ソウルで徴用工像除幕式 〝強制連行の歴史忘れるな〟 民主労総など労働組合が主導
週刊『前進』02頁(2870号02面03)(2017/08/24)
ソウルで徴用工像除幕式
〝強制連行の歴史忘れるな〟
民主労総など労働組合が主導
徴用工100万人の苦難と闘い
8月12日、韓国・ソウルのヨンサン(竜山)駅前広場で、民主労総と韓国労総を中心とした「強制徴用労働者像建立推進委員会」が建立した「徴用工像」(写真下)の除幕式が行われた。この像は、やせて肋骨の浮き出た労働者が、つるはしを手にした姿をかたどったものだ。日帝は、朝鮮を植民地支配下においていた1939年から45年にかけて、朝鮮の労働者を日本やサハリン、南洋諸島などに強制的に連行し、鉱山や農場、軍需工場、土木工事現場での奴隷労働を強制した。今回像が建立されたヨンサンは、当時多くの朝鮮人労働者が集められ、各地に送られた場所だ。日本国内では、北海道や九州の炭鉱、ダム建設・鉄道敷設現場などで多くの労働者が虐殺された。しかしその中でも多くの朝鮮人労働者が団結して立ち上がり、日帝と一体の資本に対してストライキで闘った。
そうした「徴用工」は100万人を超えるとも言われ、これとは別に、軍人や軍属、日本軍軍隊慰安婦とされた人も無数にいる。
民主労総は韓国労働運動の重要課題としてこの問題に取り組み、韓国労総との共同事業として像の建立を進めてきた。制作には、軍隊慰安婦問題を記憶するために日本大使館前に建てられた「少女像」の作者である彫刻家の夫妻があたった。今回のソウルと仁川(インチョン)に加え、今後、慶尚南道やチェジュド(済州島)にも徴用工像を建立する予定だ。
戦争犯罪の抹消狙う日帝許すな
この像にこめられているのは、労働者の力で新たな戦争を絶対に阻止するという強い決意だ。2015年末に日本軍軍隊慰安婦問題をめぐる「日韓合意」が強行されたことに対し、軍隊慰安婦や徴用工の存在があらためて大きな焦点となった。再びの朝鮮戦争を狙う日帝が、過去の戦争犯罪を抹消することなど絶対に許さない! これは、日韓労働者民衆の共通の怒りと決意だ。
こうした中で爆発したパククネ打倒の闘いは、「積弊清算」というスローガンが示すとおり、これまでの社会の根底的変革を求める闘いとなり、今も継続している。日帝の植民地支配と戦争を経て現在まで続く「1%」による支配構造を打ち砕くことが、労働者民衆全体のテーマとなったのだ。民主労総のチェジョンジン委員長代行は8・15労働者大会でも「強制徴用労働者像はただの象徴ではない。親日を清算し、ゆがめられた歴史をわれわれ労働者こそが打ち立てるという宣言だ」と訴えた。
日帝はこの闘いに震え上がり、敵意をむき出しにしている。この間、桜井よしこを筆頭とした極右は一斉に「問題は65年の日韓条約で解決済み」「国民徴用令に基づき合法的に行われた勤労動員」とわめいている。内閣官房長官・菅義偉は、8月14日の「世界慰安婦の日」にあわせてソウル市内を走る路線バスに「少女像」が設置されたことに対し、「北朝鮮問題を抱え、日米韓で連携して対応しなければいけないときに、こうしたことはきわめて残念」と述べた。
昨年8月、京都の丹波マンガン記念館に徴用工像が建立された際には、除幕式に出席しようと来日した民主労総のチェジョンジン委員長代行が入国を拒否されるという事態も起こった。
歴史を直視することもできない支配階級に未来などない。実際に、労働者をモノのように使い捨て、殺していく現実は21世紀の現在に至るまでまったく変わっていない。自らの延命のための戦争で労働者を殺し合わせる帝国主義を打倒し、労働者の手で新たな社会を建設すること——これが、戦時下で立ち上がった労働者たちからわれわれに託された課題だ。
韓国民衆に応え戦争を止めよう
日本の敗戦=植民地支配からの解放72周年となる8月15日の「光復節」には、ソウル市庁広場で8・15全国労働者大会が開催された。強い雨をついて組合員7千人が集まり、サード配備が強行されたソンジュ(星州)とキムチョン(金泉)からも住民たちが駆けつけた。21日から米韓合同軍事演習「ウルチフリーダムガーディアン」が開始されるのを前に、参加した労働者たちは米韓合同軍事演習中断やサード配備撤回、日帝による強制動員の歴史の謝罪と賠償を求めて声を上げた。続いて開かれた汎(はん)国民平和行動には1万人が結集し、米大使館へのデモも行われた。韓国の仲間の思いに応え、われわれ日本の労働者こそが先頭に立って戦争絶対反対の闘いのうねりをつくりだそう!