18年非正規解雇許さない 「5年で雇い止め」攻撃に団結築いて立ち向かおう
週刊『前進』04頁(2835号02面04)(2017/04/10)
18年非正規解雇許さない
「5年で雇い止め」攻撃に団結築いて立ち向かおう
12年に行われた労働契約法の改悪でつくられた「5年で無期雇用に転換」というルールをめぐり、18年を待たずに激しい攻防が火を噴いている。資本は5年ルールを逆手に取り、「5年前に雇い止め」の攻撃を一斉にかけている。「5年が上限」「今回で最後」などの文言を雇用契約書に書き込むなど、卑劣な手段に訴えている。1500万人に上る有期雇用労働者がこの攻撃の渦中にいる。
無期雇用への転換は、自動的に行われるのではなく、労働者による申告(意思表示=権利行使)が必要だ。「1人では言えない」と思い悩んでいる労働者も多い。資本の手先と化した体制内労働組合は、こうした労働者を見捨てるだけでなく、雇い止め攻撃を資本とともに進めている。
30年にわたり国鉄1047名解雇撤回を貫いてきた動労千葉派こそ、解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃の路線を貫き反撃の先頭に立とう。
一斉解雇狙うCTSに反撃
5年ルールを真っ先に悪用したのはJR東日本だ。JR東日本が株式の100%を所有する完全子会社のCTS(千葉鉄道サービス)は、16年2月以来、「5年になる前に試験を受け、合格しなければ雇い止め」とする就業規則の改悪をたくらんできた。CTSで働く動労千葉の組合員を選別・解雇するための露骨な組合破壊攻撃であり、非正規労働者をさらに徹底して低賃金と不安定雇用にたたきこむことが、その狙いだった。この攻撃は現場労働者の怒りに火をつけた。大反撃が組織され、動労千葉は組織拡大を実現した。16年10月、CTSは就業規則の改悪を強行したが、その内容は、試験ではなく面接による選考で会社が認めた者だけを無期雇用に転換するというものになった。
この就業規則改悪をめぐる攻防は、その後も粘り強く続けられた。そして、今年3月の動労千葉との団交で、CTSから以下のような回答を引き出した。
会社「CTS全体の契約社員は330人、パート社員は100人あまり。そのうち計260人あまりが対象者となる」
組合「無期雇用転換の申請書に何を書くのか。名前だけでいいのか」
会社「65歳までの雇用を希望するということと、あと1行か2行」
組合「申請書への記載内容を判断基準にしないということでいいのか」
会社「そこを判断基準にはしない。これまで年々の更新で判断してきた基準と変わらない」
雇い止め解雇を打ち破る攻防は、これからが本番だ。油断せず、本当の決着をつける闘いに入る時が来た。
JRでの攻防が勝負決める
1047名の首を切って生まれたJRは、非正規労働者の解雇攻撃も先頭で主導してきた。JR東日本は12年1月、JRグループの労務・人事担当幹部を集め、完全子会社で人事管理事務などを請け負うJEPS(ジェイアール・イースト・パーソネル・サービス)の役員を講師にした「実務対応」会議を緊急開催した。就業規則改悪などの脱法・違法が謀議されたと見て間違いない。
JRの外注化・非正規職化は、07年のグリーン・スタッフ(GS)制度の導入によって一気に進んだ。駅業務を担う契約社員のGSの雇用契約期間は1年で、最大4回までしか更新されない。JRは首都圏を中心に年に300人、最大1500人のGSを雇い入れた。GSは17年度から採用停止となったが、今いる1500人が5年で雇い止めになる。
駅はどこも要員不足だが、JRは要員確保の方向さえ示さず、GSの採用停止だけを決めた。駅は安全の要であり、運転保安上も大問題だ。
JRだけでなく、郵政、自治体、民間など、至る所で「5年で雇い止め」という雇用形態がはびこっている。しかも、こうした雇用形態を資本とともにつくり出してきたのが体制内御用労組幹部だ。この現実に対する労働者の怒りは深い。
東京労働局も文書で「指導」
その怒りに押され、支配階級も雇い止め攻撃をストレートに貫徹できなくなっている。今年2月、東京労働局は、一般財団法人消防試験研究センターが非常勤労働者に対し17年3月31日の雇い止め解雇を予告通知した問題で、「無期転換ルールを免れる目的による雇い止めは違法とされる可能性は否定できない」と文書で「指導」した。労働者から見れば当たり前の「指導」だが、労働局もこう言わざるを得ないほど、資本家階級による支配は危機にあるということだ。
資本は、非正規労働者が階級性・労働者性に目覚めて立ち上がることを心底恐れている。「社会を動かしているのは労働者だ」という誇りに燃えて闘いに立とう。動労総連合をさらに拡大し、階級的労働運動を今こそよみがえらせよう。