動労総連合拡大する決戦へ 解体の危機に立つJR東労組 JR総連打倒し民営化に決着を

週刊『前進』04頁(2817号02面01)(2017/02/06)


動労総連合拡大する決戦へ
 解体の危機に立つJR東労組
 JR総連打倒し民営化に決着を


 JR総連・東労組はすさまじい組織混乱と崩壊のただ中にある。東労組は1月10日に中央執行委員会を開き、「スト権確立のための臨時大会を2月10日に開催する」と決定した。労働組合が臨時大会を開くのは、内部に重大な分裂要因を抱えている時であることが通例だ。JR東日本はカクマルの解体を決断した。資本の手先として生き延びてきたカクマルにこれと対決する力はない。JR総連を打倒し、動労総連合に運転士をはじめとするJR本体の労働者を組織するチャンスが来た。2・12国鉄集会と3月ダイヤ改定—春闘をめぐる攻防は、国鉄分割・民営化に決着をつける大決戦だ。

スト権投票は無残に破産臨時大会開催で大崩壊に

 JR東日本は、業務の全面的な分社化と労働者への転籍強要を軸とする第2の分割・民営化攻撃を押し貫くため、東労組を牛耳るカクマルの解体に本格的に踏み込んだ。
 カクマルは国鉄分割・民営化に率先協力して首切りの先兵となり、JR資本のあらゆる合理化・外注化に合意を与え推進してきた存在だ。だが、そのカクマルさえ、資本にとって足かせになったのだ。第2の分割・民営化攻撃を最先頭で強行するJR東日本には、JR総連が分裂少数組合として細々と残存しているJR西日本やJR東海のようなあり方さえ許容できない。資本の狙いは、JR内のカクマル組織そのものの解体だ。
 これに対し、カクマルは資本と見せかけだけの「対抗関係」を形成することで、「自分たちを切り捨てないでくれ」とJRに泣きついている。
 この間、東労組は「格差ベア反対」を唱え、「スト権確立のための全組合員の一票投票」なるものを各職場で組合員に強いてきた。1月19日付の東労組機関紙『緑の風』号外は、「昨年12月31日までに実施した意思確認の一票投票では、多くの組合員が『スト権を確立して17春闘をたたかう』ことに賛成の意思が示され」「実質上の『スト権確立』」がなされたが、「臨時大会で規約に則り代議員の直接無記名投票をおこない正式にスト権の確立をめざす」と叫んでいる。
 東労組は「一票投票で実質的にスト権が確立した」と言いながら、投票結果は一切発表しない。できないのだ。一票投票を実施しない、またはできない職場が続出し、実施した職場でも反対票が膨大に出たと見て間違いない。カクマルという反革命党派の延命を求めるための「スト権確立」など、労働者の利益とはなんの関係もない。カクマルにストをやる気などまったくないことも、現場組合員には見透かされている。カクマルへの忠誠を誓わせるためだけに行われたスト権投票に、現場組合員は辟易(へきえき)としている。
 そのスト権投票の破産の上に、なおかつ臨時大会で「スト権確立」をめざすという東労組本部の方針は、現場労働者のカクマルからの離反をさらに促進する。

〝運転士と車掌の兼務〟も全面容認し沈黙決め込む

 昨年夏から秋にかけて、東労組カクマルは運転士に車掌の業務を強いるJRの施策に「反対」を唱えて大騒ぎした。
 もともと運転士と車掌の兼務は、東労組自身が承認していたことだ。JR東日本は14年11月以降、車掌の要員不足を理由に、熱海運輸区や鶴見線営業所などで運転士に車掌との兼務を命じた。これ自体は、運転士に車掌というまったく別の業務をやらせ、強労働を強いる許しがたい攻撃だ。年休取得もままならず、休日出勤さえ頻繁に強制されていることへの現場労働者の怒りは深い。しかし、JRはその根本原因の要員不足には手を着けず、運転士に車掌の業務をやらせることで、対処しようとした。
 だが、JRの合理化をことごとく承認してきた東労組本部の方針のもと、現場の怒りは抑えられた。東労組の分会役員も、本部方針に従い当局の施策を受け入れた。
 ところが、兼務発令が始まってから1年半以上もたった16年7月、東労組本部は突然、兼務の「中止を求める」と言い始めた。本部カクマルは自分の裏切りを棚に上げて、兼務を認めた現場役員をやり玉に挙げた。だが、東労組は運転士を駅に強制配転する「ライフサイクル制度」を今も先頭で推進している。その一方で「運転士と車掌の兼務は認めない」と言っても、現場労働者にはなんの説得力もない。
 カクマルがこの問題をことさら取り上げたのは、現場労働者の怒りを基礎に資本と闘うためではまったくない。カクマルの解体を決断した資本への対抗手段として、この問題を利用したのだ。
 東労組はこの問題でJRと8回の交渉を重ねたが、資本は「業務上の必要がある場合は兼務発令は可能」として、一歩も譲歩しなかった。結局、東労組は10月13日、実質的に兼務を認める「確認メモ」を資本と交わした。以降、東労組はこの問題について、一言も言わなくなった。

36協定の締結を拒まれさらに屈服するカクマル

 東労組が次に目をつけたのが36(サブロク)協定だった。東労組とJR東日本とが結んだ36協定が17年1月31日に期限切れとなる状況を前に、東労組は〝要員不足の解消策を会社が示すことが36協定締結の条件だ〟と主張し、資本との取引を試みた。
 だが、JRは東労組の要求を一蹴した。36協定の空白期間が生じても、一切の妥協はしないというのが資本の態度だった。この強硬姿勢に東労組は慌てふためき、1カ月間の暫定的な協定の締結を哀願した。資本はそれも拒否しぬいた。
 その結果、翌月の勤務指定表が発表される1月25日時点で、翌月からの36協定は未締結という事態が生じた。JRは仮の勤務指定表しか出さないか、あるいは協定が1月末までに結ばれた場合、結ばれない場合の2種類の勤務指定表を示すなどの対応に出た。これは、かつてない異例の事態だ。こうして資本は東労組に揺さぶりをかけ、屈服を取り付けた上、1月29日にようやく36協定の締結に応じた。
 本来、36協定が結ばれなければ、追い詰められるのは資本の側だ。だが、36協定の締結権をもてあそんだ東労組の方針は、資本によって逆手に取られた。資本による職場支配は、この過程でさらに強められた。

格差ベアの原因は裏切り妥結だ

 追い詰められたカクマルは、今度は「格差ベア反対」を口実にした「スト権確立」で資本に圧力をかけようとしている。
 「格差ベア」の根本にあるのは、12年4月から導入された新人事・賃金制度だ。これにより賃金表は廃止され、一人ひとりの賃金額は資本が個別に発令することになった。労働者には互いの賃金がどのくらいなのか、まったくわからない。また、職階が上がれば上がるほど定期昇給額も多い。JR東日本は14年度以降、ベースアップも定期昇給額に連動させてきた。もちろんこれは、賃金を使って労働者を分断する攻撃だ。だが、この「格差ベア」は、新人事・賃金制度を認めた東労組の裏切り妥結によって生み出されたのだ。
 東労組は、「スト権の『確立』と『行使』は違う」「いま私たちが求めているのは『確立』であり『行使』ではありません」(1月1日付『緑の風』に掲載された委員長・吉川英一の新年あいさつ)と、資本への言い訳に必死になっている。
 自動車総連や電機連合などの純然たる御用組合ですら、春闘前には形式的にスト権を立てる。だが、東労組は結成以来30年、一度としてスト権を批准・確立したことがない。分割・民営化直前の86年10月、当時の動労本部が国鉄当局と結んだ労使共同宣言で〝JR移行後もストはしない〟と誓って以来、カクマルはスト圧殺のファシスト先兵になってきた。
 労働者の団結を破壊し、労働者の権利をことごとく資本に売り渡し、4万4千人の組合員を主体として認めず、カクマルという反革命党派の延命のために引き回す。こうして東労組カクマルは労働者の中に「労働組合への絶望」を組織し、労働組合をとことんおとしめてきた。そのカクマルが「スト権」を叫べば叫ぶほど、それは労働者の怒りの的になる。
 その対極で、動労総連合は第2の分割・民営化攻撃と真っ向から対決している。ストも辞さずに資本と闘い、闘いを通して労働への誇りと労働者としての共同性を取り戻している。ここに労働者の生きる道がある。
 JRとその関連のすべての労働者は、JR総連と決別して動労総連合に結集しよう。2・12国鉄集会に総決起し、3・4ダイヤ改定阻止—春闘勝利の決戦に立とう。
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