小池都知事は住宅追い出しやめろ 福島への帰還強制許すな 3・31都庁包囲デモへ
週刊『前進』04頁(2831号03面01)(2017/03/27)
小池都知事は住宅追い出しやめろ
福島への帰還強制許すな
3・31都庁包囲デモへ
福島原発事故の「自主避難者」への住宅の無償提供が3月末で打ち切られようとしている。事実上の追い出しだ。小池百合子都知事は会見で「被災地のほうはぜひ戻ってほしいという意向がある」と言い放った。しかし福島は高濃度の放射能に汚染されたままであり、原発事故は収束の見通しすら立たない。それでも戻れというのか。住宅は避難者の「命綱」であり、それを断つことは許されない。避難者の怒りと結び、動労水戸とともに帰還と被曝の強制を許さず闘おう。
住宅は避難者の「命綱」
住宅支援は「自主避難者」の「命綱」である。国が勝手に線引きした区域の外からの避難者=「自主避難者」には福島県が災害救助法に基づいて国費などで無償提供してきた住宅支援のほかに、東京電力からわずかな賠償が出るだけである。福島県の発表によると、「自主避難者」は1万524世帯、2万6601人(2016年10月現在)に上るが、県は「避難区域外では帰還できる環境は整っている。戻れる方には戻っていただく」と強弁して無償提供を打ち切る。
全国最多の717世帯、2千人(16年9月現在)の区域外避難者が住む東京都の小池知事は、都営住宅・公社住宅などの無償提供をやめて300戸の「優先入居枠」を設けた。しかし厳しい応募条件が付き、家賃(都営は月約1万~7万6千円)・共益費、駐車料が必要となる。1月12日現在、入居予定は166件にとどまる。
知事は「要件を緩和しできるだけ多くの受け入れを続ける」と言うが大うそだ。都営住宅に避難している50代の女性に昨秋、退去を求める文書が都から届いた。都営の優先枠に申し込もうとしたが、家族構成が要件を満たさないため、同居の4人がバラバラになってしまう。別の女性は職員に「都営住宅は都民のためにある。避難者のためにない」と言われた。生活の困窮を訴えたが無視された。住民票を都に移しても「難民扱い」される。これが小池知事の掲げる「都民ファースト」の本質だ。予算の問題ではない。知事は意図的に帰還を強制しようとしているのだ。
避難者は「自宅への立ち入りには防護服が必要であり、人が生活する場所ではない」「母として子どもを放射能から守りたい」「私たちは原発事故の被害者です。東電や国は責任を果たし、住宅の無償提供を継続してほしい」と口々に訴え、行動に立ち上がっている。
「復興」掲げ被曝強いる
安倍政権と小池知事は東京五輪を使って避難者の存在自体を消し去り、福島を圧殺しようとしている。そこに革命の火種があるからだ。居住制限区域や避難指示解除準備区域の避難指示を解除し、放射能汚染土を詰めた袋が山積みになった地域に帰還を迫る。JR東日本は4月1日、常磐線小高駅(南相馬市)から、原発と9㌔しか離れていない浪江駅(浪江町)までの運転を再開しようとしている。3月11日に開かれた政府主催の追悼式で安倍晋三首相は「原発事故」の文言を式辞から消した。「福島においても順次避難指示の解除が行われるなど復興は新たな段階に入りつつある」と強調した。12日のNHK「日曜討論」で今村雅弘復興相は「ふるさとを捨てるというのは簡単だが、戻ってとにかく頑張っていくんだという気持ちをしっかり持ってもらいたい」と述べた。さらに東京五輪の野球・ソフトボール競技を、横浜スタジアムに加えて福島県営あづま球場(福島市)で開催しようとまでしている。本当に許しがたい。
労働者住民の命も安全も否定する「復興」とは何か。日本帝国主義の原発・核政策が福島原発事故を引き起こした。今度は福島を切り捨て被曝と帰還を強制しようとしている。安倍も今村も小池も日本会議だ。韓国革命の前進と米日韓の朝鮮戦争への突進の中で、森友学園の幼稚園教育で問題となった「天皇のために命を差し出せ」という教育勅語を体現し実行する国家犯罪そのものだ。
労働組合先頭に闘おう
11年3・11直後から福島第一原発事故に命を賭して立ち向かった原発労働者をはじめ、被災地と全国の膨大な労働者が懸命に動き働いてきた。都庁の労働者も、列をなして救援を求める避難者に緊急の窓口を設けて住宅の手配や物資の配布・移送に全力を挙げた。その職員が今度は安倍首相や小池知事の指示で避難者追い出しの業務を押し付けられる。こんなことがあっていいわけがない。福島の怒りと結合した労働組合の絶対反対の闘いが必要だ。動労水戸・動労福島は常磐線の延伸による被曝と帰還の強制にストで立ち向かい、ふくしま共同診療所とともに地域の結集軸となっている。都労連・都庁職労働者もこれに続こう。「被曝と帰還の強制反対署名」を進め、安倍・小池を倒そう。避難者追い出しを許さず、3・31都庁包囲デモ(要項1面)に立とう。
(大迫達志)