奈良市従 下水道民営化阻む 「義務付け訴訟」始まる
週刊『前進』02頁(2840号02面03)(2017/04/27)
奈良市従
下水道民営化阻む
「義務付け訴訟」始まる
(写真 奈良市従が裁判闘争勝利へ決起集会【1月25日 奈良市】)
4月13日、ついに奈良市下水道民間委託阻止の「義務付け訴訟」の裁判が始まりました! 大法廷いっぱいに集まった傍聴者と原告団による意見陳述。その後の総括集会では「下水道は人間の命の問題! 非正規職員の1カ月任用許さない!」と、参加者の団結が一気に深まりました。
4月委託を粉砕
下水道の維持管理業務に従事する嘱託職員に対する3月末での解雇攻撃に対して、夜11時を過ぎる団体交渉を繰り返し、ついに4月からの委託と解雇を阻止しました! 委託を阻止する5回目の大勝利です! しかし!当局は嘱託職員に対して1カ月の任用という、ふざけきった脅しの攻撃をしかけてきました。本当に許せません!この間、水道法改悪が国会で問題となり、安倍政権が「水を金もうけの道具」にする実態が日々明らかになってきています。4月からの大阪市下水道職員の民間会社クリアウォーターへの転籍の強行、さらに大阪市営地下鉄・バス民営化攻撃が本格化する中で、ますます奈良市従の闘いが決定的になってきました。
解雇許さぬ裁判
今回の裁判は、これまでほとんど例のないもので、何度も議論をして、みんなの団結で挑戦する決断をしました。下水道の維持管理に従事する5人のうち、2人が正規職員、3人が非常勤嘱託職員です。嘱託職員は原則的に1年更新です。ところが市当局は、民間委託を理由に3人を3月31日以降は任用しないと通告してきました。
この時、「下水道民間委託は間違っている、だから委託するな」ということを裁判のテーマにするのは難しいという問題がありました。しかしそもそも非常勤職員の解雇は許されない、その怒りと結びつくこと、制度の根本問題と向き合うことに重点を置きました。
国鉄分割・民営化以降、急増した「非正規公務員」は、民間労働者に比べても不安定な雇用に突き落とされています。奈良市でも非常勤職員は38%もの割合で任用され、日々現場をまわしています。法律上「雇用ではなく任用だから」という口実で「解雇ではなく任用期間の満了」とされ「短い雇用期間を何回も繰り返していい」かのようにされています。そのことは今や大社会問題になっています。
自治労本部は「民間委託は管理運営事項。公務員は民間と違って雇用ではなく任用。裁判や法律で争って勝つのは無理。だから雇用を守ることが優先」という立場で委託を受け入れ、配置転換や委託先での雇用について条件交渉で合意することを方針としてきました。こういう形で民間委託と現業つぶし、非正規公務員の解雇が全国で進められてきたのです。
公務員の非常勤職員は「任用という行政処分」の形をとっています。今回の義務付け訴訟は「住民の不利益になるでたらめな下水道民間委託のために、労働者の生活が破壊させられる任用打ち切りはおかしい」「裁判所は奈良市に対して、3人の任用という行政処分をせよ」という判決を求める画期的裁判です。
不当配転するな
また、民間委託は労働組合をつぶしたいということを目的にした違法な不当労働行為だということも論点にしています。同時に、2人の正規職員に不当な配置転換・職種変更をさせるなという「差し止め訴訟」も一体で行っています。そういう意味では義務付け&差し止めの裁判です。これまで長年、下水道の現場で働いてきた労働者をまったく違う職種に配置換えするのは、労働者の誇りを奪うような攻撃です。同時に現業労働者の根底からの怒りと結びつく闘いです。
裁判と同時に、現場の攻防は毎日、激しく動いています。先日の団体交渉で、当局はついに5月1日の民間委託の強行を宣言してきました。ますます怒りでいっぱいで、労働組合としての行動が問われています。
次回の裁判は6月15日です。ぜひ集まって下さい! ともに闘いましょう!
(竹内奈緒)