オリンピックはやめろ 福島圧殺と戦争・民営化を狙う
週刊『前進』02頁(2820号02面03)(2017/02/16)
オリンピックはやめろ
福島圧殺と戦争・民営化を狙う
安倍政権と小池百合子都知事、全政党が「2020年東京オリンピックの成功」を大合唱して、反対の声を押しつぶそうとしている。東京五輪は福島圧殺と戦争、民営化を狙う大攻撃である。築地市場廃止を前提にした環状2号線工事と巨大都市再開発、規制撤廃の東京特区、共謀罪、労働改悪も、すべてが東京五輪と結び付けられている。帝国主義・新自由主義のもとで行われてきたどの国・都市のオリンピックも同じだった。ただちにやめさせよう。
被曝と帰還の強制のテコに
13年9月、国際オリンピック委員会(IOC)総会での招致演説で安倍晋三首相は「復興五輪」をうたい「(福島第一原発の)汚染水はコントロールされている」「健康問題は未来永劫(えいごう)ない」と強調した。しかし3・11福島第一原発事故から6年。汚染水は増え続けている。甲状腺がんをはじめ健康被害も爆発的に増えている。2月9日、東京電力は福島第一原発2号機内の放射線量を推計毎時650シーベルトと発表した。数十秒で死亡する線量であり、投入したロボットも故障した。これが福島第一原発の現実だ。にもかかわらず安倍政権は被曝と帰還を強制し、原発再稼働と原発輸出を進めようとしている。JR東日本が先兵になり、20年東京五輪に間に合わせるとして原発直近の常磐線全線開通を強行しようとしている。
「五輪のために共謀罪が必要」
安倍首相は「国際組織犯罪防止条約を締結できなければ東京五輪を開けない」と繰り返し、共謀罪の必要性を強調している。共謀罪は「戦時体制へ向けた取り組みの一環」(『週刊女性』2月21日号)だ。「反テロ」と称してあらゆる反戦運動、労働運動を弾圧する「現代の治安維持法」として北朝鮮・中国への戦争準備と一体である。1月18日の埼玉「白タク」弾圧は共謀罪の先取りだった。15年9月、避難指示解除が強行された福島県楢葉町への視察のためにレンタカーを使い割り勘にしたことを、公安警察は「白タク営業」とデッチあげて3人を逮捕した。だが職場や地域で怒りが爆発し社会的反響を呼んだ。2月5日に県警本部に230人がデモを行い、3人の仲間は7日に奪還された。反原発運動など大衆運動への弾圧と治安国家化、これが東京五輪の正体であることが暴かれた。12年ロンドン五輪でも16年リオ五輪でも治安弾圧が激化し反対デモが広がった。
築地市場廃し大規模再開発
小池都知事は東京五輪を機に、東京大改造・民営化、労働改悪を一気に進めようとしている。2月10日、知事は豊洲―晴海オリンピック選手村―築地市場内を抜け競技場に至る環状2号線工事のうち、豊洲―晴海間を3月末までに部分開通させると発表した。築地市場の両側までオリンピック用道路工事を進めて豊洲移転を押し切ろうとしている。同日、「五輪に照準」をあわせ20年春に暫定開業する品川―田町間新駅の起工式が行われた。ローカル線廃線と常磐線延伸を進めるJR東日本・冨田哲郎社長は「これからのJR東日本の方向性を創り上げていく」と強調した。
16年7月、都営霞ケ丘アパートは新国立競技場建設のために解体工事が強行された。一方、小池知事は都市公園敷地を企業に開放して保育所を造ることを提案。政府は2月10日、都市公園法改悪案を閣議決定した。商業施設の規制も緩和する。
1兆8千億円と試算された五輪経費はこれで収まる保証はない。巨大資本と政治家が利権に群がり、残るのは膨大な借金とハコモノ施設である。
小池知事は五輪とあわせ「生産性向上」を掲げテレワークや1年単位のフレックスタイム・変形労働時間導入で8時間労働制解体も狙っている。
住民追い出しと再開発、公的資産売り渡しと民営化、労働改悪は五輪のたびに行われてきた。16年2月の「保育園落ちた日本死ね!」「オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ」という叫びは安倍・新自由主義とともに東京五輪への怒りだ。東京五輪をやめさせ安倍・小池を倒そう。