オリンピックが青年を殺した 新国立競技場建設で過労自殺 残業 月212時間
週刊『前進』02頁(2866号02面03)(2017/08/03)
オリンピックが青年を殺した
新国立競技場建設で過労自殺
残業 月212時間
東京オリンピックに青年労働者が殺された。
2020年東京オリンピックの競技会場となる新国立競技場の建設にあたっていた青年労働者が過労自殺に追い込まれた。殺したのは安倍と都知事・小池だ。
青年は3月2日早朝、会社に「今日は欠勤する」と電話した後、行方がわからなくなり、4月15日に長野県で自殺した状態で発見された。遺体の近くには「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした。家族、友人、会社の方、本当にすみませんでした」と書かれた遺書があった。
青年の2月の残業時間は211時間56分。殺人的な長時間労働だ。1月の残業時間は143時間32分、昨年12月は約94時間だった。現場に配属された昨年12月からずっと、過労死ラインとされる月80時間をはるかに超えていたのだ。
帰宅は深夜1時ごろ、起床は午前4時半が多く、青年が母親に送った2月24日のメールには、「電車で行きます 4時15分に起きます」と書かれていた。
全矛盾が労働者に
青年は大成建設などの共同企業体(JV)の下請け会社で働き、地盤を改良する工事の作業管理を担当していた。2016年4月に大卒で就職し、その年の12月からこの現場に入った。地盤の改良工事は建設現場の中でも特に困難な作業だ。経験と知識が必要な仕事であり、大卒1年目の青年に作業管理をまかせてよい仕事ではない。
しかも、元作業員の証言では「どの業者の職員たちも『まれに見る(ひどい)現場だ』と」「ベテランの人でも、いっぱいいっぱいになりながらやっていた」と現場の大変さが語られている。自殺した青年にはものすごい重圧がかけられていただろう。
現場労働者にここまでの過重労働を強いた原因は、安倍がオリンピックを招致したからだ。その上、建設費を抑えると言って当初の建設計画を白紙撤回したのだ。再度の入札では、工事期間の短縮が要求され、工事が始まったのは昨年12月だった。矛盾はすべて、現場の労働者にしわ寄せされた。
安倍と小池倒そう
マスコミはこの事件をほとんど報道しない。遺族側の弁護士が7月20日に記者会見してこの事件が明るみに出た。その直後の24日には、「東京オリンピックまであと3年」と報道され、小池都知事が都庁で職員を動員してラジオ体操をする姿や、東京・港区での東京オリンピック版盆踊りがテレビで流された。青年のことは一言も語られない。福島を切り捨て、利権のために招致したオリンピックが今度は青年を殺した。労働者の犠牲の上で踊る小池を、労働者の怒りで打倒しよう。オリンピックは粉砕以外にない!
オリンピックを口実に安倍や小池の進める「働き方改革」は8時間労働制を解体し、労働者を過労死にまで追いやる。そのことは今回の事件でも明らかだ。
自殺した青年労働者は遺書で「このような結果しか思い浮かびませんでした」と謝罪をしているが、彼はまったく悪くない! すべての青年労働者が仲間と助け合って、胸を張って働き、生活できる社会でなければならない。青年のよりどころとなる、闘う労働組合をつくりだそう。ゼネストへ向けて闘おう。