豊洲も私立高無償化も狙いは民営化 小池倒す労働者の闘いを

週刊『前進』02頁(2816号01面03)(2017/02/02)


豊洲も私立高無償化も狙いは民営化
 小池倒す労働者の闘いを

都業務丸ごと民営化へ向け17年度予算案

 小池百合子都知事は1月25日、2017年度予算案を発表した。「メリハリをきかせた」とする予算案は民営化の意図が露骨に貫かれている。
 予算案は「待機児童対策」「保育所等の整備促進」と称して1381億円を計上した。すべては保育の民営化・営利化のために使われる。安倍政権の保育基準破壊、公立保育所つぶしを、都が先行させようとしている。
 私立高校の授業料無償化に138億円をあてた。前大阪府知事・市長の橋下徹にならい、競争をあおり都立高の定員割れで廃校・民営化を進める大攻撃だ。(後述)
 インターネットを使って自宅や出先などで仕事をさせる「テレワーク」導入支援予算も付けた。1日8時間という規制を無意味化しタイムカードもない環境で延々と働かせようとしている。

豊洲移転機に仲卸・競り一掃公設解体狙う

 豊洲の地下水調査で猛毒の青酸化合物やヒ素、ベンゼンが大量に検出された。しかし小池知事は移転撤回をこばみ、あくまで豊洲移転を狙っている。「安全な場所で魚を売りたいという思いだけは絶対に妥協できない」「ただちに移転をやめると言ってくれ」という市場関係者の声を踏みにじり続けているのである。
 都は24日、豊洲移転で年間約100億円の赤字が出ると公表した。それは都内11市場の中央卸売市場会計全体を圧迫する。試算は移転延期の補償費用は含まない。追加対策で経費はさらに膨らむ。時間がたてばたつほど赤字は増える。25日の都の市場問題プロジェクトチーム会議では「民間的な発想で経営努力」を求める意見が相次いだ。27日の会見で知事は「市場会計の持続性」を強調し、「今後の市場がどうあるべきか、未来も見据えた判断が必要」と述べた。政府の未来投資会議は卸売市場法の廃止まで言い出している。攻撃は築地にとどまらない。赤字を口実に公設市場をすべて解体・民営化することまでたくらんでいる。
 競り(せり)制度は1918年の米騒動後、「安定した食糧供給と物価高騰への対策」「価格決定と取引の明朗化」の入札原則として導入された。23年に中央卸売市場法(71年に卸売市場法に改定)が制定され同年の関東大震災後に築地市場が開設された。
 国鉄分割・民営化以降、市場移転による再開発とともに、民営化と仲卸・競りの一掃、巨大資本による生鮮品流通の独占と労組破壊が何度も狙われてきた。89年の大田市場新設時に、当時の鈴木俊一知事は神田青果市場を閉鎖し、築地魚河岸の荷受会社と仲卸の一部も移転させた。都は1600以上の水産物仲卸を半分以下にしようとしたが、反対闘争で粉砕された。99年の規制緩和で競り=入札原則が撤廃され、品質ではなく価格を争うしかなくなっていった。仲卸の荷は減り市場を通さない場外流通が増えている。廃業と労働者の解雇が続出している。

大阪では公立廃校・市営交通民営化の攻撃

 1月27日の築地デモはものすごい注目と支持を集めた。誇り高い築地・中央卸売市場の労働者を先頭にただちに豊洲移転白紙撤回をかちとり、民営化絶対反対で闘おう。
 27日、小池知事は「大阪を参考に改革を進めていく」と公言した。
 大阪では2011年度から私立高授業料の無償化が行われた。「公私間の競争条件を合わせ、切磋琢磨(せっさたくま)による教育力の向上を促す」と競争をあおり「公私トータルで高校進学予定者数を上回る募集人員を確保する」として定員割れを最初から計画した。そして12年度には府立17校が定員割れとなり私立も人気の高校と定員割れの高校に二分した。大阪府は定員割れを口実に18年度までに7校の廃校を進めようとしている。同時に大阪市は国家戦略特区を使う全国初の公設民営の中高一貫校の19年度新設を公表した。アメリカで教育ゼネスト爆発の契機となった教育民営化の大攻撃である。
 大阪維新の会・吉村洋文大阪市長は下水道に続き、市営地下鉄・バスを市が100%出資する株式会社に分割・民営化する条例案を通そうとしている。12月に採択された市営地下鉄民営化基本方針は、交通局職員を全員解雇して「必要な職員(のみ)を引き継ぐ」として試験を行い、転籍や退職に応じない職員を分限処分で脅している。職員を現在の5239人から約4500人に減らし、年功賃金から成果給に転換すると公言している。労組本部を首切りの先兵にして団結を破壊する国鉄分割・民営化以上の極悪の攻撃である。小池知事はこれを都営地下鉄・バスで狙っている。

都労連労働者は小池打倒へ立ち上がろう

 民営化は労働者を殺し社会を壊す。国鉄分割・民営化が非正規職化と地方切り捨て、安全崩壊をもたらした。2・12国鉄集会に結集し、国鉄・都労連決戦で勝負しよう。
 都議選が最大の決戦となった。日本共産党は1月18日、第27回党大会で「小池都政のもとで都政をリードする」と決議し26日付『赤旗』は都の予算案を「わが党が求めていた施策をはじめ都民要求を反映した施策の前進」と称賛した。小池は福祉も教育も民営化して破壊しようとしているのに本当に許しがたい。1千万人の怒りで新しい労働者の政党をつくろう。
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