日米韓軍事演習やめろ 自衛隊参戦へ日米が協議 安保法発動、朝鮮半島上陸狙う
日米韓軍事演習やめろ
自衛隊参戦へ日米が協議
安保法発動、朝鮮半島上陸狙う
朝鮮半島をめぐる軍事的緊張と戦争の危機が極度に高まる中、米韓連合軍による合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」が8月21日から朝鮮半島で始まった。米軍約1万7500人、韓国軍約5万人が参加し、「北朝鮮の体制崩壊」を見据えた作戦計画「5015」に基づく大規模演習として31日まで行われる。
これと完全に並行する形で、米海兵隊と日本の陸上自衛隊は10日から北海道で大規模な共同訓練を開始した。日米合わせて3300人が参加し、敵地への殴り込みをも想定した実弾射撃訓練などを28日まで続ける。18日には、5日に豪州沖で墜落事故を起こしたばかりの米軍輸送機オスプレイが訓練に投入された。
これらは事実上、日米韓3国による共同演習であり、これ自体が北朝鮮キムジョンウン体制を激しく挑発し威圧する戦争行為だ。
こうした中で、17日に米ワシントンで日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開催された。トランプ政権発足後初の、そして安保戦争法の施行後初の2プラス2であり、「自衛隊と米軍の一体化」=日米による朝鮮戦争を具体的に想定した戦争会談となった。
小野寺が大軍拡をも宣言
2プラス2に出席した日米4閣僚は、2月の日米首脳会談を継承する形で「核戦力を含むあらゆる能力を通じた日本の安全への米国のコミットメント(関与)を再確認」し、「同盟における日本の役割を拡大し、防衛能力を強化させる」と明記した共同発表を行った。ここで言う「日本の役割の拡大」とは、安保戦争法を発動した自衛隊の参戦とそのための軍備増強を意味する。
また、北朝鮮に対して「最も強い表現で非難」し、「圧力をかけ続ける」とした上で、「不可逆的な朝鮮半島の非核化を実現するための具体的な行動を北朝鮮にとらせる」と踏み込んだ。さらに、朝鮮半島での戦争の勃発を前提に「非戦闘員を退避させるための活動(NEO)」を日米で行うことも確認した。「邦人救出」を口実に自衛隊を朝鮮半島に上陸させる計画が、日米政府によって水面下で画策されている。
さらに防衛相・小野寺五典は、防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)の改定を前倒しし、陸上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」を米国から購入する方針を米側に伝えたと発表した。イージス・アショアの費用は1基800億円という巨額であり、安倍政権下で急増する防衛予算でも「間違いなく足りない」(防衛省幹部)とされる。だが安倍は今回の2プラス2を機に、自衛隊の任務拡大と大軍拡をなし崩しに推し進めようとしているのだ。
日韓の連帯で戦争阻止を
2プラス2で明らかになったことは、日本帝国主義・安倍政権が朝鮮戦争への参戦=自衛隊の朝鮮半島上陸を想定し、米軍・自衛隊の一体化と軍備の大幅増強(敵基地攻撃能力の保有をも含む)へ一気に踏み出そうとしているということだ。安倍の改憲攻撃は、こうした侵略戦争遂行能力を持つ自衛隊の存在と活動を憲法で認めさせ、もって第9条を完全に死文化させることを狙うものだ。
だが、戦争を阻止する労働者民衆の闘いも国境を越えて拡大している。韓国・民主労総は8月15日(光復節)にソウルで7千人の労働者大会を開き、「戦争反対」「世界のすべての核に反対します」と訴え、米韓軍事演習の中止と北朝鮮の核・ミサイル実験の停止を要求する声明を発表した。
北朝鮮の弾道ミサイルを口実とした中国・四国地方での迎撃ミサイルPAC3の配備とJアラート(全国瞬時警報システム)を使った情報伝達訓練の実施に対し、広島県労組交流センターは「PAC3配備、Jアラート訓練反対!」を訴えるビラを発行。Jアラート訓練の目的は「戦時体制づくり」であり、「自治体労働者を戦争協力者にし、社会全体を戦時モードに切り替え、改憲と戦争に向かっていく、これが安倍政権のねらいです」と暴露し、戦争絶対反対で闘う労働組合こそ真に労働者と住民の命を守る力だと訴えた。
4万5千人が結集した8・12沖縄県民大会の成功に続き、北海道でもオスプレイ飛行に反対する住民運動が拡大している。
闘いはこれからだ。NHKが18歳・19歳を対象に行った世論調査では、憲法9条について「改正する必要がある」が18%だったのに対し、「改正する必要はない」が53%に達した。集団的自衛権容認=安保戦争法に最も強く反対したのも20代の青年(世論調査で7割が反対)だった。青年・学生の圧倒的多数は改憲阻止闘争の最先頭でストレートに決起する存在だ。
今こそ青年・学生を先頭に戦争・改憲阻止の大闘争を巻き起こし、11・5労働者集会と改憲阻止大行進を巨万の結集でかちとろう。