「20年改憲施行」を叫ぶ安倍 本格参戦へ「9条に自衛隊明記」

週刊『前進』04頁(2843号01面03)(2017/05/15)


「20年改憲施行」を叫ぶ安倍
 本格参戦へ「9条に自衛隊明記」

(写真 5・1新宿メーデーで北島邦彦さん【右から2人目】を先頭に戦争絶対反対のデモ)

 5月3日、安倍は「美しい日本の憲法をつくる会」なる日本会議系の極右改憲団体らが主催する集会に寄せたビデオメッセージで、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」との考えを示し、「憲法改正に向けて、ともにがんばりましょう」などと奮起を促した。そこで安倍は憲法9条について、「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という改憲案を示した。同日付の読売新聞朝刊でも同じ考えを発表した。
 首相自らが極右勢力の改憲集会に寄せたメッセージで、国会で議論されたこともない具体的な改憲案をスケジュールまで含めて発表するというのは、およそ前例のないクーデター的暴挙というほかない。そこには、国会で改憲勢力が3分の2を占めたにもかかわらず、労働者民衆の戦争絶対反対の決意と闘いに阻まれて改憲攻撃が思うように進まないことへの憎悪といらだちが如実に表れている。そして何より、東アジア・朝鮮半島での戦争が急切迫する中で、この戦争への本格的・全面的参戦を狙う安倍は「9条後回しの改憲」では間に合わないと激しい焦りに駆られ、ついに9条という「本丸中の本丸」に手をつける反動的巻き返しへと転じたのだ。
 だが、安倍の改憲攻撃には何の展望も勝算もない。むしろ安倍は断崖絶壁に追いつめられている。森友学園事件に端を発する数々の疑獄や復興相・今村雅弘の暴言による辞任、共謀罪をめぐる国家審議の紛糾、さらに都議選で自民惨敗が必至と言われる中で、安倍政権はすでに崩壊的危機に陥っている。これを戦争・改憲で突破しようとあがき、凶暴化して突出した動きに出たのだ。
 重大なことは、安倍の改憲攻撃が既成の野党や護憲勢力の屈服・転向をあてこんで打ち出されているということだ。自民党副総裁・高村正彦は、5日に記者団に対して「(安倍の提案は)公明党の『加憲』という案と同じか、近い案だ。また民進党のかなりの人たちは賛成しない理由を探すのに苦労するだろう」と安倍の狙いを「説明」した。それは公明党や民進党ばかりでなく、「日本の主権が侵害されたら日米安保と自衛隊を活用する」と公言する日本共産党や、一部護憲勢力のあいまいさを突き、その屈服と改憲容認派への転向を引き出すことに狙いがある。
 憲法9条とは、安倍が憎悪してやまない「戦後レジーム」の核心であり、そこには「戦争を絶対に許さない」という日本労働者階級の不動の決意と階級的力関係が刻印されている。9条を変えることでこの力関係を転覆することが、安倍の最大の眼目なのだ。
 しかも、安倍はこの9条改憲を「高等教育の無償化」と一体で出してきた。青年を貧困と奨学金地獄にたたき込んでおきながら「学校に行きたければ9条改憲を認めろ」と脅しつけているのだ。貧困につけこんだ戦争動員と一体の許しがたい攻撃である。
 戦争・改憲をめぐる攻防に中途半端な立場はありえない。安倍の改憲攻撃を真っ向から受けて立ち、今こそ戦後革命期以来の全歴史をかけ、戦争・改憲絶対阻止のゼネストを切り開こう。そのためにも7月都議選で北島邦彦さんの当選をかちとり、闘う労働組合と新しい労働者の党を歴史の前面に登場させよう。
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