農地死守、強制執行阻止決戦へ 第3滑走路計画粉砕しよう 三里塚反対同盟が新年アピール
農地死守、強制執行阻止決戦へ
第3滑走路計画粉砕しよう
三里塚反対同盟が新年アピール
51年の歴史を刻む三里塚芝山連合空港反対同盟から新年アピールが寄せられた。国家権力と成田空港会社(NAA)による農地強奪・強制執行の攻撃に対し、体を張って立ち向かい粉砕する闘争宣言だ。労農学連帯の真価をかけ、市東孝雄さんの農地を実力で守りぬこう。(編集局)
農業を続け空港と闘う
真っ向勝負の年だ
天神峰 市東孝雄さん
昨年は全国のみなさんから多大な支援をいただいたことを、心からお礼申し上げます。
農地法裁判は10月に最高裁による上告棄却という結果になりましたが、これで闘いが終わったわけではありません。今年は本当に真っ向勝負の年だと思います。ぜひみなさんの知恵と力を貸してください。NAAと国家権力に大反撃をたたきつけましょう。
父が亡くなり天神峰に帰ってきて、農業と空港反対運動を継いで懸命にやってきましたが、そうした中で多くの方々と関係ができて、みなさんが私の農地問題に真剣に取り組んでくれました。4年前、萩原進事務局次長が発した「霞が関に攻め上ろう!」というスローガンに闘志をかきたてられ、農家をやりながら闘うことの意味を、自分のものにしてきました。
そして国家権力や裁判所がいかに人を欺く手口を使うかについても、痛感してきました。NAAは農地を取り上げるために、父の署名まで偽造した偽造文書を「証拠」にして裁判に訴え、裁判所はそれにお墨付きを与えているのです。しかし「猫の額」くらいのうちの耕作地を、51年たってもまだ取り上げることができていない。
これは私の土地が取られるかどうかというだけの問題ではありません。日本農民全体が、それこそ農民一揆を起こすほど怒っていることを示さなくてはならない。労働者も「このままでは生きられない」状況に置かれています。
反対同盟は今後も闘いの原則を守り、その上により広い幅をもって運動をつくっていきます。その中で自分自身がぶれない生き方を貫きます。今年、NAAと国家権力は今まで以上に圧力をかけてくるでしょうが、それに立ち向かって勝つ年だと思っています。
戦争のない世界を
事務局長 北原鉱治さん
2017年は、三里塚闘争51年の歴史の上に、新たな第一歩を記す年だと思います。
世界はますます激動し、安倍政権による戦争と改憲の政治が強まっています。今こそ三里塚が先頭になり、戦争のない平和な世界の実現に努力したいと思います。韓国人民の闘いが模範を示しています。三里塚と交流を重ねてきた民主労総の仲間に敬意を表します。
今年は、市東孝雄さんの農地を守る決戦の年になりました。市東さん家族が3代100年丹精込めて耕作してきた農地を、農地法を悪用して奪い取ろうというのです。誰がこのような暴挙を許せるでしょうか。反対同盟は農地を武器にして闘います。
全国のみなさんに、三里塚現地に駆けつけることをお願いします。ちょうど40年前の鉄塔決戦の時、「鉄塔を人塔に」を合言葉に、全国各地で労農学市民の支援運動がつくられました。その中心に動労千葉のジェット闘争がありました。あの状況を再びつくりたい。
また、成田空港の第3滑走路建設と飛行時間の24時間化に向けた攻撃が強まっています。これは600戸を超える住民の強制移転と、2千戸を超える住民への新たな騒音地獄の強制です。反対同盟は周辺住民の怒りと結び、この攻撃を阻止します。
三里塚に心を寄せる全国のみなさん! 1月9日の新年旗開き・敷地内デモから2017年の市東さんの農地決戦は始まります。ともに市東さんの農地を守りぬこう。
軍事空港を廃港に
東峰 萩原富夫さん
三里塚51年の歴史を振り返ったとき、私たちは敵を追い詰め勝利していると、胸を張って言うことができます。
市東さんに対する上告棄却は本当に許すことのできない攻撃だが、50年以上かけて空港を完成させることができない敵の焦りが伝わってきます。それは数え切れない人びとが積み重ねてきた闘いの上にかちとられた地平です。そのことに心からの敬意を込めて、昨年は7月の50周年の集会を企画し、大成功させることができました。
最高裁が悪い判決しか出さないというのは、あらかじめ覚悟していましたが、反対同盟は農地取り上げを許さない5万人署名に全力で取り組み、最高裁への署名提出行動を行い、その中で市東さんの農地を守る陣形を拡大してきました。そしていよいよ決戦中の決戦が到来しました。
強制執行を絶対に許さない。市東さんの農地を実力で守りぬく。この闘いにともに立ち上がってください。市東さんの決意に応えよう。
そして、騒音地獄と地域破壊をもたらす第3滑走路を阻止し、成田軍事空港を廃港に追い込もう。
昨年11月、動労千葉とともに韓国での闘いに参加しました。韓国の労働者人民は南北分断体制のもとで虐げられ抑圧された状況の中から立ち上がってきました。日本では戦後に民主主義や憲法が上から与えられたが、それと違い、自分たちの力で権利をかちとってきた闘いの迫力を、韓国のデモから感じました。そして100万単位の人を決起させる民主労総の度量の広さに感銘を受けました。
時代は今「戦争前夜」の様相を示しています。反動攻撃と闘う沖縄・福島と固く連帯し、三里塚は勝利へ向けみなさんとともに全力で闘います。
資本主義を倒す時
事務局員 伊藤信晴さん
反対同盟は「空港絶対反対・農地死守」の原則を貫き、51年を闘ってきましたが、市東孝雄さんという人格に、その歴史のすべてが体現されている。これが三里塚の証だと感じています。昨年は新たな三里塚の第一歩を踏み出しました。今年はそれをさらに推し進めていきたい。
昨年の一坪共有地裁判で、顧問弁護団の先生方はマルクスの『資本論』を引用して、資本主義は農地収奪から始まって、私有財産を基礎にした社会をつくり、しかしその矛盾を深めて今や資本主義の終わりを告げる鐘が鳴っていると展開しました。危機のどん底であえぐ資本主義を倒すのかどうかが問われています。
NAAや千葉県は「空港建設に公共性がある」と主張していますが、その土地に住む人の農業・農地を破壊し、農家と消費者とのつながりを破壊して何が公共か。千葉県の代理人は一坪共有地を「何の意味もない」と切り捨てようとしましたが、資本家にとって意味がなくても、土地を守り闘うことに大義があることを堂々と主張して闘ってきました。「空港絶対反対」を掲げ市東さんの農地を守る闘いは、末期を迎えた資本主義を倒す闘いであり、労働者と農民が団結して進む最重要の課題の一つです。
空港を容認し我慢してきた地元の人たちからも、第3滑走路に反対する声が広がっています。深夜早朝の飛行制限時間短縮の動きに対し、「もう耐えられない」という切実な声が広がり、相談を受けています。
2017年は、市東さんの農地の取り上げを粉砕し、第3滑走路を阻止する正念場です。ともに勝利しましょう。
闘いの裾野広げる
事務局員 太郎良陽一さん
昨年の50周年集会は、新しい三里塚闘争の発展への力を感じさせる企画として成功したと、反対同盟は自信を持ちました。そしてこの成功を、市東さんの農地を守り、第3滑走路を粉砕する具体的な力にしなくてはなりません。私自身もこれまでの生活を変えて、この決戦に全身全霊をかけて臨む決意を固めています。「決戦本部長」との指名を受け、強制執行粉砕の現地決戦の先頭に立ちます。
全国のみなさんに訴えたい。援農で、現地調査で、あるいは短時間でも天神峰を訪れ、市東さんの畑を見て、その土に触れてください。敵は私たちが実力で闘うことを恐れています。
当面の焦点は、1月30日の耕作権裁判、そして3月2日に開かれる強制執行を許さない「請求異議」の裁判、ともに千葉地裁です。毎回毎回が真剣勝負です。そして3・26全国集会を成田市で開催します。
辺野古の埋め立て訴訟で、最高裁は沖縄県の上告を退けました。厚木爆音訴訟でも、自衛隊機の飛行差し止めを命じた一、二審の画期的判決を覆し反動判決を下しました。だが、国家権力の本質を暴き、闘いの裾野を広げる絶好のチャンスが訪れたともいえます。
一斉行動で各地域を回ると、第3滑走路への強い怒りの声とともに、「もう農家としてやっていけない」という人にも少なからず出くわします。そこまで地域が破壊されている現状です。
第3滑走路の正体を反対同盟が的確に暴いてきたことにNAAと周辺市町は焦り、規模を広げて説明会を次々と開催しています。これを徹底的に弾劾し、3月への地熱を高めていきます。
安倍政権に反撃を
婦人行動隊 宮本麻子さん
昨年の12・4現地闘争は、緊急の呼びかけにもかかわらず予想を超えて多くの人が集まり、うれしく思いました。デモで私は宣伝カーに乗っていましたが、長蛇のデモの迫力を実感しました。
デモの後は、三里塚野菜をふんだんに使った芋煮をみなさんに提供し、好評を得ました。市東さん、萩原さんの畑で採れた野菜を体に入れて力にし、全国のみなさんと一緒に権力やNAAと闘う気概が充実しました。命を育む食の大事さを共有できたと思います。
相川勝重芝山町長や菅澤英毅多古町長は、第3滑走路を造ることで町が発展すると言いますが、まったく逆です。大規模移転、騒音、農業破壊、地域分断などがもたらされ、この場所で子育てができるか、若者が住めるか、生活が守れるかという現実です。実際に芝山町の人口は空港ができてから減少しています。人を追い出して何が発展ですか。造るという結論を押し付けるための説明会が各地区で開かれていますが、本当に許せません。第3滑走路を絶対に阻止しましょう。
日本でも世界でも貧富の差が広がり、子どもたちが貧困に苦しんでいます。一握りの億万長者が世界の富の大半を握っているという現実に、憤りを覚えます。韓国では夢も仕事も恋愛も手が届かない若者が「七放世代」と呼ばれていますが、日本でも同じですね。
安倍政権は、大学の軍事研究を進め、原発再稼働を進めるなどやりたい放題ですが、労働者・農民の反撃を今こそたたきつけなくてはなりません。沖縄・福島と連帯し、市東さんの農地を絶対に守りぬきましょう。
本物の闘いが必要
婦人行動隊 木内敦子さん
市東さんの農地を守る決戦の本番が訪れたことに身を引き締めています。民衆の闘いの歴史を振り返ったとき、この三里塚闘争の重大局面に自分が今身を置いていることを自覚し、ここで責任を取るという気持ちが湧いてきます。私もこれまでの生活を一新し、時間をつくり、この闘いに取り組む決意です。
今までも多くの人が三里塚にかかわってきた。その人たちすべてに、「市東さんの農地を守ろう。ともに立ち上がろう」という呼びかけを伝えたい。どうしたら伝えられるのか、そのことを日々真剣に考えています。
市東さんは自分の決意を常に淡々と語っていますが、やはり多くの仲間が同じ気持ちで包むことで、市東さんも一層奮い立つことができるでしょう。私もその力になりたいと思います。
第3滑走路は、特にこれまでも騒音と移転問題でずたずたにされてきた芝山町の地域を一層破壊するものです。絶望に陥り、町から出ることだけを考える人もいますが、多くの人は反対同盟50年の闘いに注目してきました。「空港で町が発展する」などという文句は誰も信じなくなっています。
マスコミにもてはやされたシールズが解散し、今こそ本物の闘いが必要とされています。日本において『前進』が、長く対権力闘争を中心で担い呼びかけてきたことは、みんなが知っており、リスペクトしています。その経験や知識を今こそ発揮してほしい。より広範な人たちが立ち上がるために、『前進』も変革と工夫を重ね先頭に立ってくれることを、私も心から期待しています。