成果主義の徹底と分社化が「同一労働同一賃金」の狙い 国鉄軸に「働き方改革」粉砕を

週刊『前進』04頁(2805号02面04)(2016/12/12)


成果主義の徹底と分社化が「同一労働同一賃金」の狙い
 国鉄軸に「働き方改革」粉砕を


 11月29日、安倍政権と経団連、連合幹部が一体となった働き方改革実現会議が「同一労働同一賃金」についての議論を始めた。来年の通常国会で関連法の改定を目指すとしている。その議論を通して、安倍「働き方改革」=労働法制大改悪の柱の一つである同一労働同一賃金攻撃の正体があらわとなっている。それは「正規・非正規の格差を是正する」と称して労働者の賃金と雇用のあり方を根本から大改悪しようとするものだ。

「厳格な評価制の導入」を主張

 会議では、正規・非正規職を問わず成果主義に基づく厳格な評価制度の導入が口々に主張された。「成果や役割、職責に対して報酬を支払う賃金制度の導入」「あくまでも合理的な基準で均衡処遇を実現していく」(武田洋子三菱総合研究所チーフエコノミスト)、「正規、非正規にかかわらず職務の内容が明確化され、公正かつ客観的に能力、成果等が評価されるようにする」(塩崎恭久厚生労働大臣)
 それは年功賃金制の解体、正社員ゼロ化・大幅賃下げと一体である。「仕事・役割・貢献度を重視した制度へ移行。年功序列型カーブを是正し成果主義の導入、裁量労働制も広げる」「正規社員であっても、限定正社員やパートタイムなどの多様な働き方を可能に」(高橋進日本総合研究所理事長)、「正社員を含む企業の賃金・処遇体系全体の見直し」(岩村正彦東京大学教授)、「成果に基づいた仕組みに抜本的に見直す改革でなければならない」(世耕弘成経済産業大臣)
 まさに同一労働同一賃金とは、評価制度で労働者を徹底的に分断・支配、強搾取し、総非正規職化しようとする歴史的攻撃である。

「企業が違えば格差を認める」

 会議は同時に、同一労働同一賃金の基準はあくまで同じ企業内の正規職と非正規職に限り、違う企業やグループ内の別会社・子会社で格差が生じることは問題ないとした。外注化・分社化するならお構いなし。JR資本が最先端で進めようとしている全面的な外注化・分社化、全労働者への転籍攻撃を社会全体に広げようとするものだ。
 政労資一体の会議の本性も完全に明らかになった。榊原定征経団連会長は「賃金や賞与、手当等の処遇は、企業の労使間の話し合いのもとに長い時間をかけてつくり上げてきた」と強調。これを受けて逢見直人連合事務局長は「めざすべき原則は同一企業内において均等と均衡(バランス)の両者を含めた均等待遇」であり「産業特性や賃金制度の違い、働き方の多様性などから法令で一律に決められるものではない。職場内の実情を踏まえ労使の交渉・協議を経て納得性のあるものとする」とし、「処遇が違う合理的理由」として「職務の違い、職務遂行能力の違い、成果・業績の違い」を挙げた。資本と手を取り合って進む許しがたい主張だ。

非正規化・転籍阻む17年決戦

 安倍政権や経団連、連合幹部が唱和する「非正規職の処遇改善」のペテンを許してはならない。非正規職撤廃こそが必要なのだ。正規・非正規職の団結で、外注化阻止・非正規職撤廃を闘いぬこう。
 戦争・改憲攻撃と一体の安倍「働き方改革」を打ち破る最大の戦場が国鉄決戦である。動労千葉―動労総連合は国鉄分割・民営化の決着をかけ1047名解雇撤回闘争と一体で、CTS(千葉鉄道サービス)闘争とJRの「水平分業」=全面分社化・転籍攻撃との正面激突に突入している。
 正社員ゼロ・総非正規職化、分社化=転籍・解雇との闘いに全労働者の未来がかかっている。大阪市下水道完全民営化をめぐる正規職1040人全員に対する市の100%出資株式会社への「転籍、ごく一部の選別職種変更か分限解雇」の攻撃に、80人を超える労働者が誇りをかけて転籍を拒否し闘い続けている。
 国鉄を基軸に全産別・職場で総決起しよう。始まった韓国革命に続き、ゼネストで安倍を倒す2017年決戦に進撃しよう。
(大迫達志)
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