年金改悪法成立を弾劾する 支給削って一生働かせる気か
年金改悪法成立を弾劾する
支給削って一生働かせる気か
安倍政権は12月14日、年金削減に一段と拍車をかける「年金制度改革関連法」の成立を強行した。徹底的に弾劾する。年金生活者をさらに生活苦にたたきこみ、低賃金の非正規労働を死ぬまで強いる「働き方改革」の推進が狙いだ。怒りを爆発させ、安倍政権を打倒しよう。
生活保障の物価スライドを解体
なによりも許しがたいのは、成立した改悪法に、物価の変動に応じて年金支給額を改定するこれまでのようなあり方(物価スライド制)を全面的に解体する「新たなルール」を盛り込んだことだ。2021年度から導入するというが、物価が上がって賃金が下がった場合、これまでは据え置いていた年金支給額を賃金に合わせて減額。また、物価も賃金も下がった場合、下落幅の大きい方に合わせて減額するとしている(図参照)。
本来、年金の物価スライド制は、インフレ時に実質的な年金支給額を目減りさせないために設けられた制度であり、生活保障を基本としている。導入されたのは1973年、総評傘下の労組をはじめ53単産354万人が4・17年金ストライキを打ち抜いた年だ。
さらに改悪法は、「マクロ経済スライド制の強化」を盛り込んだ。この制度は、物価や賃金が上昇しても年金の伸び幅を年1%ずつ縮める(削る!)もので、04年に小泉政権が導入した。物価スライド制を逆手に取って、年金削減の手段にした制度だ。物価や賃金が下がるデフレ下では発動できなかったが、今回、「強化」と称して、凍結していた引き下げ分を物価や賃金が上がった年にまとめて引き下げることができるようにした。
今回の改悪は、労働者が実力で闘いとった物価スライド制を解体し、生活保障としての年金を解体する攻撃だ。
困窮に追い込み働くことを強要
改悪法の新ルールをあてはめた場合、国民年金は年間約4万円、厚生年金は年間14万2千円減るとする試算もある。1カ月の平均受給額(15年3月末)は、国民年金が5万4千円、厚生年金が14万7千円だから、約1カ月分の生活費が削り取られる計算になる。それがさらに削られ続ける。どう生きろというのか。
今年3月、立命館大教授が「14年に生活保護費の受給水準以下で暮らす高齢者がおよそ4人に1人、893万5千人になった」との推計を発表した。また金融広報中央委員会による今夏の調査では、年金を受給していて「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答した世帯が2人以上の世帯で46・2%、単身世帯では58・2%になった。この調査はインターネットによるため、接続機器を持たない人は初めから除外された。実際にはもっと多くの人びとが困窮しているということだ。
年金法案の国会審議中、厚生労働相の塩崎は、年金制度は「(生活費を)百パーセント保障することを目指しているわけではない」と開き直った。さらに安倍は「基礎年金がこれ以上、下がるということがないようルールを見直し」とうそぶいた。そして「低年金の高齢者への対策は......高齢者の就労機会の確保」「高齢者が生活保護を受給せずに生活できるよう支援していく」と本音をむき出しにした。高齢者を低賃金労働力として死ぬまで使いまくる「働き方改革」を推し進めようとしているのだ。
年金改悪法案にはすさまじい怒りが噴出した。
フジテレビ系のFNNの世論調査では、賃金の下落に合わせる新ルールについて69・3%が反対し、賛成の25・2%をはるかに上回った。日経新聞の調査では、「マクロ経済スライド制の強化」について、反対が内閣支持層でも51%、不支持層では73%に達した。
改悪への怒りで安倍政権打倒を
安倍は年金改悪を押し通すために「将来世代のため」「世代間の公平性の確保」とペテンを使ったが、将来世代も当然年金は減るし、今よりもっと切り下げられる。怒りは世代を超えて増す。
そればかりか改悪法には、厚生年金の加入対象を従業員が500人以下の事業所の短時間労働者にも拡大することが盛り込まれた(週30時間以上から週20時間以上に)。これは10月から501人以上の事業所に適用されたが、保険料の負担で手取りが減ることを避けて、働く時間を減らすケースが続出。労働者の生活を直撃している。さらに拡大するのは必至だ。また、保険料の使用者負担を見越して春闘でベアの引き上げ幅を抑えたゼンショーのように、資本が賃金切り下げに動くことも間違いない。
年金改悪への怒りもテコにして17春闘をストで闘い、「働き方改革」の片棒を担ぐ連合ともども安倍を打倒しよう。