発点は、1980年代の中曽根政権の「臨時教育審議会」にある。中曽根は国鉄分割・民営化と並んで、教育労働運動と戦闘的学生運動をたたきつぶして改憲をなし遂げようとしたが、それはまだ達成されていない。30年越しの攻防にキャンパスから決着をつけよう。
 第二に、「貧困・非正規職推進」だ。2004年度からの国立大学法人化で、「国家・資本のための大学」に転換した。ブルジョアジーが大学経営に乗り込んで支配し、予算を露骨に削減して国家統制を強め、それが研究者が「軍のカネ」を求める「研究者版経済的徴兵制」を生み出した。「教育はカネもうけの道具じゃない!」----この原点的怒りを甦(よみがえ)らせよう。
 第三に、「団結破壊」だ。「国家・資本のための大学」は「国家・資本のための学生」を求める。学生の主体性の抑圧なしに、新自由主義大学は存在しえない。国立大法人化を前後して自治会つぶし、自治寮廃寮、サークル活動規制が激化した。東大駒場寮廃寮(01年8月)、法政大学生会館解体(04年11月)、東北大有朋寮廃寮(06年12月)だ。この怒りと悔しさを今、京大4学生処分撤回と自治寮死守の闘いの勝利で晴らそう。
 「新たな大学」をつくり出す展望は、学生自治会建設とストライキの中にある。法大闘争11年を基礎にした東京での闘い、そして京大闘争が決定的だ。改憲・戦争を阻止する力は反戦ストライキの中にある。ストの中で学生の誇りと団結が甦り、学生自治会は再建される。労働者民衆の手に取り戻された大学は、全額無償―戦争絶対反対は当然、労働者解放・全人民解放の革命をやり抜く闘いの先頭に立つ。
 全学連大会への大結集を断固かちとろう。
〔革共同中央学生組織委員会〕

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キャンパスから貧困と軍事研究なくそう!
改憲とめる大学ストをやろう!
全学連第78回定期全国大会
 8月30日(水)午前10時開会~31日(木)
 浜町区民館(東京都中央区日本橋浜町3―37―1)
 ※参加費1000円(2日間)
 全日本学生自治会総連合(斎藤郁真委員長)

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