プルトニウムが飛散 大洗・原子力機構 労働者が大量被曝
プルトニウムが飛散
大洗・原子力機構
労働者が大量被曝
6月6日午前11時過ぎ、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター燃料研究棟で重大事故が発生した。プルトニウム・濃縮ウラン貯蔵容器の点検中に容器が破損してプルトニウムが室内に飛散し、作業していた5人の労働者全員が大量の被曝をしたのだ。
容器を26年間も放置
今回の事故は、ボルト留めされた金属製容器のふたを開封したところ、中のビニール袋が破裂し、ウランとプルトニウムを含む粉末が飛散したものだ。この粉末は、敷地内にある高速増殖炉の実験炉「常陽」に使用する燃料の試料を作った際に出たくずで、約300㌘あった。
粉末はまずポリエチレン製の容器に入れられ、二重のビニール袋で密閉した上で金属製容器に入れて、91年から26年間も放置されていた。今回、原子力規制委員会から核物質の管理がずさんなことを指摘されて実施した点検であり、責任は規制委員会にもある。
なぜビニール袋が破損したのか。プルトニウムはアルファ(α)線を出して自然崩壊していく。アルファ線はヘリウムの原子核そのものだからヘリウムガスに変わっていく。このヘリウムガスがビニール袋を膨らませることは専門家であれば容易に推測できる。だから今回の事故は「想定外」などではない。
被曝対策は取られず
にもかかわらず作業は「フード」と呼ばれる作業台を半開きにして行われた。室内には密閉型の作業台「グローブボックス」もあったが使われなかった。さらに労働者は全面マスクではなく鼻と口だけを覆う半面マスクしか着けていなかった。しかも全員が汚染された領域から完全に退出したのは午後7時前である。8時間近くも汚染源近くにとどまっていた。これらのことが労働者に大量被曝を強制したのだ。
被曝した労働者が入院した放射線医学総合研究所はプルトニウムの体内被曝はなかったと主張するが、うそだ。一部の肺からはアメリシウム241が検出されている。アメリシウムはプルトニウムから生じる。つまり肺にプルトニウムが入ったということだ。
核燃サイクルが元凶
そもそも今回の汚染源となったプルトニウムは原爆の材料である。日帝は本来所持を禁じられているプルトニウムを高速増殖炉で利用するとして核燃料サイクルを強行してきた。原爆のための高純度プルトニウム製造のたくらみが今回の大量被曝をもたらしたのだ。
労働者の被曝なしに成立しない原発政策を直ちに中止しろ。被曝と帰還の強制反対。全原発を廃炉に!