全面外注化とローカル線廃止 雇用・安全・地方破壊するJR 第2の分割・民営化攻撃粉砕を

週刊『前進』04頁(2837号02面01)(2017/04/17)


全面外注化とローカル線廃止
 雇用・安全・地方破壊するJR
 第2の分割・民営化攻撃粉砕を

(写真 春闘の賃上げ要求にゼロ回答をしたCTS本社を動労千葉組合員が徹底弾劾【4月12日 千葉市】)

 国鉄分割・民営化は30年を経て大破産した。線区の大半を維持できなくなったJR北海道の現実はその象徴だ。この中でJRは、業務の外注化と労働者への転籍強要、ローカル線の切り捨てによる地域破壊を柱とする第2の分割・民営化攻撃に踏み込んでいる。この攻撃と対決する闘いは、労働者の雇用と権利を死守するとともに、朝鮮戦争が超切迫する情勢下で、階級的労働運動をよみがえらせ、労働者国際連帯で戦争を阻み、プロレタリア世界革命を切り開く闘いだ。

動労千葉の闘いが外注化の完成阻む

 国鉄分割・民営化以来の30年は、2千万人の労働者が非正規職とされ、生きることもままならない現実をつくり出してきた。労働者を総非正規化するための主要な手段が、外注化だった。
 JR東日本は2000年以降、業務の外注化に着手した。最初にその対象となったのが、保線や信号通信、電気などの設備部門だった。
 これと同時にJR東日本は、外注化に協力する労組の組合員だけを、定年後、再雇用するというシニア協定の締結を各労組に迫った。東労組と国労は直ちにこれに応じたが、動労千葉はシニア協定の締結を敢然と拒否した。ここから、今日まで17年にわたる外注化阻止闘争が始まった。
 同時期、NTTでも全面外注化が強行された。02年5月、NTT東西の業務は347の子会社に細分化された。51歳以上の労働者には賃金を引き下げられた上で子会社への転籍が、50歳以下の労働者には子会社への出向が強いられた。こうして約6万人が一気に子会社に移された。JRの思惑も、これと同様、わずか数年で外注化を完成させることにあった。
 だが、動労千葉の闘いはそのもくろみを打ち砕いた。千葉支社管内だけでなくJR東日本の全域で車両の検査修繕部門の外注化は大幅に遅れた。
 しびれをきらせたJRは09年10月、「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」と称して、検修部門を10年10月に一括外注化する方針を打ち出した。これに対し、動労千葉は全面的な対決を宣言した。この闘いの中で、青年労働者の動労千葉への結集が始まった。こうして、10年10月の外注化実施は阻まれた。検修部門の外注化は12年10月に強行されたが、動労千葉―動労総連合は職場で粘り強く抵抗するとともに、外注化による強制出向の無効確認を求める裁判闘争にも打って出た。
 こうした闘いが、今に至るも外注化の完成を阻んでいる。

「水平分業」「ダウンサイジング」を唱え

 こうした攻防の中で、JR東日本は12年10月に「グループ経営構想Ⅴ」を策定し、これまでのレベルを超えた外注化に踏み込むことを打ち出した。それを象徴するキーワードが、「水平分業」と「戦略的ダウンサイジング」だ。
 「水平分業」とは、資本の側がつくった言葉だが、要は全業務にわたる外注化ということだ。JRそのものは持ち株会社となり、現場の業務はJR本体には残さない。運転士や車掌も含むあらゆる業務を外注化すれば、現場では「JR本体と下請け(外注先)」という「縦」の関係は消滅するというわけだ。
 「戦略的ダウンサイジング」とは、文字通り不採算路線は廃止するという意味だ。経営計画の中で廃線をあからさまに唱えたのは、JRの歴史の中でもかつてない異例のことだった。
 「経営構想Ⅴ」のもと、JR東日本は全面外注化に向けての布石を次々と打った。
 12年12月には東京、横浜、八王子、大宮支社管内で車両検修業務を請け負っていたJR東日本運輸サービス(JETS)がJR東日本の完全子会社になった。13年には、駅業務を受託する子会社としてJR東日本ステーションサービス(JESS)が設立され、15年7月には千葉鉄道サービス(CTS)、水戸鉄道サービス(MTS)、高崎鉄道サービス(TTS)が請け負っていた駅業務はJESSに統合された。この過程で、CTSなどで駅業務に携わっていた労働者は、JESSへの転籍を強いられた。JRでの転籍攻撃が本格的に始まったのだ。また、15年4月、総合車両センター(旧工場)で業務を受託していた子会社が統合されてJR東日本テクノロジー(JRTM)が発足した。
 これらの子会社再編は、支社ごとに逐次行われていた外注化のやり方を改め、全社統一して系統ごとに業務を丸ごと外注化するための基盤整備が目的だった。

経営構想Ⅴの強行で重大事故が続発

 こうした施策は、重大事故の多発をたちどころにもたらした。14年2月、川崎駅構内で京浜東北線の回送電車と作業用車両が衝突し、回送電車が脱線した。15年4月には山手線の秋葉原―神田駅間で架線を支える支柱が倒壊。まかり間違えれば、倒壊した電柱は電車を直撃し大惨事になっていた。16年3月、高崎線の籠原駅で、漏電により駅が炎上する大事故が起きた。これらは、JR東日本が引き起こした重大事故のほんの一端にすぎない。
 外注化により業務は複数の下請け会社にばらばらに発注され、指揮命令系統が破壊されて、技術継承も断たれた。責任の所在もあいまいになり、事故は止まらなくなった。JR東日本の冨田哲郎社長自身が、「水平分業の深度化が事故をもたらした」と認めざるを得ない状態だ。
 にもかかわらず、JRは一層の外注化を強行する以外に選択肢を持たない。これが分割・民営化30年の現実だ。
 JRは今年3月のダイヤ改定で、全面外注化とローカル線切り捨てに本格的に踏み込んだ。動労千葉―動労総連合はこれと真っ向から立ち向かい、第2の分割・民営化攻撃との決戦突入を宣言した。今こそ動労総連合の組織拡大をかちとろう。鉄道の安全を一層破壊する第2の分割・民営化攻撃を、反合理化・運転保安闘争路線を貫いて粉砕しよう。

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