大学の軍事研究許さない 全学連書記長 作部羊平(京都大学)
大学の軍事研究許さない
全学連書記長 作部羊平(京都大学)
日米韓軍事同盟のもとで朝鮮戦争が迫る中、「大学の戦争動員」が急ピッチで進んでいます。2015年9月の安保関連法の強行成立とセットで始まった防衛省・防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」予算は、17年度で約40倍の110億円にまで膨れ上がりました。「安全保障」とは「戦争」の別名です。大学予算がどんどん減らされる中、札束で大学人の頬(ほほ)を引っぱたいて軍事研究をやらせようというのです。
研究や技術そのものに「民生用」「軍事用」の境目はありません。だからこそ賛成派は、「防衛省の資金でも生活の役に立つ可能性もある」「デュアル・ユース(軍民両用)だ」、あるいは「日本の自衛のため」を言い訳に軍事研究を解禁しようとしています。
本質は、科学の研究成果を「誰がどう使うか」です。いま軍事研究が焦点化しているのは、「安倍政権が」「朝鮮戦争のため」に科学・研究を総動員しようとしているからです。ならば、この戦争を止めるために、大学人・科学者の英知と民衆の力を結集させ、「1%」のための戦争政治を終わらせるべき時ではないでしょうか。
にもかかわらず、日本の科学者の代表組織である「日本学術会議」は3月24日の幹事会で、〝「学問の自由」が守られればいい〟〝研究の適切性を審査する制度があればいい〟などと開き直る新声明を決定しました。現実の矛盾と悲惨に向き合わずして何が「学問」でしょうか!
先日、京大同学会で「『軍産学共同』に抗議する申し入れ」を決議し、2004年の国立大学法人化を問題にしました。法人化は国・大企業が大学研究の金を握ることで、大学の民営化=国家・大企業による私物化を進め、この中で学生活動や大学自治の規制・解体も進んでいます。
私は同学会委員長として15年10月の反戦ストライキを主導したことで、無期停学処分を受けました。しかしこの本気の闘いは、処分撤回署名を通じ1万人を超えるつながりをつくり出しました。
どんな口実であれ、戦争は一握りの資本家の利益のために行うものであり、私たち学生は絶対に反対しなければなりません。かつて帝国大学の戦争協力が最後は「学徒出陣」にまで行き着いた歴史、学生と学問がアジア人民虐殺の最前面に立たされた歴史を絶対に繰り返してはなりません。自らと仲間の未来をかけて国家と闘い、「戦争と貧困」に加担する大学を、労働者人民の未来をつくる真に「社会のための大学」につくり変えよう!
大学の主人公は学生です。学生自治会を全国に再建し、ストライキで未来を取り戻そう!
(京都大学同学会委員長)