都業務の丸ごと民営化阻止 国鉄・都労連決戦で安倍・小池たおそう
都業務の丸ごと民営化阻止
国鉄・都労連決戦で安倍・小池たおそう
東京都知事の小池百合子は安倍「働き方改革」の先兵としての本性をあらわにしている。2017年は都業務の全面的な民営化、東京特区による「働き方改革」の強行、都労連の破壊をめぐる一大決戦である。職場から民営化絶対反対で決起し、国鉄・都労連決戦で安倍・小池を打倒するゼネストを組織しよう。
都知事小池は安倍「働き方改革」の先兵
安倍の掲げる「同一労働同一賃金」なるものは、成果主義の評価制度を徹底させ、年功賃金制を一掃する歴史的攻撃だ。それはJRが強行している全面的な外注化・分社化・転籍攻撃と総非正規職化を全社会化することと一体である。また、「長時間労働の是正」をぺてん的に掲げながら、労働基準法を改悪し、残業代ゼロと労働時間規制撤廃へ道を開くことを狙っている。
こうした安倍「働き方改革」の先兵が小池都知事である。「都民ファースト」の大ぺてんを掲げて、実際にやろうとしていることは都の現業を丸ごと民営化し、東京特区で「働き方改革」を先行させるということだ。
都の特別顧問・都政改革本部の上山信一(慶応大教授)は『文芸春秋』12月号で「五輪と豊洲にケリをつけて本丸に迫る」と本音を吐いた。「本丸」とは都営地下鉄の民営化を最大の切り口とする都業務の丸ごと民営化であり、都労連破壊である。それは元大阪市長・橋下徹がしかけた攻撃そのものであるが、橋下の全面的民営化は現場労働者の絶対反対の決起で破綻した。小池都知事はこの破綻をなにがなんでも打開しようとしている。
「黒い頭のネズミはアンシャン・レジーム(旧体制)」と都議会で答弁したり、200億円の政党復活予算を廃止するなど、都議会自民党をはじめ既存の体制を、「東京大改革」と称して新自由主義的に破壊する権力闘争を繰り広げている。その真の狙いは労働者への階級戦争を貫徹することである。
20年東京オリンピックの会場をめぐり、12月9日の記者会見で小池知事が「官から民へ、発想を転換するチャンス」と述べたことは重大だ。新設が決まった有明アリーナについて「民間の活用であるとかコンセッション方式についても追求をしたい」と打ち出し、「今どき国がとか、都がという時代ではない」「ビジネスとして、つまり投資として価値を入れていく」と述べた。
被曝強制するオリンピックには絶対反対
コンセッションとは丸ごと民営化だ。小池知事が本部長を務める都政改革本部では、委員が「上下水道や都営地下鉄のコンセッション」に言及している。オリンピックをてこに都の業務と資産を丸ごと民営化しようとしているのだ。
民営化とは私有化であり、公的な共有財産を資本が独占し、徹底的に営利のために食い物にすることである。労働者には首切り、合理化、非正規職化が襲いかかるとともに、安全と労働の破壊をもたらす。資本の利益が一切で、労働者人民の命と生活にとって絶対に必要でも、もうからなければ切り捨てて当然とされる。最大の核心は、労働組合の破壊である。
さらに、オリンピックは被曝労働強制でもある。カヌー・ボート競技が行われる「海の森競技場」は江東区の中央防波堤に新設されるが、すぐそばの中央防波堤外側埋立処分場には、なんと1㌔グラムあたり8千ベクレルから10万ベクレルもの下水汚泥焼却灰などが埋められている。こんなところに会場を造ること自体、とてつもない被曝労働である。労働者、住民、選手を被曝させるな! 動労水戸の被曝労働拒否の闘いを広げよう。
3兆円を超える巨額予算の不足分は都と国の税金から支出される一方で、政府・福島県は来年3月末で「自主避難者」の住宅補助を打ち切ろうとしている。都はそれを受けて避難者を都営住宅から追い出し、汚染地帯への帰還を迫ることで「福島復興」を宣伝するというのだ。1%の資本家の金もうけのために労働者人民の生活も命も破壊される。オリンピックは絶対反対以外にない!
豊洲移転の狙いは民営化と大量解雇だ
築地市場廃止、豊洲移転の狙いは巨大資本のための中央卸売市場の民営化と大量解雇である。
すでに大量解雇が始まっている。豊洲開場後、市場を利用する業者が1日あたりに支払わなければならない維持管理費は現在の5倍の2100万円となり、業者の淘汰(とうた)と解雇はさらに本格化する。移転延期による業者への補償も市場会計から支出するとしており、移転を強行すれば市場会計の破綻も必至である。市場会計の赤字をもとらえて民営化を強行することが狙いだ。
築地移転は国鉄分割・民営化を強行した中曽根政権下で86年から始まった。金丸信・副総理兼民間活力導入担当大臣の強力な介入で10兆円規模の臨海部副都心開発が始まった。その中に築地市場をどうするかという問題が含まれていた。
99年に石原慎太郎が都知事に就任し、築地廃止・豊洲市場建設方針が決定された。国と都は巨大資本による卸売市場の独占的な支配、市場の民営化、せり取引の廃止を狙ってきた。豊洲新市場は卸売市場ではなく巨大資本が支配する物流施設になる。このすべてを推し進めたのが石原だった。
小池知事が都幹部に一切の責任を転嫁して石原を免罪しているのは、石原がやったことを引き継ぎ、もっと全面化しようとしているからだ。
汚染、利権問題は巨大だが、すべては民営化の過程で噴き出した矛盾である。民営化がどれほどの腐敗と反人民性をもたらすのか、ということだ。職場からの民営化反対の決起こそ豊洲移転を阻止する力である。
2017年は、東京特区による「働き方改革」、都業務丸ごと民営化との一大決戦だ。それは国鉄決戦と完全に一体である。国鉄・都労連決戦で、安倍・小池打倒のゼネストへ進もう。
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