焦点 戦争挑発のトランプ超反動政権 石油など大資本家が入閣
焦点
戦争挑発のトランプ超反動政権
石油など大資本家が入閣
米次期大統領トランプは、昨年11月8日の大統領選の直後、ただちに韓国・パククネと電話会談し、断固支持すると約束した。民主労総を始めとする労働者階級の闘い、特にアメリカ労働者階級の団結を何よりも恐れているのだ。
トランプが共和党予備選以来繰り返し叫んできた差別・排外主義は、労働者階級の新たな闘いの飛躍的拡大に対してクサビを打ち込むことに照準を合わせたものだ。だからこそ、アメリカのマスコミは他の候補全部の合計よりも多くの時間を使って「ムスリムの入国拒否」「移民の流入と工場の海外移転がアメリカの雇用を奪っている」といったトランプの発言をTVなどで流し続けたのだ。米支配階級は革命の接近に脅えている。
●最大の石油資本のトップ
トランプが任命した新政権の人事は、アメリカの歴史の中でも飛びぬけて露骨だ。内閣のトップに位置する国務長官は、世界最大の石油資本エクソン・モービルの現役CEO(最高経営責任者)レックス・ティラーソンだ。エクソン・モービルは19世紀末からアメリカ帝国主義の中軸中の中軸になってきたロックフェラー財閥のスタンダード・オイルの継承会社だ。ロックフェラー財閥は初期から巨大銀行と融合し、また政府と癒着・融合してアメリカの国内・国際政策を動かしてきた。
アメリカの世界支配が、中東産油地帯の支配を始めとして、石油支配を軸にしてきたことは周知の事実だ。また基軸通貨であるドルの地位は、世界の石油取引と密接不可分であったことも明らかだ。政府の枢要ポストの多くを、こうした財閥の息がかかった人物が占めてきた。だが今回、アメリカの軍事外交政策の責任者は石油資本のトップそのものだ。これほど露骨きわまる人事はかつてなかった。
●中国への戦争挑発
1月11日の上院の国務長官指名聴聞会で、ティラーソンは、南中国海で「人工島への中国のアクセスをブロックすべきだ」と発言した。この発言は、アメリカの右派系のマスコミさえ「中国に戦争行為だと解釈されかねない」と報道するほど、すさまじいエスカレーションだ。これまでアメリカは「南中国海は公海であるから、航行の自由がある」と主張し、米海軍の艦艇を展開してきた。この公海において、中国に航行の自由を認めないということは「解釈されかねない」どころか、戦争行為そのものだ。
中国に対する軍事的エスカレーションは、必ず朝鮮半島での戦争挑発と結びついている。オバマ政権が韓国への配備を進めてきたTHAAD(サード、高高度迎撃ミサイルシステム)は、実際には相手のミサイルを迎撃するためのシステムではなく、高性能のレーダーシステムによって敵地奥深くまで先制攻撃する能力を高めるためのものだ。北朝鮮だけでなく、中国をもターゲットにしているのだ。この間のトランプ新政権の人事の上院聴聞会で、新閣僚たちは、先制攻撃の意図を露骨に示している。
国防長官人事も異例だ。文民統制の建前上、従来は国防長官には軍出身者を指名しないことが不文律になってきた。また、すべての閣僚ポストへの任命には、議会の特別決議がない限り退役後7年以上が経過していることが必要だと法律で定められている。しかしトランプは、退役後3年のジェームズ・マティスを任命した。イラクで ″ファルージャの大虐殺〟を指揮し、「マッド・ドッグ」というあだ名をつけられた人物だ。しかも彼は巨大軍需産業であるゼネラルダイナミック社の現役の取締役だ。軍需物資販売で利益を得る会社の重役が、国防省の軍需物資の購入を監督する立場になる。
●ゴールドマン・サックス3人
他に2人も軍人を政権に入れた。そして、巨大証券(投資銀行)ゴールドマン・サックス出身者を三つのポストにつけた。ムニューチン次期財務長官は08年リーマン・ショック直後、不正な住宅差し押さえで暴利をむさぼった人物だ。
ゴールドマン・サックスは90年代の金融規制緩和とその後の野放図な金融投機とサブプラムローン破綻の主犯だ。また、ギリシャなどの国家破産、またアメリカ国内のデトロイトなどの自治体破産を主導し、ハゲタカのように利益を得てきた。
そして金融資本が財政資金にたかることが最も容易な部門である軍需と戦争に一番くいこんできたのが、ゴールドマン・サックスだ。
トランプ政権は、アメリカ帝国主義の断末魔の危機が生み出した。朝鮮戦争で延命しようという策動を許さず、世界革命で打倒しよう。