「業務の縮小で解雇」明記 郵政アソシエイト社員化の正体

週刊『前進』04頁(2847号02面03)(2017/05/29)


「業務の縮小で解雇」明記
 郵政アソシエイト社員化の正体

(写真 郵政非正規ユニオンと支援の労働者は団交に向け、日本郵便本社前で弾劾・情宣行動。大量解雇を狙うアソシエイト社員制度反対、スキル評価制度撤廃などを強く訴え、日比谷メーデーのデモ隊とも交歓した【5月1日 東京・霞が関】)

無期転換前倒しは大首切り攻撃

 日本郵政グループは「5年で無期転換」ルール、すなわち労働契約法18条改定(同一企業で有期契約5年継続で無期転換)の実施を1年前倒しし、今年4月から行った。日本郵便全体で対象者10万人のうち7万5千人が無期転換し、「アソシエイト社員」となった。
 その中で、断じて容認できない事実が判明した。今年3月末に日本郵便が出した「アソシエイト社員の労働条件通知」において、「会社の業務の廃止又は縮小等やむを得ない都合による場合解雇」と明記していたのだ。昨年10月以降始まった無期転換の申請時には「業務の縮小で解雇」など会社の文書のどこにもなかった。それが突然、無期転換者への「労働条件通知」の中に明記されたのだ。
 この点について、5月1日の郵政非正規ユニオンと日本郵便本社との団体交渉で追及したところ、会社は一般郵便局のコールセンター(苦情処理)などの業務が移管された場合は解雇であると明らかにした。
 全国の一般郵便局1千局以上のコールセンターの一部が4月から、新たに千葉県に建設されたコールセンターに移管されつつある。一般郵便局のコールセンターでは、各局の短時間の非正規労働者が1グループ数人で1日3交代制で勤務している。ところが、こうした業務の移管で膨大な非正規労働者を解雇しようとしているのだ。日本郵政の無期転換1年前倒しは、郵便内務業務廃止、全国のコールセンターの移管による膨大な人員削減のための解雇を意図したものであることは明白だ。
 JP労組や郵政産業ユニオンなどが無期転換(アソシエイト社員制)を「成果」などと評価しているが、これは日本郵政が行おうとしている大人員削減攻撃に手を貸すものである。

スキル評価粉砕非正規職撤廃へ

 日本郵政は2017年3月期の連結決算で、2007年の民営化後、初めて約300億円の最終赤字に転落した。元日本郵政社長・西室泰三が2015年に6200億円を使って行ったオーストラリア物流大手、トール・ホールディングス社の買収失敗で4003億円の特別損失を計上したためだ。オーストラリアではこの買収に疑惑があると報道されていた。トール社の時価株に50%も上乗せして6200億円で買収した。第2の東芝とも言われるように破綻は明らかだった。
 日本郵政株の80%は政府保有であり、日本郵政は国債の30%を保有している。日本郵政の赤字転落は安倍政権にとっても大打撃である。安倍政権と日本郵政は、この破綻的危機の中でアソシエイト社員制(首切り自由)を突破口に赤字の責任を労働者に押しつけ、第2の民営化ともいえる日本郵政労働者40万人の大量首切り、大合理化を強行しようとしている。
 その上に「赤字解消」と称し、今度は野村不動産ホールディングスを買収しようとしている。上場企業の中でトップクラスの不動産を所有する日本郵政の社会的資産をただ同然で売り出そうとしているのだ。もう我慢も限度を超えた。今こそ闘う時だ。郵政非正規ユニオンとともに闘おう。
 また他方で、「無期転換」といいながら、アソシエイト社員の労働条件はスキル評価制度が継続されている。スキル評価制度こそ低賃金と団結破壊の不当労働行為である。
 昨年8月に関西で、今年4月に東京で、JP労組組合員が「スキル評価制度は労働者を分断し最低限の生存権を保障した団結権を否定する不当労働行為」と労働委員会に救済申し立てを行った。会社はスキル評価制度導入はJP労組と合意したので正当であると主張し開き直っている。JP労組と合意すれば何をやってもいいと開きなおった。アソシエイト社員制反対! スキル評価制粉砕! 非正規職撤廃へ立ちあがろう。
 7月都議選に東京西部ユニオン副委員長の北島邦彦さんが立つ。北島さんは、東京・荻窪局の非正規労働者とともにスキル制度と闘ってきた。郵政で働く仲間は、北島さん当選のために全力で応援しよう。
(郵政非正規ユニオン・O)
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