国鉄分割・民営化は破産した 外注化=雇用破壊と地方線切り捨てのJR3月ダイヤ改定を阻もう

週刊『前進』02頁(2822号01面01)(2017/02/23)


国鉄分割・民営化は破産した
 外注化=雇用破壊と地方線切り捨てのJR3月ダイヤ改定を阻もう

(写真 650人が集まった国鉄集会で訴える動労千葉の田中康宏委員長【2月12日 東京・墨田区】)


 国鉄分割・民営化による不当解雇から30年の節目を迎えて全国9カ所で開かれた国鉄集会は大成功し、1047名解雇撤回と第2の分割・民営化攻撃粉砕へ決戦態勢が築かれた。JR北海道の現実が示しているように、国鉄分割・民営化はすでに大破産した。しかし、安倍政権とJR資本はその現実をも逆手にとって、鉄道業務の全面分社化と労働者への転籍強要、ローカル線切り捨てによる地方破壊にのめりこんでいる。まさに第2の分割・民営化と言うべき攻撃だ。これが生み出すのは労働者の総非正規職化と解雇自由、労組破壊と戦争、ひいては社会の総崩壊だ。JRの3・4ダイヤ改定をめぐる攻防はますます重大な決戦となった。動労総連合とともにダイヤ改定阻止の闘いに立とう。

民営化の破産認めた麻生

 2月8日の衆院予算委員会で財務相の麻生太郎は、JR北海道の現実と国鉄分割・民営化に触れて、次のように発言した。「この話は商売のわかっていない『学校秀才』が考えるとこういうことになるという典型ですよ。国鉄を7分割して黒字になるのは(本州の)三つで、他のところはならないと、当時から鉄道関係者は例外なく思っていましたよ。経営のわかっていない人がやるとこういうことになるんだなと思ったが、僕は当時力がなかった。今だったら止められたかもしれないとつくづく思う。JR北海道をどうするという話は、なかなか根本的なところを触らずしてやるのは無理だろう」
 副総理の立場にある麻生が、今になって〝内心は分割・民営化に反対でした〟などと言うこと自体、ふざけきっている。だが、そこに表れているのは、ローカル線の切り捨てが全人民の怒りを呼び覚まし、資本家による支配自体を崩壊させかねないという危機感だ。
 昨年11月、JR北海道は同社の線区の大半が「単独では維持困難」と発表し、廃線に向けて踏み出した。利潤の獲得を絶対的な条件とする私的資本に鉄道の経営をゆだねたら、地域住民の生活にとって絶対に必要な鉄道は維持できない。地域を率先して破壊しているのがJRだ。民営化は地域と住民を絞め殺す。この真実はもはや誰にも隠せなくなったのだ。
 他方、安倍は2月15日の参院本会議で、JR北海道については意図的に言及を避けながら、「(国鉄分割・民営化で)効率的で責任ある経営ができる体制が整った。JR本州3社に続き、JR九州も完全民営化し、所期の目的を果たしつつある」と言い放った。どんなに破産があらわになろうが、〝国鉄分割・民営化は成功した〟と強弁し続けるほかにないことも、支配階級が置かれている現実だ。
 その矛盾の中から噴き出してくるものは、一層の地方破壊にほかならない。それは戦争・改憲への支配階級の衝動をもさらに激しく加速する。
 2016年の東京都知事選に自民党から立候補して小池に大敗した増田寛也は14年、「将来、896自治体が消滅する」という衝撃的なレポートを出した。そこで増田は、「選択と集中」の名のもと、生き残らせる地域と切り捨てる地域を分けて、国家が政策的に地方を切り捨てるべきだとあからさまに主張した。

JRが地方破壊の最先兵

 JRはこれに真っ先に飛びついた。JR東日本会長の清野智は、15年1月の社内報『JRひがし』で「(14年は)人口減少や超高齢化に対して......何とかしなければならない、という国民的議論が初めてできるようになった画期的な年だった」と言い、以降、地方線の切り捨てを矢継ぎ早に打ち出した。
 15年2月には、東日本大震災で津波の被害を受けて不通になった山田線の宮古―釜石間の第三セクター化を地元自治体にのませた。15年12月から16年3月にかけては、震災で不通となり、「仮復旧」としてBRT(バス高速輸送システム)による代行運転が行われている大船渡線と気仙沼線について、鉄道での復旧を地元自治体にあきらめさせた。16年12月には、11年夏の豪雨で不通となった只見線への「上下分離方式」の導入を地元自治体に押し付けた。上下分離とは、線路などの設備を自治体に保有させ、その補修費も自治体に支出させるということだ。
 さらにJR東日本はJR北海道に西野史尚副社長以下の経営陣を送り込んで、北海道での全面廃線化を主導した。
 JR西日本も16年10月、三江線の廃止を国土交通省に届け出た。
 JR東日本は13年3月、千葉支社管内の久留里線と長野支社管内でスイッチバック区間がある篠ノ井線のワンマン化を強行した。16年3月には豪雪地帯を走る新潟支社管内の上越線・信越線にワンマン運転を導入した。JR西日本は今年のダイヤ改定で北陸本線の、JR九州は特急のワンマン化を狙っている。すさまじい安全破壊だ。

動労総連合の統一行動へ

 他方でJRは、品川―田町地区や渋谷駅などの再開発を進め、一層のカネもうけに走っている。その最たるものがリニア中央新幹線の建設だ。
 JRはまた、福島原発事故をなかったことにし、放射能汚染地域に住民を強制的に帰還させるため、3月31日に常磐線の小高―浪江間を再開しようとしている。
 鉄道の撤退は地方の衰退に拍車をかけ、やがては学校や病院などの公共施設の廃止につながる。地方では文字通り人間が生きていけなくなる。
 JR東日本は3月ダイヤ改定で、内房線の昼間時間帯の館山―千葉間の直通列車を廃止しようとしている。これらの施策に対し、館山で始まった地域住民を主体とする内房線切り捨て反対の取り組みは、こうした危機感に根ざしたものだ。
 同様の怒りは全国にある。その怒りを労働組合が束ねれば、それは労働運動再生の大きなきっかけになる。3月4、5日、動労総連合はストも辞さずダイヤ改定阻止の統一行動に立つ。この闘いに総結集しよう。

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