福島で小児甲状腺がん増加 事故影響否定する国・県許さず 3・11反原発福島行動'17へ

週刊『前進』04頁(2817号03面02)(2017/02/06)


福島で小児甲状腺がん増加
 事故影響否定する国・県許さず
 3・11反原発福島行動'17へ


 3・11から6年、福島第一原発事故の深刻な被害の実情が一層明らかになっている。この現実を覆い隠して「安全・復興」を唱える福島県と、原発政策と戦争・改憲を進める安倍政権を絶対に許してはならない。郡山市で開かれる3・11反原発福島行動17に全国から集まろう。

検討委員会は検査縮小狙う

 12月27日に福島県の県民健康調査検討委員会が開かれた。子どもの甲状腺がんは、疑いを含め184人に増えた。本格検査でがんは68人となったが、うち62人もが先行検査ではA判定(結節やのう胞がないか小さい場合)だった。短期間にがんに進んでいるのだ。にもかかわらず、検討委は「事故の影響ではない」という見解を変えない。
 12月検討委では星北斗座長が、「甲状腺と放射線との関係」について「科学的、国際的、中立的な第三者機関」を福島県がつくることを提案した。9月検討委員会で検査縮小を画策していたが、反対の声で決定できず、検討委員会だけでは検査縮小を強行しきれないところに追い込まれた。そこで「国際的に」、つまりIAEA(国際原子力機関)などの極悪人どもを引き入れた第三者機関をつくり、その検討結果として検査縮小を提言させようとの魂胆なのだ。
 しかも星座長は、福島での「検査結果とは切り離して検討」との発言を繰り返している。福島でどれほど甲状腺がんが増えようと、その事実を無視して検査縮小・打ち切りに踏み込もうというのだ。甲状腺がん増加という現実と離れた別の所で、なんの検討をするというのか!

チェルノブイリの先例無視

 政府・福島県は「甲状腺がんは予後がいい」と大うそをついている。チェルノブイリ原発事故で、「今日までに得られた重要な知見の一つは、甲状腺がんの症例が1例あれば、他の種類の甲状腺疾患が約1000例存在することである」(A・ヤブロコフ他著『チェルノブイリ被害の全貌』。以下の引用は同書)。「甲状腺は内分泌系[の正常な動き]に不可欠の器官であるため、その機能障害によって他の多くの重篤な疾患が引き起こされる」。ウクライナの甲状腺がんでは、「患者の55・9%に頸部リンパ節への局所転移が生じており」「繰り返し手術を要した」。
 甲状腺専門の御用医師らは、このチェルノブイリの先例を百も承知なのだ。「事故の影響」と認めると、事故責任を追及され、避難の権利を迫られ、権力支配者から引きずりおろされ、現体制が転覆される、と恐怖している。革命を防ぐためなら、子どもが甲状腺がんにかかろうと、悲痛と苦悩をかかえようとかまわない----そういうことをやっているのだ。
 もう一つ、忘れてはいけない事実がある。福島第一原発事故では、事故の翌日の3月12日から福島県立医大の職員に安定ヨウ素剤が配布された。「多くの職員が配られてすぐ飲んだ」が、「配布の事実は外に漏らさぬように、と口止めがされた」(朝日新聞特別報道部著『プロメテウスの罠7』)。ヨウ素剤を事前に飲んでいれば、放射性ヨウ素が甲状腺などに沈着することは防げた。自分たちは被曝から免れ、子どもが甲状腺がんになると「事故の影響ではない」と言い張る。こんなことが許されるのか。

健康被害者が運動の先頭に

 チェルノブイリ原発事故では、放射線による被曝と健康被害を研究し告発し続けた医師がいる。ベラルーシのゴメリ医科大学の学長だったユーリ・バンダジェフスキーである。彼は、医科大学病院で亡くなった多数の患者を解剖し、各臓器に蓄積したセシウム137の量を調べ、低線量でも危険であるとの論文を公表し、政府にも直言した。その結果、ベラルーシ政府から贈賄罪をデッチあげられて99年に逮捕され、軍事法廷で禁固8年の判決を受けた。出獄後は国外に追放された(W・チェルトコフ著『チェルノブイリの犯罪』下巻参照)。命をかけて闘った無数の医師たち。そうした歴史に学ばなければならない。
 1月12日の「被曝と帰還の強制反対署名」の第1次提出・申し入れ行動では、甲状腺がん摘出手術直後の福島市の大越良二さんが決起した。「怒りで県を圧倒、参加者をはじめ会場全体の感動を誘った」(本紙2812号)。チェルノブイリ運動は、最も健康被害を受けた当事者が先頭で決起したことで、避難の権利も健康被害の認定もかちとれた。福島でもそういう闘いが起きている。
 あらためて、「命より金」の新自由主義を打倒することを誓おう。「避難・保養・医療」の運動をさらに広め、福島での健康被害者の決起を全力で支えよう。「ふくしま共同診療所」を全国の力で守ろう。3月12日の「第2回被曝・医療 福島シンポジウム」を成功させよう。(島崎光晴)

県民健康調査甲状腺検査(16年9月30日現在)
先行検査 本格検査
11〜13年度 14〜15年度
調査対象 約37万人 約38万人
1次検査を実施 約30万人 約27万人
2次検査を実施 2294人 2222人
悪性・悪性疑い 116人 68人


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奪われてたまるか! 避難 いのち 子どもの未来
3・11反原発福島行動'17
 3月11日(土)正午開場
        午後1時開会
        午後3時デモ出発
 開成山・野外音楽堂(郡山市開成1―5 開成山公園内)
 主催 3・11反原発福島行動実行委員会

第2回被曝・医療 福島シンポジウム
 3月12日(日)午後1時30分
 福島グリーンパレス(福島市太田町13―53 福島駅西口徒歩2分)
 主催 被曝・医療 福島シンポジウム実行委員会

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