「核兵器使用」を日米が宣言 国際連帯でトランプ・安倍を倒そう
週刊『前進』02頁(2820号01面04)(2017/02/16)
「核兵器使用」を日米が宣言
国際連帯でトランプ・安倍を倒そう
(写真 トランプの強搾取に怒るアメリカの自治労組合員【16年7月20日、ラスベガスのトランプホテル前】)
日米共同声明で核攻撃を宣言
今回の日米首脳会談は、戦後史上かつてなく重大なものとなった。共同声明は冒頭で「核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメント(関与)は揺るぎない」としている。核戦力も通常戦力も使うと宣言したのは日米関係において初めてのことであり、他国との間でも異例である。それも「核戦力」を「通常戦力」より前に出して強調し、「使う」と明言した。しかも、従来は核使用には限定条件を付け、「敵の核攻撃を受けた場合」や「通常戦力で敵に圧倒された場合」の使用としていたが、今回はそうした条件もない。〝核兵器で先制攻撃をするのは正しい〟という主張だ。
その上で核戦争体制の一環として「日本は同盟におけるより大きな役割を果たす」とし、米軍再編のために辺野古への新基地建設が「唯一の解決策」だと強調している。
全世界の労働者の総決起に恐怖
共同声明は「日本の防衛」としているが、現実は正反対だ。日本は軍事大国であり、攻めるのは日本の側である。だから安倍は、戦争法に続いて現代の治安維持法=新共謀罪の制定と改憲を狙っている。トランプと安倍にとっての真の脅威は、韓国・民主労総のゼネラル・ストライキを先頭にして世界革命の扉を開いた民衆総決起だ。トランプは11月8日に大統領選挙で当選後直ちに、当時打倒される寸前だったパククネとの電話会談をしている。政権発足後、マティス国防長官が真っ先に訪問したのも韓国だった。
また、ほかならぬアメリカの労働者階級の中でもランク&ファイル(現場労働者)運動が組織され、帝国主義の手先になった既成の指導部から組合を奪い返す闘いが飛躍的に前進している。全世界的に労働者階級がひとつに団結し、従来の支配構造が崩れているのだ。
この闘いを通じて労働者が自信を回復し、仲間への信頼を急速に深めている。
労働者こそが、社会のすべての生産と交通を動かしている。自分の労働を労働者が資本家階級から奪い返し、職場を支配した時、労働者にできないことはない。労働者が軸となってあらゆる人民諸階層を結集すれば、全世界を変えることができるのだ。
核兵器の真の目的は巨大な破壊力で労働者に無力感を与え、自らの団結ではなく、外部の力に依存させることだ。「核には核で対抗」という北朝鮮も、この団結に敵対している。労働者の世界的団結こそ、核戦争を阻止する力だ。
トランプは1月23日、建設労組委員長シーン・マクガーベイ、レイバラーズ(土木建設関係)労組のテリー・オサリバン、SMART(板金工・航空・鉄道)労組のジョゼフ・セラー、カーペンターズ(建築)労組のダグ・マッカランと会談した。別の日には、AFL―CIO(米労働総同盟・産別会議)会長リチャード・トラムカとチームスターズ(トラックなど)のジム・ホッファとも会っている。
新たな労働運動アメリカで台頭
注目すべきことは、SMARTの鉄道部門にはRWU(鉄道労働者統一委員会)という階級的フラクションが存在していることである。14年には、執行部が丸のみした「貨物列車の一人乗務化」の労働協約案が、RWUが組織した運動でひっくり返されている。カーペンターズ、レイバラーズやチームスターズなどは悪名高い右派労組だが、そこにも非常に強力な反対派フラクションが存在する。チームスターズでは、90年代に組合員選挙で戦闘的なフラクションが執行部を奪取し、世界最大の宅配会社UPSのストライキを勝利に導いた。だが、当時のクリントン政権(民主党)が「選挙違反」をデッチあげて委員長を解任し、右派のホッファが取って代わった。
こうしたランク&ファイル組織化運動の激戦場で、トランプが必死に右派既成指導部にてこ入れしている。自分自身、偽装倒産や賃金踏み倒しなどを繰り返してきた資本家であり、労働者の怒りと団結のこわさを身にしみて知っているからだ。
TPP(環太平洋経済連携協定)反対運動は、もともとランク&ファイル運動が組織していた。外注化・生産拠点の移転=労組破壊と侵略の道具であるNAFTA(北米自由貿易協定)と闘ってきた経験から、TPPに対しても早くから反対してきた。それは、新自由主義反対と国際連帯に貫かれたものだった。
だが労働運動の右派既成指導部は、民主党のクリントン政権が推進したNAFTAへの労働者の怒りの爆発が二大政党制の崩壊につながることを恐れ、自分たちもNAFTA反対を言い出した。しかし、「仕事をメキシコ人に取られることに反対」という排外主義にねじ曲げたのだ。そういう意味で、「NAFTA反対」「TPP反対」は、彼らにとっても死活のかかったテーマである。
安倍は国会答弁で「TPPが不可欠であるとトランプを説得する」と述べたが、トランプにそのような余裕はまったくない。共同声明には、トランプが表明したTPP永久離脱のことだけが書き込まれた。そして二国間の直接的な経済交渉が行われるという。
こうした中で、日米帝国主義は互いに激突しながらも共同で戦争、核戦争へ突入しようとしている。労働者の国際的な団結=世界革命だけがこの戦争を阻止する力だ。