命奪う「残業月100時間」 過労死法に遺族が弾劾声明

週刊『前進』04頁(2833号02面04)(2017/04/03)


命奪う「残業月100時間」
 過労死法に遺族が弾劾声明

労基法解体の安倍・小池と連合を倒そう

 3月28日、働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)は「労働基準法70年の歴史の中で歴史的な大改革」として「繁忙期の残業上限は月100時間未満」を柱とする働き方改革実行計画をまとめた。「長時間労働の是正」と称して、年間で720時間、繁忙期は月100時間まで残業を認め過労死を合法化する殺人法だ。安倍は「2017年が日本の働き方が変わった出発点として記憶されるだろう」と語った。8時間労働制の根幹を破壊する攻撃である。
 実行計画は、安倍と榊原定征(さかきばら・さだゆき)経団連会長、神津里季生(こうづ・りきお)連合会長による「政労使合意」の上に「政労使がまさに3本の矢となって一体となって取り組んでいく」と述べ、今秋国会に労基法改悪案を提出しようとしている。
 これに対し過労死遺族は直ちに徹底弾劾の声を上げた。戦争への突進と一体で労働者を死に追いやる「過労死法」など絶対に許さない。小池百合子都知事も「TOKYO働き方改革宣言」で、8時間労働制破壊に名乗りを上げた企業に奨励金を出して労働破壊の旗振り役を務めようとしている。安倍・小池・連合打倒に総決起しよう。

繁忙期ならば命を落としてもよいのか!

 「残業時間規制」は休日労働を含まず、その分を合わせれば年720時間どころか960時間まで残業させられる抜け穴が用意されている。研究開発部門は対象外で、医師や、脳・心臓疾患の労災認定件数250件余(15年度)の5割を占める運輸業や建設業は最低5年間適用を猶予するとした。実行計画は残業規制外の「残業代ゼロ」制と裁量労働制拡大を盛り込んだ法案を早期に成立させることも強調した。まさに「過労死実行計画」そのものだ。
 15年末に過労自殺に追い込まれた電通社員・高橋まつりさんの母、幸美さんは声明を発した。
 「私は、過労死遺族の一人として強く反対します。繁忙期であれば命を落としてもよいのでしょうか。命を落としたらお金を出せばよいとでもいうのでしょうか」(3月13日)。「100時間という時間は非常に長い。毎日8時間プラス5時間。帰宅は11時、12時です。1カ月でもうつ病は発症します。私の娘は『1日20時間も会社にいると何のために生きているのか分からなくなる』『生きるために働いているのか、働くために生きているのか分からなくなる』と書いていました。過労死を予防するための法案なのに過労死ライン以上の100時間とするのは、過労死をさせよ! ということを認める法案でしょうか----」(28日)。
 遺族の怒りはあまりにも当然であり、とりわけ連合が攻撃の先兵となっていることは本当に許しがたい。高橋幸美さんは28日の声明で続けて訴えた。「労働者がパワハラやサービス残業を強いられても泣き寝入りする日本の会社の中で誰が労働者を守ってくれるのでしょうか。労働組合もきちっと動いてくれないことがあり、労働者が亡くなっています」。まさに労働組合が問われている。娘を奪われた高橋さんをはじめ遺族の無念と怒りは全労働者の共通の思いだ。安倍政権がどんなに「政労使合意」を強弁しようと、連合支配をぶっ飛ばす現場労働者の闘いの爆発は不可避である。

奨励金を与え「働き方改革」推進する小池

 安倍政権の「働き方改革」の正体は完全に明らかになった。小池知事はその旗振り役として「TOKYO働き方改革」を掲げ、都庁における勤務時間改悪と20年東京五輪後の9月までの「任期付正規職員」採用を先端に、フレックスタイム制や短時間正社員制、テレワーク・在宅勤務制の導入を進める企業に奨励金・助成金を与えて推進しようとしている。すべてが8時間労働制を破壊し、「正社員ゼロ」=総非正規職化を進める許しがたい攻撃である。
 8時間労働制は資本に対する解雇規制とともに労働者階級の流血の闘いの歴史の中でかちとられてきた。それを根本から破壊する攻撃を、安倍・小池、経団連と連合本部が一体となってしかけてきた。現場の怒りは激しく燃え上がっている。
 こんな攻撃はこっぱみじんに粉砕できる。JR子会社の労働者は次々と動労総連合に結集して団結を固め、36協定をも武器に劣悪な労働環境、解雇と超長時間労働、残業代未払いとの闘いに突入している。非正規職と貧困をはびこらせ共同性を破壊して社会を崩壊させた国鉄分割・民営化は大破産した。動労総連合を先頭に戦争と民営化、非正規職2千万人解雇・労働大改悪・労組破壊に対する労働者反乱の17〜18年決戦が始まった。丸ごと民営化・外注化と国家的大リストラを阻む第2の分割・民営化阻止決戦の爆発をかちとろう。ストライキで闘う都労連・東交(東京交通労組)建設を進めよう。1千万人の怒りと結合する都議選決戦で労働運動を塗り変え、安倍・小池・連合本部を打倒しよう。

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