JR-東京-大阪で民営化粉砕を 分社化・転籍・国家的大リストラと対決しJRダイヤ改定阻止へ 労組交流センター定期総会 田中康宏代表の訴え

週刊『前進』04頁(2819号01面03)(2017/02/13)


JR-東京-大阪で民営化粉砕を
 分社化・転籍・国家的大リストラと対決しJRダイヤ改定阻止へ
 労組交流センター定期総会 田中康宏代表の訴え


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トランプの登場と韓国情勢を主体的にとらえて闘おう

 アメリカでのトランプの登場と韓国の民衆総決起が示しているように、歴史は大きく動こうとしています。
 労組交流センターは89年に結成され、19年に30周年を迎えます。われわれはこの陣地を守りぬいてきた。そして、いよいよ本当の決戦の時を迎えました。
 トランプの登場に、誰よりも震え上がっているのは支配階級です。トランプの登場は、新自由主義が生み出した現実そのものです。にもかかわらず、自分たちの願望をはるかに超えて戦争と社会崩壊を促進するトランプの登場に、支配階級は震え上がっている。マスコミは、予備選の段階ではトランプを「泡沫(ほうまつ)候補」と言い、本選挙になったら「トランプが大統領になったら、大統領らしく振る舞うだろう」と言っていた。それが全部外れて、「まさか、まさか」と言い続けています。しかし、時代がトランプを生んだんです。
 この事態を捉える上でもう一つ重要なことは、アメリカで階級的流動が始まったということです。AFL―CIO(米労働総同盟・産別会議)が抑え、民主党が支配していたアメリカの労働者の中から、階級的潮流が台頭した。その先頭に立っているのが、動労千葉と連帯してきたILWU(国際港湾倉庫労組)やUTLA(ロサンゼルス統一教組)です。トランプの大統領就任式の時、ILWUは港湾を1日、完全に止めました。
 韓国でも革命が開始されています。韓国の情勢を捉える時、自分が民主労総の委員長だったらどうするかと、真剣に考えなければいけない。そう考えたら、われわれが日本でやるべきことが鮮明になります。
 民主労総のハンサンギュン執行部が誕生した15年4月の段階では、ゼネストをやるというのはまだまだ本当に大変だった。左派の中にも「ゼネストはできない」という意見が強かった。けれども、ハンサンギュン執行部は1年半、ゼネストを現場組合員に真剣に訴えて、情勢を変えた。組合員の意識が変わり、組織のあり方も変わった。そこにチェスンシルの問題が起きて、一気にパククネ打倒の百万人決起がつくり出された。民主労総の闘いから本気で学ばなければいけないと思います。
 この前段に、13年末の鉄道労組の23日間のストライキがありました。民営化反対を社会に説得力を持って訴えるのは、そう簡単ではない。しかし、鉄道労組はそれをやりぬいた。
 16年も鉄道労組は74日間のストライキに立ちました。このストは、具体的な成果を獲得できないまま収束せざるを得なかった。しかし、着目すべきことは、74日のうち1週間は物流を止めたということです。その1週間とは、貨物連帯のトラック労働者が鉄道労組とともにストライキに入った時です。貨物連帯には激しい弾圧が襲いかかりました。
 自分が鉄道労組の委員長だったら、次はどう闘うかと真剣に考えなければならないと思います。鉄道労働者とトラック労働者がともに闘える組織と財政基盤をつくり出したら、物流は完全に止められる。これができれば、文字通り社会を止めるゼネストになる。全産別でそうした組織がつくられれば、それは現代の労働者評議会=ソビエトになる。大統領の顔を変えるだけでなく、社会そのものを労働者の手で変革することができる。
 民主労総は昨年8月の政策代議員大会で、①80万人の組織を200万人に拡大する、②社会的ゼネストをやる、そのために最低賃金問題を前面に押し出す、③民主労総が政治勢力として登場する、つまり新しい労働者の党を組織する----という三つの方針を提起しました。この決断が、パククネ打倒の百万人の決起をつくり出したんです。
 大統領選への立候補を表明していたパンギムンが出馬を断念しました。支配階級には大統領に立てる人格がいなくなって、「共に民主党」のムンジェインが独走状態にある。もし彼が当選したら、一応はサード配備に反対せざるを得ないし、日本軍軍隊慰安婦問題での日韓合意は破棄せざるを得ない。そうなったら日米帝国主義が必死でつぶしに出てくることは明らかです。韓国の労働者階級の闘いはますます非和解的に燃え上がっていく。韓国での革命的決起は始まったけれど、その先は未知の世界です。だから、日本の労働者階級の闘いが問われます。
 昨年11月の東京―ソウル国際共同行動は、民主労総ソウル地域本部の呼びかけで実現されました。これは偶然に偶然が重なってつくり出された面があるけれど、偶然の中に必然がある。われわれはこの呼びかけに応え、当事者としてソウルでの闘いを貫きました。だから、われわれの責任は重大です。
 今年の11月労働者集会は、3労組共闘が始まってから20回になります。今年こそ、これまでのレベルではないものを実現しなければならない。そうしなければ、民主労総を見殺しにすることになる。今年1年、本当に勝負をかけて、11月に向かわなければなりません。
 国鉄分割・民営化の結果、労働運動がここまで後退し、団結して闘うという道が、まだ多くの労働者には見えていません。だから、労働運動と団結を取り戻す。労働者としての誇りは、闘いによってしか取り戻せません。われわれが分割・民営化と闘ってきたことが、いよいよ生きてくる情勢です。

「民営化は悪だ」と本気で訴えたなら労働運動は変わる

 安倍のやることは全部が破綻しています。破綻しているからこそ、やることは全部めちゃくちゃになる。
 安倍のブレーンの浜田宏一は「予想外のことが起きたからアベノミクスはうまくいかなかった。後は財政出動しかない。赤字国債を大量に発行しても、日本には膨大な家計資産があるから心配ない」と言っています。「金融緩和ですべてうまくいく」と言っていたのに、今さら何を言うんだということです。これで突っ走って失敗したら、国家は破綻します。そこから噴き出てくるのは、戦争・改憲、労働者を総非正規職化し解雇自由にする労働法制の大改悪、公共部門の丸ごと民営化です。
 問題は第2の分割・民営化と対決する国鉄決戦に絞り上げられます。安倍の最先兵としてJRがやろうとしていることは、業務のすべてを分社化し、JRの全労働者を転籍させることです。JRは昨年、その決断をして動き始めた。JR20万、関連100万の全労働者がふるいにかけられようとしています。
 昨年の東京都知事選に自民党から出馬した増田寛也は、13年に出したレポートで「将来896自治体が消滅する」とした上で、「日本が国際競争に勝ち抜くためには、国家にとって付加価値を生まない都市、外貨獲得能力を持たない都市は淘汰(とうた)しなければならない」と言い切っています。これは究極の新自由主義攻撃です。このレポートが出た当初は、必ずしもそれは政府の方針ではなかったけれど、安倍政権は「結局、これしかない」と踏み切った。その時、大きな役割を果たしたのがJRです。
 JR東日本会長の清野智は、15年1月の社内報『JRひがし』で、「(14年は)人口減少や超高齢化に対して......何とかしなければならない、という国民的議論が初めてできるようになった画期的な年だった」と言い、JR東海名誉会長の葛西敬之は「地方に必要なのは終末期医療だ」と政府に迫った。JRが急先鋒(きゅうせんぽう)となり、「選択と集中」という名の国家的大リストラを進めている。これが強行されたら、地方は生きていけなくなる。地方の淘汰は、社会保障、医療、年金の破壊に必ず連動します。
 大阪市は昨年12月に地下鉄・バスの民営化プランを出しました。これは国鉄分割・民営化の比ではない攻撃です。労働者をいったん全員解雇し、試験で選別して新規採用する。在職年数も労働条件も引き継がない。そして税金で形成された1兆3300億円の資産を私有化する。2月の大阪市議会で民営化の条例が通ってしまえば、地下鉄・バスは私有化されて労働者はクビになる。この真実を伝えなければなりません。そうすれば、怒りに火がつきます。
 同じことを、東京で小池都知事がやろうとしています。小池が大阪と同じように都営交通を民営化しようとしているという事実を暴けば、既成の労組幹部は「それは危機アジりだ、そこまでひどくはない、心配しなくていい」と必ず言うはずです。その時に本当の勝負が始まる。どっちが真実かを労働者に問いかけていく。
 民主労総が歩んだ道もこういうものでした。「民営化は労働者を殺す、労働組合を解体する、人が生きていけない現実をつくる、貧困を生む、教育や医療を破壊し、人間関係を破壊する」と真剣に訴えて世論を獲得した。これをわれわれが本気になってやれば、労働運動全体がよみがえります。
 小池は明らかにつまずいています。豊洲でシアン化合物などの毒物が検出されたことは、小池にとっては決定的なダメージです。「安全だ」と言って今年中に築地市場を豊洲に移転したかったけれど、そう簡単にいかなくなった。元都知事の石原慎太郎を標的にしたくなかったのに、標的にせざるを得なくなった。これは東京都丸ごと民営化を粉砕するチャンスです。
 他方、JRはJR総連カクマルとの結託も清算することに踏み切りました。それが職場に激震をもたらしています。東労組は組織的に大混乱に陥り、職場でも大激論が始まっています。

東労組は空中分解 動労総連合の拡大へ本格的な挑戦を

 カクマルは資本がやろうとしていることの根本には触れません。業務の全面的な分社化や転籍については言わないし、地方線の廃線についても言わない。他方で、本質でないところで資本と対抗して、「自分たちを使ってくれ」とお願いする。東労組は12月31日まで、ベアの問題でスト権投票をやったけれど、2月になってもその結果を発表できない。「ストなどやる気もないのに何を言っているのか」というのが現場の意見です。東労組は臨時大会で代議員による投票をしてスト権を確立すると言っているけれど、まさに空中分解的になっています。
 こうした情勢だから、われわれの力が試されます。青年をはじめとするJR本体の労働者を動労総連合に組織するための挑戦を、本格的に開始したい。
 3月ダイヤ改定を焦点に、第2の分割・民営化との決戦が始まりました。館山での内房線切り捨て反対の闘いで、地方の反乱の具体的な姿を示したいと思い、動労千葉はここに力を集中してきました。
 3月4日のJRのダイヤ改定に対して、動労総連合として4日、5日の連続闘争をストも辞さずに構えたい。4日はもう一度、館山で勝負し、5日は東京でJR東日本本社を攻める闘いをしたい。動労総連合青年部の結成も準備されています。
 今、JRで起きていることは、単なるJRの再編問題ではありません。同じことがどの職場でも起きています。正社員ゼロ、総非正規職化、解雇自由の攻撃に対し、社会的に反撃するため、国鉄分割・民営化と闘ってきたわれわれのもとに結集してほしいと訴えかけましょう。
 こうした闘いをやりぬける交流センターになることを訴えて、私の提起とします。

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