3・26三里塚全国集会へ 市東さんの農地守りぬこう 労農連帯で軍事空港阻止を
週刊『前進』04頁(2825号03面01)(2017/03/06)
3・26三里塚全国集会へ
市東さんの農地守りぬこう
労農連帯で軍事空港阻止を
(写真 2月14日、千葉地裁での強制執行停止申立の審尋に先立ち反対同盟がデモ )
市東孝雄さんの農地をめぐる決戦は、待ったなしの緊迫した局面を迎えた。毎回の裁判・デモが、一瞬とも気を抜けない農地強奪攻撃との対決となっている。三里塚芝山連合空港反対同盟は、農地取り上げの強制執行を体を張って阻止する決意で、3・26全国総決起集会(成田市赤坂公園)への大結集を呼びかけている。軍事空港建設に対し「絶対反対」を貫き半世紀を闘いぬく反対同盟の闘魂に応え、3・26に全国から駆けつけよう。労農学の実力で市東さんの農地を守り抜こう。
朝鮮侵略戦争情勢と対決する反対同盟51年の闘い
3月1日から米軍1万5千人、韓国軍29万人が参加する史上最大規模の米韓合同軍事演習が始まった。「キー・リゾルブ」で北朝鮮への先制攻撃を図上演習し、「フォール・イーグル」では上陸訓練も実施する。米原子力空母カール・ビンソンや、嘉手納や岩国の米軍基地に配備されているステルス戦闘機も参加する。トランプ米大統領の判断で作戦計画「5015」にもとづく北朝鮮空爆がいつ始まってもおかしくない情勢に突入している。日米帝は核の先制使用を宣言し、中国をもにらんだ日米軍事同盟の強化を打ち出した。一方、韓国では2月25日、民主労総を先頭に民衆総決起が今年最大規模で闘われた。「ペクナムギ農民虐殺真相究明・責任者処罰! 財閥解体!」を掲げて闘う韓国人民と固く連帯しよう。
第3滑走路は軍事転用目的
朝鮮侵略戦争切迫情勢のもと、三里塚闘争の位置は決定的だ。94年朝鮮危機以来、大型爆撃機の発着が可能な4千㍍級滑走路を持つ成田空港は、「有事」に米兵30万人を受け入れる兵站(へいたん)拠点と位置付けられてきた。15年4月の日米安保ガイドライン改定や安保法制で「民間空港、港湾」の軍事使用が明記された。
今かけられている空港機能強化案(第3滑走路新設、B滑走路1千㍍延伸、深夜早朝の発着規制の緩和)という攻撃も、結局はすべて軍事転用を目的としている。
この国策=巨大軍事空港建設に真っ向から立ちはだかっているのが三里塚反対同盟であり、市東さんの闘いだ。「農地死守・空港絶対反対」の原則を貫く不屈の闘いが、事業認定を失効させ強制収用を不可能にした。
農地法裁判の上告棄却は3代100年の農地奪う暴挙
市東さんの農地を奪うために国家権力は、本来は耕作者の権利を守るための農地法を悪用して民事訴訟を起こし、裁判所を収用機関の代わりに使うというやり口に訴えた。こんなことは絶対に認められないことだ。しかし、昨年10月25日、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は市東さんの上告を棄却し農地強奪判決が確定した。祖父の代から100年耕してきた農地を耕作者に無断で秘密に買収し転用することを認め、明け渡しを迫る判決は、1952年農地法制定以来前例のない暴挙だ。
NAA(成田空港会社)は「離作補償の1億8千万円は、同規模の平均的な農家の150年分だ」と言い放ち、市東さんに立ち退きを迫った。一審千葉地裁・多見谷判決は、「話し合いがとん挫した場合は強制執行してもいい」と国やNAAが言っていないことまで付け加えて、判決を言い渡した。第3誘導路裁判では、国とNAAは「原告・市東の家と畑は収用されるはずの土地。人の居住を想定していない。騒音を受忍せよ」と主張した。すべてがとんでもない暴言だ!
しかし、市東さんは一切ひるむことなく、自然体で畑を耕し続けている。「判決がどうであれこの地で生きる。無農薬有機野菜を育て届けることが自分の誇りであり生きがいだ。それを壊す者とは実力で闘う」。市東さんの生き方が、国家権力の攻撃を根底で打ち破っている。
企業の農業支配を許さず資本主義に終止符打つ時
市東さんが耕す農地は、戦後に父親の東市さんの復員が遅れなければ、農地改革で市東家の所有地になるはずだった残存小作地だ。戦後、寄生地主の解体、自作農創出を掲げた農地改革が進められた。寄生地主制は侵略戦争の経済的基盤であった。寄生地主は農民から絞り取った小作料を株や公債につぎ込み、鉄道会社や紡績会社などの企業勃興(ぼっこう)期から財閥の確立まで支え続けた。
高額の小作料ゆえに食べるのがやっとの貧しい農家の次男・三男は軍隊へ行き、女子は家計補充的な安価な労働力として輸出品の主力であった製糸産業、紡績産業を支えた。国内市場が飽和し、新たな市場を海外に求め侵略戦争を幾度も引き起こす原因となった。
この痛苦の経験から農民は労働者と団結して立ち上がった。そこに革命の火種を見た支配階級は、その防波堤として農地解放と憲法9条を認めざるをえなかったのだ。
今日、過剰資本・過剰生産力にあえぐ最末期帝国主義は、農民を切り捨て、企業の農業支配を進め、新たな市場・資源・勢力圏拡大のための戦争を構えている。
2009年の農地法改悪で、企業の農業分野への参入が加速された。JAや農業委員会の解体、減反政策の廃止が進められ、商社による米流通の掌握によって意図的な米価の暴落が起き、多くの農地が奪われている。1985年に542万人だった農業就業人口は、2016年に200万人を切った。平均年齢は70歳近くで、技能実習に名を借りたアジアからの安価な労働力移入なしには成り立たない状況である。
レーニンは、「すべての地主の土地の没収という農民の要求は、資本主義の廃止によってのみ実現される」と労農同盟論を確立し、労農兵ソビエトのもとで1917年にロシア10月革命を成功させ、戦争を終結させた。革命に向けた労農同盟の実現こそ、戦争を終わらせ資本主義に終止符を打つ力だ。三里塚闘争は、動労千葉と反対同盟を車の両輪とする労農連帯を実現してきた。今その真価を発揮する時だ。
労働者・住民の決起と結び
1月9日の旗開きをもって立ち上げられた決戦本部は、現地調査、土曜カフェ、映画上映会、第3滑走路計画説明会弾劾行動、援農の受け入れ、同盟ニュース・決戦本部ニュースの発行と周辺ビラ入れ、街宣などあらゆる取り組みを行ってきた。横芝光町には住民の「空港機能強化断固反対」の看板が立った。2・14審尋では、強制執行停止決定をかちとり、3・2から始まった請求異議裁判では、「判決は出されたが強制執行はできない」という、かつてない地平を築いている。3・4ダイ改阻止に立つ動労千葉・動労総連合の闘いと結び、3・26全国集会に大結集しよう。成田市中心部に労働組合旗・自治会旗を林立させ、空港内外の労働者・農民と結びつき、ゼネストに向けて闘おう! 労農学の総決起で市東さんの農地を守りぬこう!
〔土屋栄作〕