小池都知事が豊洲移転を宣言 「食の安全」は崩壊する
小池都知事が豊洲移転を宣言
「食の安全」は崩壊する
6月20日、小池百合子都知事は「無害化できない」豊洲市場への移転強行を宣言した。築地は再開発工事でど真ん中に東京五輪用道路を通す。市場環境は破壊され「食の安全」は崩壊する。都議選で築地廃止・豊洲移転をぶっ飛ばそう。
2号線建設で築地は廃止
小池知事は17日に築地を訪れ、仲卸(なかおろし)業者などに「豊洲の無害化ができなかった」と頭を下げた。その毒物まみれの豊洲にあくまで移転を強行するために、形ばかりの「謝罪」をしてみせたのだ。
豊洲移転後に始まる東京五輪のための環状2号線工事は築地の中心部を通る。環境は完全に破壊され、「築地市場の存続」などありえない。市場関係者・労働者は「裏切られた」「オリンピックがすべてか!」と怒りを爆発させている。
公設市場を破壊
小池知事は20日の会見で豊洲移転後の築地再開発で「旧(ふる)い慣行にとらわれない新しい経営スタイルを創造する。築地の土地を有効活用し採算性を向上させる」と公言し、「食のテーマパーク」「一大観光拠点」をぶち上げた。他方で豊洲は「総合物流拠点」として「転配送機能や市場外流通機能を発展させる」と語った。市場機能の強化ではない。セリ制度を中心とする中央卸売市場としてのあり方そのものの破壊を公然と言い始めたのだ。
今の築地は公設市場として、大手業者、小売り、小生産者が対等に売り手・買い手として向き合い、品質を見抜く仲卸の「目利き」によるセリで値段が決まる。それが「築地ブランド」と言われる品質を保証してきた。小池知事は「築地ブランドをいかす」とうそぶきながら、長年培われてきたその根幹を破壊し巨大流通資本に独占支配させようとしている。
民営化と首切り
さらに、「選択と集中」と称して第2の分割・民営化を進めるJR資本と同様、すべてを「カネ」の論理でごり押ししようとしている。
15日の東京都「市場のあり方戦略本部」会議は、豊洲市場をめぐる巨額の赤字の累積、市場会計の「資金ショート」の危機をあおる一方、「築地の取扱量、金額、仲卸業者数はこの25年で半減した」と示した。そして国による卸売市場法の規制緩和、市場の合併や営業権の民間譲渡(コンセッション方式)の動きを紹介し、東京都の公設11市場すべてについて「運営のあり方、市場会計の持続可能性からの検討」を求め、「経費縮減、組織・人員の見直しによる人件費の縮減」を公然と打ち出した。
全市場の統廃合・民営化と外注化であり、労働者の首切りと非正規職化に直結する。それを築地廃止・豊洲移転で一気に進めようとしているのである。
森友・加計こえる
豊洲移転・築地再開発をめぐって起きていることは戦争と一体の資本主義の腐り切った姿であり、安倍政権と日本会議による森友学園や加計学園と同じ権力犯罪、公的資産の強奪だ。築地跡地の売却だけでも4596億円(市場のあり方戦略本部の試算)に上る。数兆円規模という利権の巨大さ、影響の大きさではかつてない大疑獄だ。
再利用が不可能なまでに毒物で汚染された東京ガス工場跡地を破格の金額の公費で購入。ゼネコンにも巨費を払って当初の設計と違うでたらめな工事で造った建物に中央卸売市場を移転する。銀座に近接する一等地の築地は再開発し、資本に貸し与えて大もうけさせる。自民党と石原慎太郎元知事以来の巨大なカネと利権を、今度は小池と「都民ファーストの会」がわが物としようとしている。
そのために小池知事は専門家会議と市場問題プロジェクトチーム、市場のあり方戦略本部を設立した上で、「総合的判断」と称して最初から決まっていた豊洲移転を強行しようとしているのである。許せない。
小池擁護を続ける共産党
安倍首相も小池知事も根はひとつ、朝鮮侵略戦争と改憲、核武装を狙う極右・日本会議である。
安倍政権による共謀罪制定の暴挙に対しても、16日の会見で小池知事は「議論を重ねてこられた結果だ」と支持し、「この内容について一般の皆さま方にもよく知っていただく必要がある」「オリンピックについては国ともしっかり連携を取りながら大会が安全に行われるよう努力していく」と述べて安倍と同じ立場であることを強調した。
都庁レストラン解雇をはじめ、小池知事の正体はここまで明らかになった。しかしそうであるにもかかわらず、日本共産党は依然として「小池さんはがんばっている」と賛美し、小池擁護の旗を振り続けている。豊洲移転に対しても「裏切りとは言うな」と怒りの爆発を抑えつけようとしている。本当に許しがたい。
こんな共産党ではだめだ。絶対反対で闘いこの国に革命を起こす新しい労働者の政党が必要だ。都議選で安倍・小池への怒りを糾合し、北島くにひこ候補の勝利をかちとろう。
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▼小池知事6月20日記者会見
・無害化は果たされていないが豊洲移転。市場外流通を発展
・築地再開発で「食のテーマパーク」に。旧い慣行にとらわれない経営。民間と有効活用
・環状2号線は五輪前に開通。 築地跡地は五輪の輸送拠点に
・卸売市場法の規制緩和にらむ
▼6月15日「市場のあり方戦略本部」会議議事録から
・築地の取扱量・金額・仲卸業者数はこの25年間で半減
・11市場体の運営、会計から検証。合併や営業権譲渡も
・市場会計全体で収支の黒字化。経費・人件費縮減を図る