完全外注化で解雇自由・総非正規職に JR「水平分業」粉砕を
完全外注化で解雇自由・総非正規職に
JR「水平分業」粉砕を
国鉄分割・民営化は大破産した。その絶望的な突破をかけた第2の分割・民営化は、一産別の枠を超えた国家的大リストラであり、怒りの爆発は不可避だ。最大の柱はフル・アウトソーシング(完全外注化)であり、完全分社化・転籍=全員解雇攻撃との決戦に突入した。
分社化と労組破壊の大攻撃
JRの「水平分業」は全事業の完全分社化と労組破壊の大攻撃である。
経済産業省は1999年、後にニッポン放送株不正取引の村上ファンド事件(2006年)を起こした官僚の村上世彰(よしあき)を中心に『アウトソーシングの時代』(日経BP社)と称する提言を打ち出した。それは以下のような許しがたい内容だった。
アメリカの優良企業はM&A(企業の合併・買収)とアウトソーシングで利益を上げている。アウトソーシングは開発・製造・管理といった業務の根幹を丸ごと外注化する。日本はまだ初期の段階にとどまっており、フル・アウトソーシングすべきである。そのためには雇用の流動化と外部企業への労働者の転籍が必要だが、終身雇用と厚生年金制度が阻害している。特に行政は500万人の雇用を抱え、最も潜在需要があるが首を切れない。公務員制度を改革し本格的に進めるべきだ。将来、最も恐るべきは人口減少であり、痛みを伴わない「均衡ある沈没」か優勝劣敗の「不均衡な発展」に踏み出すかが問われている----。
まさに今日の安倍政権の社会丸ごと民営化と労働大改悪、「解雇自由」化と年金制度破壊の走りとなる主張であった。
「選択と集中」で社会を破壊
しかし、村上らが「成功例」としたアメリカの産業は回復不能なまでに衰退・没落した。工場労働者の雇用が破壊されて地域は荒廃し、トランプと激突するストライキが拡大している。大恐慌下で民営化を進め、M&Aで企業を乗っ取り労働者の首を切って利ザヤを稼ぐ巨大資本に対し、世界でゼネストが爆発している。第2の分割・民営化も労働者人民の怒りを極限まで燃え上がらせることは不可避だ。
JRが掲げる「選択と集中」は、利潤のために鉄道事業の公共性も安全も葬り、地方を切り捨て社会を破壊する。「水平分業」とはフル・アウトソーシングであり、従来の下請けとの「垂直分業」ではなく、全事業を分社化・別会社化して労働者を転籍させる全員解雇・労組破壊の攻撃である。最終的には巨大持ち株会社(ホールディングカンパニー)を頂点に国とグループ企業を統括する戦前の財閥やコンツェルン(レーニンが『帝国主義論』で暴いた)の復活に行き着く。それは戦争と一体である。
今や韓国・民主労総が掲げる「財閥解体」は「政府打倒」とともに全世界共通の革命のスローガンとなった。第2の分割・民営化阻止は、そうした国家と革命をめぐる階級決戦である。
18年問題巡る大決戦に突入
JR東日本は2000年以来JR総連カクマルを手先に全面外注化攻撃をしかけてきた。これに対し、動労千葉は絶対反対で闘ってきた。2月25日の第76回定期委員会は17年間を総括し、田中康宏委員長は「本気で立ち向かえば勝てる」と強調した。闘いが外注化を破綻寸前に追い込んでいる。労働組合がストで闘って力を取り戻すことで、膨大な労働者を非正規職に突き落とす攻撃を止めることができる。
本紙2827号は岡山大メディカルセンター構想粉砕の闘いを報じた。これもまた病院の「ホールディングカンパニー」化を阻む決定的勝利だ。
労働契約法・労働者派遣法による非正規職2千万人の全員解雇か否かをめぐる2018年が迫り、全産別・職場で決起が始まっている。「代わりはいくらでもいる」と暴言を吐いて首を切ろうとする資本に怒り、労働者が次々と労働組合に結集して立ち上がっている。革命はなにより青年の事業だ。動労総連合の青年労働者を先頭に、第2の分割・民営化阻止決戦に総決起し、ゼネスト―革命を切り開こう。
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▼持ち株会社 自らは具体的事業を行わず、他社の株を保有してその会社を支配するために設立された会社。戦後、財閥解体がなされ、独占禁止法で禁じられてきたが、97年に解禁された。