時代を斬る 新しい労働者の政党を 朝鮮侵略戦争とめよう 戦争を始めるための共謀罪 労働組合弾圧との攻防が大焦点

週刊『前進』04頁(2843号04面01)(2017/05/15)


時代を斬る 新しい労働者の政党を
 朝鮮侵略戦争とめよう
 戦争を始めるための共謀罪
 労働組合弾圧との攻防が大焦点

(写真 5・1メーデーに新宿をデモ)


 鈴木達夫弁護士を講師に、「時代を斬る」と題する連続講座が続けられています。鈴木弁護士と東京西部ユニオン副委員長の北島邦彦さんを先頭に、新しい労働者の政党をつくるための学習会です。朝鮮戦争と共謀罪、安倍の「働き方改革」、小池都知事批判など多岐にわたった4月13日の講演から、「朝鮮戦争と共謀罪」の部分の要旨を紹介します。(編集局)

日米安保は最も凶暴な軍事同盟

 すさまじい状況が進行している。2月10日のトランプと安倍の共同声明で、日米安保同盟が世界的に最も凶暴な軍事同盟に深まった。新しい次元に入っている。「核の軍事力」の次に「米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本は同盟におけるより大きな役割と責任を果たし」と言い切っています。
 3月10日にパククネが罷免されたことで、韓国、日本とアメリカの政府は追い詰められています。3月16日、米国務長官ティラーソンが来日し、その後、韓国と中国に行きました。
 ティラーソンは安倍・岸田との会談で「軍事的手段を含むあらゆる選択肢、オプションがテーブルの上に」と言った。ここで全部が決まったんです、北朝鮮を転覆させる、韓国の人民の闘いを押しつぶす、共同で戦争をやっていく日本帝国主義の参戦が同意された。ティラーソンはそれを韓国にのませた。中国に行ったときには、北朝鮮の核武装の進展に対し「それぞれが最大の努力を」という言葉を使っています。要するにアメリカは勝手にやる、中国もそっちで勝手にやってくれという話です。本当に戦争の一歩手前まで来ている。ここをきちっと押さえよう。
 トランプによるシリアへのミサイル攻撃直後の4月8日に安倍は記者会見で「東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻さを増している。その中で国際秩序の維持と同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを日本は高く評価する」と発言しました。マスコミは、軍事攻撃そのものの支持ではないという論調だったが、ごまかすなってことです。4月8日のトランプとの電話会談でも安倍は「強い関与を評価する」と言った。トランプの方からも、シリアへの攻撃は北朝鮮を強く意識したと言っています。
 起こっていることは米日の既定路線です。米空母カール・ビンソンがシンガポールから北上し、自衛隊がずっと沖縄の南方から護衛艦隊のようにくっつきながら、九州の西海上、対馬より西、済州島、朝鮮半島が目の前に見えるところまで共同訓練をやってきた。そして菅官房長官が「在留邦人」保護と避難民対策を言い出した。マスコミの報道がどんなにインチキか。菅とか安倍がどんなデタラメを言っているか、よく見えてくると思います。
 戦争を始めるために、労働運動をはじめ戦争反対・安倍打倒の運動をつぶしておかないとダメだということで出てきているのが共謀罪です。

団交で「謝れ」と言ったら強要罪

 組織的犯罪処罰法=組織的集団の犯罪の取締法は1999年にできたのですが、これは団体として犯罪をやった場合には刑が重くなるんです。1・5倍とか。
 だから今回の共謀罪は「死刑又は無期もしくは長期4年以上の懲役・禁錮が定められている罪」というのが基本ですが、組織犯罪対策法によって刑が加重されるから全部入っちゃう。
 例えば逮捕・監禁罪が入るんです。さらに強要罪。人に義務のないことをやらせるとか。例えば「土下座して謝れ」って言うでしょ。団交で「謝れ」とか「謝罪しろ」とやるでしょ。これは強要罪の典型なんです。今までだったら強要罪は「3年以下」。それが組対法で加重されて「5年以下」になるから共謀罪の対象になってしまう。さらに信用毀損(きそん)、業務妨害、威力業務妨害が一緒にされている。信用毀損というのは、「どこどこの会社はブラック企業だ」とか言って信用を傷つけたとか。
 あるいは業務妨害、威力業務妨害。今は「3年以下」なんです。それが共謀罪になると、組対法で刑が加重されているから「5年以下」とされて入っちゃう。恐喝罪、建造物損壊罪、証人等買収罪。偽証罪、これが大変です。弁護団会議で「あなたはこういう証言をしてくれ」と言ったら警察が盗聴していて「法廷でうそを言わせた」とする。あるいは証人をひっくり返して、偽証罪で弁護団を全員逮捕する。あとは詐欺罪。習志野弾圧が詐欺罪でした。さらに著作権。ビラをうかつに書けない。「こういう文章いいな」って思って書物から引用したら、たちまち共謀罪の対象になってしまう。

5・19大集会で共謀罪つぶそう

 そういうとんでもない法案を、安倍政権は5月に衆議院を通し、6月18日会期末前の16日までに参議院を通すという。
 私たちは5月19日、弁護士会館の800人入る大講堂で大集会やります。メインの講師が小林多喜二研究で有名な小樽商大教授の荻野富士夫さんです。岩波新書で『思想検事』や『特高警察』など何十冊と本を書いています。「多喜二とその時代」というタイトルで講演をしていただきます。今の共謀罪は「治安維持法の再来」と言われている。荻野さんは治安維持法の最高の研究者です。その方を呼んで霞が関のど真ん中の弁護士会館でやります。
 そこから6月にかけて、私たちはもっともっと大きな闘いをやって法案をつぶすほかない。
 戦争を止める力を最も持っているのが労働組合であり、労働者の団結だから、労働組合弾圧との攻防に大きな焦点を当てながら、これをつぶしていく。この闘いで共謀罪を本当につぶすということです。

このエントリーをはてなブックマークに追加