岡山大メディカルセンター構想を葬れ 医療・福祉の破壊と全員解雇・非正規職化を狙う

週刊『前進』04頁(2827号02面04)(2017/03/13)


岡山大メディカルセンター構想を葬れ
 医療・福祉の破壊と全員解雇・非正規職化を狙う

(写真 岡山大学病院構内で病院構想絶対反対の大宣伝【3月1日】)


 3月8日、岡山大学医学部で働くわれわれと地域の闘う仲間は、前週に続いて病院構内でメディカルセンター構想絶対反対の大宣伝を行った。ビラの受け取りはいつもの倍以上だ。多くの教職員が足を止めて演説に注目する。追い詰められた岡大・森田潔学長は7日、われわれの公開質問書に対して「現時点では6病院統合は想定していない」と、構想そのものの破綻を認める回答を出してきた。毎週の宣伝活動と職場の組織化をやり抜き、さらにこの構想を完全に葬り去ることは必ずできる。医療・福祉の破壊、全員解雇・非正規職化の国家的大リストラを狙う岡大病院構想を、3月国鉄決戦と一体で絶対に粉砕する!

「命よりカネ」の新自由主義医療の大攻撃

 安倍政権の2014年3月の産業競争力会議で森田学長は岡山大メディカルセンター構想を提案した。(図参照)
 『前進』紙上で暴露してから3年近く、われわれは大学内外で絶対反対を訴えてきた。安倍「成長戦略」の目玉であるこの構想について沈黙せざるをえない状況を学長に強制してきた。申入書を提出しに行ったわれわれに、病院労務管理担当の管理職は「自分の方こそ知りたいぐらいだ」と漏らした。この一言に、その破綻は明らかだ。
 安倍「成長戦略」は、戦争と大恐慌下の経済破綻、財政崩壊の中で、過剰資本の投資先として医療・福祉・介護を徹底して民営化することで、極限的な低賃金と労働強化を強制し、社会保障制度全体を根幹から解体する攻撃である。その核心に団結破壊がある。医療労働者と障害者、患者、高齢者を分断し、労働者同士も競争させることで、極限的な搾取・収奪、「弱い者は死ね」という淘汰(とうた)を遂行しようとするものである。
 一昨年9月の改悪医療法で新設された「地域医療連携推進法人」は、設置母体の枠を越えて持ち株会社方式で複数の病院を傘下に束ねる組織として構想された。「超高齢化社会のもとでの財政破綻」を言い立て、「自己責任」論のもとで社会福祉・社会保障の切り捨てを進めるには、全国の医療機関、介護・福祉事業所の再編・淘汰が必須だ。保険適用外の自由診療の拡大や再生医療、遺伝子治療技術の導入、医療機器産業との一体化など利潤につながる分野への投資の一方で、保険診療などもうからない部分の切り捨てを進めようというのである。
 岡大病院構想は「非営利」を強調する。森田学長は「ピッツバーグ大学メディカルセンターが手本」だとしながらアメリカ型のIHN(統合型ヘルスケアネットワーク)のような大規模システムは取らないと言う。だが、その狙いは「非営利」原則をなし崩しにして「年間2千億円の収益をめざす」(森田学長)ピッツバーグのような巨大な「医産軍学複合体」をつくることにほかならない。
 この攻撃の突破口が、大学本体からの病院切り離し・持ち株会社化、その下に地域の基幹病院を統合する地域医療連携推進法人だ。医療機関への医師派遣を通じて支配力を行使できる地方国立大学の岡山大で成功させ、これを皮切りに地方、都市圏を問わず同じモデルを適用して病院統廃合を一気に進めようとするのが安倍の狙いである。
 岡大病院方式は労働者の団結を解体することによって初めて成り立つ。全員解雇・非正規職化に行き着くという暴露・追及に対し、当局は「新法人へは出向で対処するので雇用問題は起きない」と言い続けてきた。そのペテンがはがれ始めた。

出向は1日だけで即日雇用契約の解除も

 ①「出向といっても元の職場である病院を大学から切り離すのだから帰る場所のない転籍・解雇だ」という追及に対し、当局は看護師など病院所属の職員を医学部所属にして出向させる案を検討し始めた。だがこれは、現在病院所属ではない教職員も含めて医学部籍にしてしまえば自由に出向させることができるようになることを意味する。全員解雇・非正規職化であることがより鮮明になってしまったのである。
 ②当局の内部資料に「新法人発足の4月1日出向、4月2日新規採用」との記載があることが発覚した。出向扱いは1日だけで即日雇用契約を解除し、翌日に新規で採用することさえ可能になるではないか。「何が出向だから安心だ! ふざけるな!」という声が起こることは必至だ。
 人事評価や傘下の病院や中小医療機関・診療所への配転を通じて団結はずたずたに解体される。起こるのは安全崩壊だ。
 いまJRによる第2の分割・民営化攻撃としてかけられているローカル線廃止、地方破壊の国家的大リストラは、岡大病院構想を通じた医療・福祉の丸ごとの再編・淘汰という形で、労働者が当たり前に生きていくことすら許さない攻撃として現実化している。だが逆に国鉄決戦と一体で闘うことで膨大な民衆の怒りの決起を呼び起こす。そして病院は労働組合を軸に広範な民衆の団結の拠点、革命後の社会における地域ソビエトの柱となる。だからこそ労組のぶっ立ちと団結の強化・拡大が不可欠なのだ。
 3月31日、われわれは岡大病院構内で「命よりカネ」の医療の民営化反対、メディカルセンター構想絶対反対を掲げて学内集会と市内デモを行う。労働者が闘って団結を維持・拡大して4月1日に突入することで、岡大病院構想がはらむ矛盾は一気に爆発する。絶対反対で闘おう!
(岡山大学医学部職員組合・矢田範夫)

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