焦点 シリアに続き北朝鮮攻撃を狙う 人民虐殺のトランプと安倍

週刊『前進』02頁(2838号02面06)(2017/04/20)


焦点
 シリアに続き北朝鮮攻撃を狙う
 人民虐殺のトランプと安倍


 4月7日(米国時間6日)、トランプ政権はシリア空軍基地に巡航ミサイル「トマホーク」59発を撃ち込んだ。トランプは攻撃の理由について、「(アサド政権が)罪もない子どもたちを毒ガスで殺した。みなショックを受けた。レッド・ラインを越えた」「シリア政府の悪行は許容できない」などと述べた。安倍政権はただちに「米国の決意を支持する」と表明した。
●アメリカでただちに反戦決起
 これに対し、ニューヨークではただちに緊急抗議行動が行われ、翌7日にはワシントン、ロサンゼルス、サンフランシスコなど各地で反戦闘争が闘われた。米軍の方こそ、子どもたちを大虐殺しているではないか。この3月だけで米軍を主力とした「有志連合」のイラク・シリア爆撃は1700人以上の住民を殺している。米軍はイラクのモスルで住民に対して「現在の米軍・イラク軍の攻勢の間はモスルから避難しないように」との指示を出してから、住宅・病院・モスクを含む市街地を爆撃した。指示に従った住民200人が3月17日の米軍の爆撃で殺された(アムネスティ・インターナショナルの調査報告)。意図的な虐殺だ。このアメリカ帝国主義が「人道」を語ってシリア攻撃を行い、さらに戦火を拡大している。絶対に許せない。
 トランプは「シリア政府軍が化学兵器を使った」というが、証拠は示していない。これは、2002〜03年のイラク戦争反対闘争の中で、「フセイン政権の大量破壊兵器保有」のウソが暴かれていたにもかかわらず、「証拠は出せないが、持っている」と強弁して戦争に突入したブッシュ政権のやり方とそっくりだ。
 12〜13年には、オバマ政権が「シリア政府軍の化学兵器使用」を理由にシリア攻撃を策動したが、国連調査委員会は「化学兵器を使っているのは反体制派」という結論を出した。日本の安倍政権やドイツなども、この時は「化学兵器使用」を理由としたシリア攻撃を支持しなかった。トランプも、16年の大統領選の予備選の時から、シリアへの軍事介入には消極的であるかのような態度をとってきた。労働者人民の根強い反戦意識があったからだ。
 だが当選した途端、トランプは国防長官に元海兵隊司令官ジェームズ・マティスを指名した。イラク戦争の中で市街地の破壊と住民虐殺が最も激しかった04年のファルージャ作戦を指揮した人物だ。トランプはマティスを指名した時、彼の「マッド・ドッグ」というあだ名を紹介している。
●労働者階級の力に恐怖
 今回、民主・共和両党もアメリカのメディアも、一斉にシリア攻撃を支持した。この攻撃はアメリカ支配階級全体の犯罪だ。この間、経済関係やNATO(北大西洋条約機構)をめぐる問題でトランプと激しく対立してきたドイツのメルケル政権も、今回のシリア攻撃の直後に支持を表明した。
 各国の支配階級は、それぞれ激烈に対立しながらも、みな労働者階級の闘いに震え上がっている。11年のエジプト革命をはじめとする中東の労働者階級の闘いは、けっして終わっていない。何よりパククネを打倒した韓国・民主労総の闘いがトランプと安倍を追い詰めている。階級と階級の闘いを、国家間の戦争や宗教対立にすり替え、全土を破壊する戦乱の中で革命を圧殺しようとしているのだ。
●MOAB投下の暴挙
 トランプが今回のシリア攻撃を米中首脳会談の日程に合わせて行い、中国・北朝鮮を恫喝したことは重大だ。トランプはシリアに続いて北朝鮮への先制攻撃を狙い、朝鮮戦争の本格的発動に向けて動いている。
 これは、今回使われた巡航ミサイルの特性を見ても明らかだ。巡航ミサイルは、あらかじめインプットした地形図にしたがって航行し、ターゲットに到達する。小さな翼を持ち、低空飛行で相手のレーダーの監視をかいくぐり、山を回り込んだり越えたりして山岳地帯の複雑な地形を航行する。北朝鮮の軍事施設は、金日成時代から山岳地帯の地下に建設されてきた。巡航ミサイルを用いた今回のシリア爆撃は、北朝鮮を攻撃する予行演習でもあるのだ。
 13日には、米軍はアフガニスタンで通常兵器の中では最大の爆発力を持つMOAB(巨大燃料気化爆弾)を使った。地下深くの軍事施設も破壊できる爆弾だが、住民を爆発に巻き込んで無差別大量虐殺することを大前提とした兵器であり、重大なエスカレーションである。
 他方でトランプと安倍は、2月の日米首脳会談と3月の米国務長官ティラーソンの訪日・訪韓で、北朝鮮転覆の「作戦計画5015」の発動に向けた具体的な協議をすでに行っている。
 韓国・民主労総の仲間と今こそ団結し、アメリカの労働者と連帯して戦争を止めよう。

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