動労総連合出向無効裁判  安全崩壊と偽装請負暴く 動労水戸・連帯高崎が証言

週刊『前進』02頁(2808号01面03)(2016/12/22)


動労総連合出向無効裁判
 安全崩壊と偽装請負暴く
 動労水戸・連帯高崎が証言

(写真 裁判後の総括集会では田中委員長が17年の方針を提起)

 動労総連合強制出向無効確認訴訟の第2回証人尋問が12月16日、東京地裁民事第11部(佐々木宗啓裁判長)で行われた。動労総連合と支援は、JRを圧倒する決意を込めて傍聴券交付への大動員を実現した。他方、JR側も必死でこれに対抗し動員してきた。JRは、この裁判にとことん追い詰められている。

事故原因つぶさに示しJR圧倒

 法廷では動労水戸の石井真一委員長と勝田支部の藤枝誠司組合員、動労連帯高崎の漆原芳郎副委員長が証言に立ち、JR側証人の斎藤庄一・本社運輸車両部(輸送)次長への尋問が行われた。
 動労水戸の石井委員長は、MTS(水戸鉄道サービス)でプロパー(直雇い)労働者の育成がまったくできていない現実を暴いた。また、輸送混乱時にはJRの助役がMTSへの出向者に直接業務指示を出す事態が頻発し、作業内容を変更する手続きも煩雑になっていること、MTS土浦事業所で、運転はできない車両スタッフが構内運転をしたことなど、外注化後の職場の実態を証言した。さらに、動労水戸のストライキに際し、JR水戸支社が介入してMTSにスト破り要員を配置させたことを弾劾した。
 勝田車両センターで誘導担当の職にある藤枝組合員は、15年2月12日に勝田車両センターで起きた事故について証言した。この事故は、車両を検修倉に入れる際、車両の動転を防ぐための手歯止めに車両が乗り上げ、脱線したというものだ。外注化により指揮命令系統が分割され、作業手順の変更が作業者に伝えられていなかったことが、事故の原因だ。藤枝さんの証言は安全崩壊の実態を生々しく突き出した。
 動労連帯高崎の漆原副委員長は、エルダー社員制度によりTTS(高崎鉄道サービス)籠原事業所に出向して構内運転業務に携わっているが、ダイヤが乱れた際、車両基地に入区させる列車の順序の変更が、JR側の信号担当者から直接伝達されたと証言した。また、今年3月15日の籠原駅漏電炎上事故は外注化が原因だと鋭く指摘した。
 組合側の各証人に対し、JRの代理人は「原告らは今の職場からの異動を希望していない。出向継続を望んでいる」という質問を繰り返した。誇りを持ってしている仕事を今後も続けたいという労働者の切実な思いを、外注化容認にねじ曲げる露骨な誘導尋問だ。傍聴席から怒りの声が上がった。裁判長はそれを制止し、傍聴者を退廷させた。裁判所もJRに肩入れしてきたのだ。

安全感覚の崩壊さらけ出すJR

 会社側の斎藤証人は、水戸運輸区区長を経て現在、本社の運輸車両部(輸送)次長の地位にある人物だ。原告代理人は斎藤証人に対し、出向期間が延長された問題を追及した。証人は「12年の時から外注化の完成には10年かかると思っていた」と述べた。出向はまさに事実上の転籍だ。
 原告側の追及がMTSでプロパー労働者が育成されていない問題に及ぶと、証人は「知らない」を繰り返した。勝田車両センターでの事故については、変更された作業内容についてMTSに発注書を出していない事実を認めたが、「発注するはずだった業務は脱線事故で行われなかったから問題ない」と居直り、安全感覚の崩壊をさらけ出した。石井委員長がさらに事故の問題を追及した。
 次回裁判は1月13日午前9時50分から。動労千葉の田中康宏委員長が総括的な証言に立つ。傍聴に大結集しよう。
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