〝夜間騒音は健康を破壊〟 誘導路裁判でNAAを鋭く追及
〝夜間騒音は健康を破壊〟
誘導路裁判でNAAを鋭く追及
7月11日、千葉地裁民事第3部(阪本勝裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれた。三里塚反対同盟と顧問弁護団、支援の労農学市民は農地強奪攻撃への怒りをかきたてて闘った。
この裁判は、国と成田空港会社(NAA)を相手に、成田空港のB滑走路の2500㍍への延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という二つの変更許可処分の違法を追及し、B滑走路の飛行差し止めを求めるもの。航空機騒音が周辺住民にもたらす健康被害が、最大の焦点になっている。
厚木基地爆音訴訟では、第4次訴訟で自衛隊機の飛行差し止め請求が二審まで認められたが、16年に最高裁に退けられた。しかし最高裁判決でも住民がこうむっている深刻な健康被害がはっきりと認められた。
これは厚木の10倍と言われる騒音を発する成田にとっても重大事態だ。ところがNAAは、「最高裁判決では、WHO(世界保健機関)の環境騒音ガイドラインおよび欧州夜間騒音ガイドラインについて言及していない」と両ガイドラインにけちをつけ、判断基準としての価値をおとしめる主張をし始めた。
これに対し弁護団は今回、第4次厚木爆音訴訟の一審、二審の判決も具体的に検証しながら、最高裁判決がその用語を使っていないとしても両ガイドラインを科学的知見、判断基準として明白に認めていることを証明し突きつけた。特に夜間騒音が住民の睡眠を著しく妨害し、それが深刻な健康被害となって現れることを最高裁は認めた。これはまったく両ガイドランの結論そのものだ。
だがNAAは今や成田空港の機能強化と称して、夜間の飛行制限時間をさらに短縮しようとしている。
弁護団は、「最高裁判決の基準からしても成田空港のB滑走路供用は差し止めなければならない」と結論付け、NAAに対し両ガイドラインを否定する根拠、見解を明らかにするよう求釈明を行った。次回期日を10月24日として閉廷。
報告集会が千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で行われた。最初に葉山岳夫弁護士が発言し、成田の夜間飛行時間延長への住民の怒りが沸き立つ中で、騒音問題への取り組みが重大であることを強調した。
さらに弁護団全員が発言した。その中で、NAAが市東さんについて吐いた暴論、「収用されるはずの土地に住んでいるから、騒音を受けて当然」についての求釈明に対し、NAAが回答してきたことが報告された。「もし千葉県収用委員会の審理が続いていたら収用採決がされたという、事実関係の経緯を述べただけ」----とんでもない居直りだ! 今後の法廷でさらに徹底的に追及することを確認した。
動労千葉と市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯の発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、加計学園問題で危機と腐敗を深める安倍政権をさらに追いつめるよう呼びかけた。
最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが、「樫の木まつり」の成功を確認し、強制執行阻止の闘いを現地で貫く決意を述べて、全員が拍手で応えた。
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三里塚裁判日程
◎新やぐら裁判
7月24日(月)
午前10時30分 千葉地裁