全米でトランプ打倒のデモ 民営化・労組破壊、移民排斥に怒り

週刊『前進』02頁(2800号02面03)(2016/11/24)


全米でトランプ打倒のデモ
 民営化・労組破壊、移民排斥に怒り

(写真 高校生もストライキ【11月9日 カリフォルニア】)

「私の大統領じゃない」と叫びデモ

 全米で、トランプ打倒の怒りの大決起が燃え広がっている。トランプが行おうとしている労働組合破壊、そして教育・社会保障・年金の民営化、移民排斥の凶暴な攻撃への怒りと危機感が人びとを行動へと突き動かしている。黒人や移民労働者、青年・学生が最先頭で立ち上がっている。
 オバマ政権はメキシコとの国境に長大なフェンスを造り、200万人以上の移民を強制送還した。クリントンもまた、国務長官として中東への侵略戦争を推進し、人種差別をあおり、福祉を破壊してきた張本人だ。
 トランプ打倒デモは、投票日から一夜明けた11月9日から首都ワシントンやニューヨーク、西海岸のロサンゼルスなどで始まり、今もなお拡大している。ニューヨークのトランプタワー前には「私の大統領じゃない!」と叫ぶ万余のデモが連日押し寄せている。カリフォルニアのバークレー高校では全校生徒の半数にあたる1500人がストライキとデモに決起。カリフォルニア大学ロサンゼルス校では学内デモが闘われ、首都ワシントンでも数百人の高校生がストライキに立ち、街頭デモに飛び出した。
 トランプ打倒の闘いは「1%」の資本家が「99%」を搾取する階級社会と帝国主義を打倒し、新たな社会を切り開く闘いの開始を告げている。
 今回の大統領選が示したことは、二大政党制によるアメリカの階級支配と新自由主義の大破産である。けっして労働者がトランプの差別・排外主義に組織されたわけではない。世論調査でも、トランプまたはクリントンを支持した理由で最も多いのは「クリントンではない」「トランプではない」であった。

真の階級政党が求められている

 大統領選の結果の基底には、世界大恐慌と新自由主義のもとでの労働者階級の「生きられない」という怒りがある。こうした現実の一切を否定する激しい怒りと変革への渇望が、トランプの当選をもたらす動力となった。とりわけ「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる五大湖周辺では鉄鋼、石炭、自動車などの製造業が衰退する中で労働者が失業と貧困にあえぎ、街は荒廃している。階級対立がむき出しになり、プロレタリア革命が問題になっている。
 トランプは、民主・共和両党とAFL―CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)の帝国主義労働運動を含む既成の支配体制への怒りをかすめ取ることで押し上げられた。怒りを排外主義的にねじ曲げ、革命へ向かうことを阻止することを狙った反革命として登場した。この情勢において、労働者階級の利益を真に体現する革命的な労働者政党が全労働者階級人民の選択肢として登場し、「戦争か革命か」の歴史選択をかけて闘うことが求められている。
 トランプの政策いかんにかかわらず、世界大恐慌の再激化が迫り、米経済のさらなる崩壊・没落は不可避だ。アメリカ労働者階級は、自らも資本家そのものであるトランプと新自由主義への根底的な怒りを爆発させ、資本とブルジョア国家を打倒する大闘争に立ち上がるだろう。

日米間の対立の激化は不可避だ

 11月17日、トランプ当選に危機感を抱いた日帝・安倍は大統領就任前に「首脳会談」を行うという異例の行動に出た。安倍は会談後の会見で「ともに信頼関係を築けると確信を持てた」と必死に協調願望を振りまいた。だが、トランプが「離脱」を掲げたTPP(環太平洋経済連携協定)や日米安保問題などをめぐり、米帝による争闘戦が激化する中で、日帝の危機がいよいよ深まることは不可避である。
 民主労総ゼネストを軸とした韓国革命の開始、アメリカでの反トランプデモ爆発は世界革命の時代の到来を示している。この決起に続き、ともに反帝国主義・反スターリン主義世界革命をたぐり寄せる闘いを、日本の地でつくり出そう。

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